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保険代理店の異なるニーズを同時に満たすコンテンツ配信/運用基盤を開発

東京海上日動火災保険株式会社

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設立

1879年

所在地:東京都
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/

大幅に低減

保険代理店の業務負担

導入製品:

Adobe Experience Manager as a Cloud Service

課題

  • 保険商品の内容を説明する「保険募集文書」の確認工数が保険代理店にとって負担になっていた
  • 多くの保険代理店はリアル接点に強みを持っていた一方、デジタルマーケティングのノウハウやリソースは十分ではなかった

成果

  • コンテンツのAPI配信に加え、ホームページの体裁で配信する方式も併存
  • 保険商品の情報を東京海上日動火災保険が管理し、自動更新することで、保険代理店の負担を低減
  • 東京海上日動火災保険が、ホームページを中核にしたデジタルマーケティングの手法を伝授し、支援

「保険への関心を深める有益なコンテンツは、保険代理店の方にとって強力な“ツール”となります。そうしたコンテンツ配信に適したソリューションを選ぶことができました」

デジタルイノベーション部 アライアンス推進室マネージャー 吉村 歩美氏

保険代理店のマーケティング支援が急務

国内大手損害保険会社である東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)。全国約4万5000社の保険代理店(以下、代理店)を通じて、自動車保険や火災保険などの保険商品を販売している。

2019年より同社 デジタルイノベーション部 アライアンス推進室でデジタルマーケティングを担当する吉村歩美氏は、代理店のデジタルマーケティング支援が必要だと考えていた。「当社のビジネスモデルは、ネット保険会社と違い、各代理店が保険契約者とコミュニケーションを取って保険募集を行うスタイルです。スマートフォンの普及など環境も変化する中で、代理店においてもデジタル化への対応が重要となってきていました」。

特に、代理店が顧客向けに提供しているホームページの運用改善が急務だったという。

自動車保険や火災保険は、1年~5年程度の短期間で契約を更新することが多い。顧客は更新のタイミングで他社の保険も比較し、別の保険に乗り換えるケースもあるという。特に年齢が若い層は、ネットで検索した結果やSNS、口コミ情報を活用して保険を選択する。代理店にとってホームページは、情報発信の重要なチャネルなのだ。

またホームページは、保険商品の内容を説明する「保険募集文書」を契約者に開示する媒体としての役割も担う。保険募集文書は定期的に点検を実施し、保険の説明が正しく記載されているかをチェックしなければならない。

一方、代理店の中には、会社の規模が大きく本業が別にありながら保険も取り扱っている代理店もあれば、保険代理業が専門だが規模は小さな企業まで様々なタイプがある。自力でホームページを維持管理することが、マンパワー的に難しいケースも少なくない。デジタルイノベーション部では、この代理店の事業形態のばらつきを考慮しながら、どうやってホームページの運営を効率化するかを考えていったという。

その結果たどり着いたのが、自社でホームページを運営できる大規模な代理店向けには、「ヘッドレス」でAPI接続によってコンテンツを直接配信。一方、小規模な代理店向けには、東京海上日動側でホームページの形に仕立て、少ないカスタマイズで公開できる「ヘッドオン」の仕組みを作ること。この2つを両立させるのがベストだと考えた。

「リッチなメディアを持っている大きな代理店には、直接コンテンツを流し込めるヘッドレスの配信を利用していただき、ホームページがない、または更新の手間をかけられない代理店は、当社が作るページを直接使っていただく仕組みを企画しました」(吉村氏)

デジタルイノベーション部では、この方針の下、代理店支援のシステム検討を開始。必須条件であり最大の課題は、ヘッドオン、ヘッドレスの両立だった。

いくつかのベンダーのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を検討した結果、同社が求めるヘッドオンとヘッドレスの運用を効率よく行えるシステムとして、アドビのAdobe Experience Manager as a Cloud Serviceを選定。高度なクラウドベースの顧客体験管理ソリューションであり、スケーラビリティや他のアドビのツールとの連携のしやすさ、総合的なコストパフォーマンスを考慮してもAdobe Experience Manager as a Cloud Serviceの評価は高かったという。

