



1.5日
平均1週間かかっていた融資書類手続き時間が短縮
33時間
他ソリューションと組み合わせ、融資受付全行程での工数削減
導入製品:
課題
電子署名の全社的な利用により、働き方改革を推進したい
成果
FAX書類を電子化しテレワークにも適応
融資契約受付の全工程で、月33時間程度の工数削減を実現
収入印紙代や郵送費をカット
グローバルセキュリティ基準に準拠した取引を推進
「テレワークでも安心して融資契約業務を遂行できるのは、グローバルセキュリティ基準のPCI DSSに準拠したAdobe Acrobat Signだからです」
エンゲージメント開発部 エンゲージメント開発グループ 長野 大作氏
「期待を超える金融サービスで、モビリティ社会の未来とお客様の笑顔を創造します。」をミッションに掲げるトヨタグループ国内唯一のファイナンス企業。クルマの販売・購入のサポートやキャッシュレス決済などの金融商品・サービスを提供し、グループ各社とのネットワークを活かした金融事業を展開している。
現在全社をあげてDXを推進するトヨタファイナンスは、コロナ禍による働き方の変化を受け、社外との契約業務にもAdobe Acrobat Signの活用を開始した。これまでFAXで対応していた販売店との契約手続きを電子化することで在宅時でも円滑なやり取りを可能にし、業務の効率化とコスト削減を実現。今後さらにAdobe Acrobat Signの活用範囲を広げていく考えだ。
コロナ禍も相まってDX推進が急務に
愛知県に本社を構えるトヨタファイナンス株式会社(以下、トヨタファイナンス)は、トヨタ・ダイハツの自動車販売・購入のサポートやクレジットカードサービスを提供するトヨタグループ国内唯一の金融サービス会社である。「期待を超える金融サービスで、モビリティ社会の未来とお客様の笑顔を創造します。」をミッションに掲げる同社は、自動車メーカー系金融会社という強みを活かし、クルマの購入が身近になる金融商品・サービスのほか、多様化し続ける決済ニーズを意識したキャッシュレスサービスなどを提供している。業績はコロナ禍においても順調に伸び続け、2020年度にはカードの会員数が1,451万人に到達した。
近年トヨタグループでは、「車を売る企業」ではなく「人々の暮らしを支えるサービスを提供する企業」を目指すという意識改革から、コスト削減や法人向けサービスの拡充といった構造改革プロジェクトや働き方改革がされている。その一環として、トヨタファイナンスでは過去に電子署名システムの活用を試みたことがあったが、全社的な利用普及には至らなかった。当時のことについて、エンゲージメント開発部 エンゲージメント開発グループ 主幹の長野 大作氏はこう話す。
「2018年ごろ、Adobe Acrobat Signとは別の、電子証明型のシステムを導入したのですが、まったく浸透しませんでした。原因としては、トヨタファイナンスと取引先の双方で事前に電子証明書を用意しなければならないという手間や、データ保管にかなりのコストがかかることなどがありました。結果的に社員の多くが紙よりも不便だと感じてしまい、活用には至りませんでした」
その後、コロナ禍でリモートワーク体制が必須となった影響や、電子署名に対する法務省の見解が発表されたこともあり、再度電子サインシステムの導入を検討することになった。2021年2月、Adobe Acrobat Signを社外との取引書類に利用する取り組みをスタート。まずは、これまでFAXで行われていたグループ内の各自動車販売会社との融資手続きから運用を開始した。
高いシェアと強靭なセキュリティ性が決め手
他社の電子サインシステムを利用した経験もある中、今回の選定に至った理由を長野氏は次のように語る。
「Adobe Acrobat Signが他の電子サインシステムと異なっていた最大のポイントは、立会人署名方式による運用も可能なシステムと、複数の承認権限者を設定できる柔軟性です。これにより、社内外で電子(実印)証明の手続きが不要となり、社内も取引先も事前に準備するものがほとんどなく導入・運用を開始することができました。また、全国の取引先にあわせた設定が可能となり、多種多様な活用ができます。さらに、金融業界でも通用するグローバルセキュリティ基準であるPCIDSSに準拠している点も安心につながりました」(長野氏)
Adobe Acrobat Signはアプリケーションをダウンロードしたり会員情報登録をしたりせずに、ブラウザ上でも利用できるため、顧客側の利便性も高い。また、トヨタファイナンスは販売店側の契約者に合わせた権限レベルやユーザープロファイルの設定で契約管理や使い方の制御が可能になり、販売店に対するガバナンスが有効になるメリットもある。
さらに、社内管理のしやすさという点にも注目した。他部署の契約書のテンプレートを検索できるほか、ユーザーの権限レベルを編集すれば社内の不要な混乱を防ぐことにもつながる。導入後はまず、各取引先となる販売店各社にAdobe Acrobat Signを使用した契約の手順書と、各店舗のアカウントを配布。現在では販売店270社の内177社がAdobe Acrobat Signによる電子契約手続きに切り替えており、予想以上の電子手続きを取り扱うまで活用が浸透しているという。
手続きの電子化で各種コスト削減に成功
導入の結果、単にかさばる書類をペーパーレス化できただけでなく、取引先1件あたり1.2枚届くFAXの対応や郵送作業が基本的になくなったことで、書類回収までの期間が大幅に短縮できた。これまで平均して1週間ほどかかっていたやりとりは土日含めて1.5日程度で完了し、決裁に時間がかかっていた販売店は、数時間.半日程度リードタイムが短縮されたという明らかな効果が出ている。
また、コスト削減においても大きな効果が得られた。収入印紙代は自社と取引先双方にとって負担となっていたが、Adobe Acrobat Signの導入によって収入印紙代が不要になり、また郵送費や収入印紙の貼り付けの手間もなくなったため、取引先からも好評だ。
6月の実績では全契約159件にAdobe Acrobat Signを使用。取引先販売店のうち、既に8割以上が署名を電子化できているという。
「弊社はAI-OCRやEUC・RPAも導入して受付業務を改善したため、受付全行程では月に約33時間の工数削減が実現できました。FAXで対応していた頃は返事が来ているかを出社しないと確認できなかったのですが、今は在宅ワークであっても書類を確認できます。また、導入前に必要な事前準備なども少なく、コストもそれほどかからなかったため、導入を開始しやすかった面も短期間で効果を出せた理由だと考えています。システム画面も分かりやすいので助かっています」(楠田氏)
エンゲージメント開発部エンゲージメント開発グループ 主幹
長野 大作氏
エンゲージメント開発部 エンゲージメント開発グループ
楠田 亜沙子氏
エンゲージメント開発部長
菅谷 慎史氏
電子サインのさらなる利便性向上を目指す
「今後はBtoC、つまり一般顧客との手続きにおいてAdobe Acrobat Signの利用用途の拡大可能性を追求・推進していきたいと思います。デジタル化、ペーパーレス化の手段の一つとしてAdobe Acrobat Sign は安全にかつ簡単に申し込みや変更といった手続きの画面が容易に構築できる点に他製品にはない魅力を感じています」(菅谷氏)
法令を厳格に遵守する金融業界の契約であっても安全な取引を実現できるAdobe Acrobat Signの活用によって、トヨタファイナンスは今後もさらに業務の効率化を進め、企業の構造改革を推進していく予定だ。
※掲載された情報は、2022年6月現在のものです。