



2倍
メール配信数
5倍
コンバージョン
導入製品:
Adobe Marketo Engage
課題
MAツールは単なるメールの発射装置でしかなく、送って終わりの状態だった
顧客データベースとwebアクセスなどのデータが連携せず、顧客の状況をつかめていなかった
属人的な営業努力に依存しており、負担が増加。滞留リードも多発していた
成果
Adobe Marketo Engage導入でメール施策が活性化。配信数2倍、コンバージョン5倍に
CDPとの連携で、顧客セグメント分析とMAを連続的に運用しながら顧客解像度を高めることができた
営業がデジタルを「武器」として活用すべく、社内のDXを組織/人員育成面で推進
「以前のマーケティングツールは“メールの発射装置”でしかありませんでした。今では様々なデータをクロス集計し、お客にとって意味のある情報を送り出せるようになりました」
株式会社USEN ICT Solutions デジタルマーケティング推進室 室長 泉 善博 氏
営業とマーケティングが一体となったプロジェクト
法人向けにインターネット回線やクラウドサービスなどを提供しているUSEN ICT Solutions。業績は好調だったものの、個々の営業担当者の努力に依存した営業スタイルで、デジタルマーケティングへの取り組みも遅れていたという。当時のUSEN-NEXT GROUPの経営陣は、その状況に危機感を持ち、顧客データを活用した営業組織への改革に乗り出した。
2020年5月、営業組織の改革を担うリーダーとして、同社に社外から泉 善博氏が合流。泉氏は、入社直後の印象をこう語る。
「当社に入って最初に感じたのは、『B2B企業にありがちな、テレアポ&飛び込み型営業の会社』でした。MA(マーケティングオートメーション)のツールも使っていたが、それは、ただのメールの発射装置としてしか活用されていないのが現状でした」
そこで泉氏は、営業/マーケティングの両部門を対象に、デジタルマーケティングの基本を学ぶ勉強会を7回にわたり開催。それと並行して、泉氏は営業/マーケティング部門のキーマンを見つけ出し、同社のマーケティング基盤に何が必要か議論を重ねていった。泉氏は、最初の半年ほどは、社内の状況把握とデジタルマーケティングの意識を根付かせる取り組みを続けたという。
その泉氏と接点を持ったキーマンの一人が、同社第1営業部 部長の名和 敬之氏だ。「データが『資産』として蓄積されていないことが課題だと考えていました。そこへ泉が入社し、共通の課題認識を持っていると感じ、プロジェクトに手を挙げました」と話す。
そして、泉氏が入社して約半年後の2020年10月、「営業高度化プロジェクト」が立ち上がった。
名和氏とともに、第2営業部 部長としてプロジェクトに参加した佐山 博紀氏は、このプロジェクトの方向性は社内で同意を得ていたものの、異例の投資規模にやや懐疑的な人もいるのではと感じていたという。「逆に、これに成功すれば、これからはさらなる挑戦ができる会社になれるという思いから、推進メンバーの結束も強まったと思います」。
泉氏はプロジェクト発足にあたり、推進体制作りにも力を入れた。過去の経験から、しっかりした組織体制を作り、進めることが重要だと考えていた。入社後に相談して回ったメンバーを中心に、主要なワーキンググループのリーダーを任命し、全体を泉氏が統括する体制を組んでいった。また、1年後の会社とプロジェクトのあるべき姿を設定しマイルストーンも設定、具体的な目標を持って推進することを意識したという。
「体制を作り、目標を持たないと、鳴かず飛ばずで終わってしまうという危機感がありました。ただ、当初の目標は具体的なKPIの達成ではなく、成功のイメージを各ワーキンググループのリーダーと共有しました。多くのプロジェクトでは、成功のイメージが共有できていないことで空中分散するパターンが多いです。自分たちが理想とするDXを成功させるための士気を維持することには最大限の配慮をしました」(泉氏)
「営業高度化プロジェクト」は社長直轄の組織で進行。プロジェクトリーダーである泉氏の直下にPMO(プロジェクト推進室)を設け、PMOが8つあるワーキンググループの推進を支援し、各グループの調整を行っている
的確なサポートで運用が止まらない