東京海上日動火災保険株式会社
デジタルイノベーション本部 アライアンス推進室
マネージャー  吉村 歩美氏

東京海上日動システムズ株式会社
デジタルイノベーション本部 デジタルイノベーション開発部
シニアエンジニア  近藤 善春氏

コンテンツ配信で代理店の運用負担を軽減

開発には、東京海上日動グループの東京海上日動システムズがプロジェクトマネージャーとして参加した。同社 デジタルイノベーション本部のシニアエンジニアである近藤善春氏は、今回Adobe Experience Manager as a Cloud Serviceを初めて使ったが、進めやすかったと振り返る。

「保険会社として、システムの導入にはきちんとしたセキュリティが求められます。Adobe Experience Manager as a Cloud Serviceは、検収テストでも当社基準を満たす安全性が確認できており、安心して導入することができました。APIについても、代理店と接続する場合にアクセス制限がかけられるなど拡張性が高く、効率よく開発できましたね」

22年から東京海上日動のデジタルイノベーション部に在籍する橋本彩香氏は、Adobe Experience Manager as a Cloud Serviceによるコンテンツの運用管理について、次のように語る。

「ヘッドオン、ヘッドレスのどちらの場合でも、当社がAdobe Experience Manager as a Cloud Service上でコンテンツを更新すれば、リアルタイムに代理店のページも更新されるため、代理店の手間は大幅に削減できると思います」

また、橋本氏と同じ部でシステム開発をサポートする伊藤祐也氏は、情報更新の効率化に着目する。「代理店が文書点検を行っていた業務量が減ったことで、精神的にも負担が減ったことは大きな改善点だと思います」。

東京海上日動火災保険株式会社
デジタルイノベーション本部 アライアンス推進室
課長代理  橋本 彩香氏

東京海上日動火災保険株式会社
デジタルイノベーション本部 プロジェクト推進室
課長代理  伊藤 祐也氏

社内副業メンバーがコンテンツを作成

代理店向けのコンテンツ制作にあたり、同社では社内副業の制度を大胆に活用している。代理店担当の営業部門をはじめ、各部署の社員が業務時間の10%を使い、社内の別のプロジェクトに業務として参加できる制度だ。デジタルイノベーション部はこの制度を利用してコンテンツ制作担当者を募集し、現在8名が運用に参加している。この8名が保険に関するコンテンツを企画、外部の制作会社に発注し、制作物を管理しているという。

「作成するコンテンツは、保険商品の紹介だけではなく、その前段階の保険の知識や季節的な話題もテーマにしています」(橋本氏)

代理店向けのコンテンツの量と質が充実したことを受け、デジタルイノベーション部では次のステップとして、代理店のデジタルマーケティング支援を本格化させている。

橋本氏は、代理店支援の次の一手を模索しており、「集客でお困りの代理店も多いので、メルマガやLINEなどの施策と同時に、CVRを高めるためのUI/UX領域も含めて、実践的なアイデアを提案したいと考えています」と話す。

伊藤氏も今後に向け、「まだこの仕組みを使っていない代理店の方にもご利用いただけるように、東京海上日動のオリジナルコンテンツを充実させていきたいですね」と語る。

全国に存在する大小の代理店に対して、量と質のそろったコンテンツの配信体制を整えた東京海上日動。吉村氏は、「Adobe Experience Manager as a Cloud Serviceは奥が深いツールです。当社はまだその能力をフルに生かすことができていないと思います。他社のアドビユーザーの使い方も勉強して、ノウハウを共有していきたいと思います」と語った。

※掲載された情報は、取材当時(2023年8月)のものです。登場人物の肩書(所属・役職名)は現在と異なります。

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