「ミュージックステーション」の生放送にAdobe Frescoを活用。曲調に合わせイメージ映像をライブで描画

 

株式会社テレビ朝日

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開局

1959年

所在地:東京
https://www.tv-asahi.co.jp/music/

イメージをすぐに具現化

イメージをすぐに具現化できるレスポンスの速さ

課題

・少ない日数でCG 合成やイメージ映像を作成

・モバイルデバイスでのクリエイティブな作業

成果

多彩なクリエイティブツール群との連携性

PhotoshopやIllustratorのデータや、Adobe Stock、ライブラリなどの素材も活用可能

イメージをすぐに具現化できるレスポンスの速さ

線描やペインティング動作に対するレスポンスが速く、手で描くような感覚で表現が可能

製作環境を社外に持ち出してのモバイルワークをサポート

iPad上で行ったクリエイティブワークを自動でクラウド同期

紙に描かれたかのような色のにじみまで表現

Adobe Senseiによって水彩や油彩の自然な雰囲気のにじみを瞬時に表現

1986年にスタートしたテレビ朝日系列の人気音楽番組「ミュージックステーション」は、2019年10月より、毎週金曜よる8時から9時に放送時間が変更された。リニューアル後初回放送の「ミュージックステーション 3時間スペシャル」では、歌手の一青窈さんが書いた歌詞をもとに、いきものがかりの水野良樹さんが放送時間内に曲作りに挑戦。同番組のアートディレクターである横井勝氏は、その演奏に合わせてステージ背後のLEDスクリーンに映し出されるイメージ映像もライブペイントで表現することに。その手法としてiPad用スケッチ&ペイントアプリのAdobe Frescoが活用され、曲の雰囲気にマッチした幻想的な映像が見事に描き出された。


「モバイルデバイスでのクリエイティブな作業を可能にする点にも、Adobe Frescoの大きな可能性を感じています」

 

技術局 コーポレートデザインセンター アートディレクター/CGディレクター  横井 勝氏


イメージをすぐに具現化できるレスポンスの速さ

 

技術局 コーポレートデザインセンター CGデザイン室に所属する横井勝氏は、同局のCI(コーポレートアイデンティティ)を担当するほか、音楽番組「ミュージックステーション」のアートディレクターとして番組ロゴや全体のテロップ、曲に合わせてスクリーンに映し出されるCG 映像などの制作も担当している。

「『ミュージックステーション』には外部のスタッフも含め10数名のCGデザイナーが関わっています。出演者の意向も踏まえて、ステージに立つアーティストの背後にあるLEDスクリーンに映すイメージ映像を制作しています。プランニングに取り掛かるのは放送日の前の週で、少ない日数でCG合成やイメージ映像を作るために、PhotoshopやIllustrator、After Effectsをはじめとするアドビ製品を駆使しています」

同番組の放送時間が変更された2019年10月18日のスペシャル番組で、横井氏がイメージ映像を曲の進行と並行して描くために注目したツールが、Adobe Frescoのタイムラグのない操作感だった。

「約5分間の演奏中に映像を表現するには、頭の中に描いたイメージを瞬時に表現できなければなりません。リリースされた直後だったiPad上で作動するスケッチ&ペイントアプリAdobe Frescoを試してみると、タイムラグなく反応してスムーズに描けるので、生放送での“ライブ描画”にチャレンジするにはもってこいのツールだと思いました」

生放送でのライブ描画にも対応する、操作時のレスポンスの速さもAdobe Frescoの特長

紙に描かれたかのような色のにじみまで表現

 

「生放送ならではのライブ感」が改めて番組のコンセプトとされ、放送時間が変更になった直後のスペシャル番組「ミュージックステーション3時間スペシャル」では、「アーティスト&視聴者も参加!みんなでつくるMステ」と題して、歌われる楽曲を視聴者の生投票で決定。一青窈さんがスペシャル番組のために書き下ろした「きりん」の歌詞の冒頭は、「御覧!あれがシリウスさ一等いちばん星」というフレーズだった。歌詞を見た横井氏は、映像を夜の雰囲気にするため、まずスクリーンの上方に一番星を描写。スクリーン下方には、たくさんの星々とも、きりんの体の柄ともとれるような無数の青い点を次々に描いていった。

「一番星には油彩画ブラシ、その他の部分には水彩画ブラシを使いました。濃淡の異なる青い点が次第にぼんやりと膨れ、重なり合った部分が本物の水彩画のように美しくにじんだのは、人工知能Adobe Senseiがあたかも紙に描いたかのように調整してくれたおかげです。Adobe Fresco はレイヤーを分けることができるので、水彩画風の部分だけに絵の具が溶けるような表現をすることもできました。視聴者からは『ライブ感が伝わってよかった』という多くの声が寄せられました」

曲の雰囲気にマッチした幻想的な映像が見事に完成し、曲のイメージ映像をライブで制作するという前例のないチャレンジを成功させることができた。

ステージ背後のLEDスクリーンに映すイメージをFresco上でシミュレーション

製作環境を社外に持ち出してのモバイルワークをサポート

 

これまでロゴやCG制作をオフィスのPCで行ってきた横井氏は、モバイルデバイスでのクリエイティブな作業を可能にする点にも、Adobe Frescoの大きな可能性を感じているという。働き方改革の進展とともに、今後はデザイナーもテレワークの機会が拡大するのではないかと横井氏は考えている。

「Adobe Frescoなら、外出先や自宅にいるときなどに、ふと思いついたアイデアを簡単に形にすることができます。会社のPC で作業するときとは違い、身構えることなく気楽な雰囲気でクリエイティブワークができるのも魅力です。社外にいるときにiPad上で即製し、仕上げは会社のデスクトップでという形態が当たり前になるかもしれません。そうなれば時間が有効に使えるようになり、業務効率化にも貢献してくれると思います」

技術局 コーポレートデザインセンター アートディレクター/ CG ディレクター 横井 勝氏

多彩なクリエイティブツール群との連携性

 

横井氏はAdobe Aeroなど新たなツールを活用して、番組と視聴者のスマホを連動させるAR の制作などにも力を入れていく意向だ。

「映像の編集や拡散には、Adobe Premiere Rushも有用です。PhotoshopやIllustrator、Adobe Frescoなどで制作した素材をシームレスに結び付けながら作業ができるようになり、クリエイティブワークの幅が広がっていることを感じます」

番組製作の現場は、かつては照明、電飾、CGなどのパートが個別に分かれていたが、近年はアートディレクターが全体に目を配り、番組のコンセプトを各制作セクションに浸透させながら協働するという意識が強まっているという。今後はプロトタイプのデザインや制作過程の素材を簡単に共有できるAdobe XDを活用し、スタッフ間の意思疎通や作業のさらなる効率化を追求していく考えだ。

 

※掲載された情報は、2019年12月現在のものです。

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