各ワーキンググループが動き出す中、泉氏が主導して既存の顧客データ基盤やマーケティング基盤の見直しを実施。顧客データを統合するCDP(カスタマーデータプラットフォーム)にはTreasure Data CDPを採用。社内のデータベースと接続し、顧客データの一元管理と分析ができる体制を作っていった。
そしてマーケティング基盤には、既存のシステムではなく、Adobe Marketo Engageを選定した。泉氏は、前職で主要なマーケティングツールを試し、実際に業務で使用していた経験から、今回Adobe Marketo Engageを選んだ経緯を次のように話す。
「まず、当社が従来使っていたツールは、B2Bの用途にはあまり適していないと感じました。また、webサイトに来訪されるお客様のうち、B2Bでない一般の方のアクセスも含めて従量課金されてしまうことから、コスト面でも問題がありました」
既存のツールを置き換える前提で、改めて主要なツールの選定を進めていく中で、泉氏はAdobe Marketo Engageの良さとして「一度作ったキャンペーンの複製が容易なこと」「料金体系が従量課金でないこと」を挙げた。
CDPと連携し、施策を高速回転。コンバージョンが5倍に
マーケティング部門の松岡 忠司氏は、Adobe Marketo Engageの運用全体を統括。その立場から、Adobe Marketo Engageの最大のメリットは、サポートが充実していることだと話す。
「導入直後のオンボーディングのところから、当社に合わせた研修プログラムを組んでいただきました。また、その後のサポートも素晴らしい。他のツールでは問い合わせをしても『URLを見てください』といった返答が多いのですが、Adobe Marketo Engageの場合は、実際に当社の設定を確認した上で、的確な回答をしていただけます」
データ分析を担当する朝倉 充千仁氏は、Adobe Marketo EngageとTreasure Data CDPの連携によって、見込み顧客データの分類や分析を行っている。「Adobe Marketo Engageからオプトイン情報やメールに対するクリック率等をTreasure Data CDPに連携して、CDP内の属性情報やwebアクセスログ等を掛け合わせた後、再びAdobe Marketo Engageに戻してメール施策を実行する等の運用をしています」。
また、コミュニケーション戦略担当の堤 悠氏も、Treasure Data CDPとAdobe Marketo Engageの連携の効果を次のように語った。
「当社のオウンドメディアのコンテンツにアクセスしている方や、メール内リンクをクリックしている方は、インターネット回線に興味をお持ちなのではと思われます。それを、Treasure Data CDPでカテゴライズし、Adobe Marketo Engageのメールに反映させながら検証。これを繰り返すことで、実態に基づく、しっかりとしたコミュニケーションになっていくと思っています」
実際にAdobe Marketo Engageを導入してからの成果について、松岡氏は次のように説明する。「メルマガ施策について、旧システムとAdobe Marketo Engage導入後を同じ5カ月間で比べると、まずメールの配信本数が21本から44本に倍増しました。メールの開封率は14.9%が19.3%に、またクリック率は、0.76%から1.35%に大きく向上しました。コンバージョンは、実に5倍になっています」。
泉氏は最後に、自社のマーケティング変革を進めようと考えているリーダーに対して、次のようにエールを送った。「自分のやりたいことを社内に伝え、1人ずつでも構わないので、仲間を増やしていくことが重要です。その積み重ねがいつか臨界点を超え『ビッグバン』を起こすでしょう。『ヒト、モノ、カネ』が動くので、経営層はトライアルからのスタートという判断を下すと思いますが、まずはその第一歩が踏み出せれば成功です」。
デジタルマーケティング推進室 室長
泉 善博氏
第1 営業部 部長
名和 敬之氏
第2 営業部 部長
佐山 博紀氏
デジタルマーケティング推進室
デジタルマーケティング推進課 課長
松岡 忠司 氏
デジタルマーケティング推進室
デジタルマーケティング戦略課 課長
朝倉 充千仁 氏
デジタルマーケティング推進室 室長補佐
堤 悠氏