ABMで目指す重点顧客のLTV最大化。 「マーケティングとセールスの連携」がキモ

株式会社ユーザベース

株式会社ユーザベース

創業

2008年

本社:東京

www.uzabase.com

受注率が前年比 約5倍

導入製品:

活用用途:

メールマーケティング、リードナーチャリング、ABM(アカウントベースドマーケティング)、CRM/FORCASとの連携

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課題

インサイドセールスの業務効率化

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成果

受注率が前年比約5倍

「経済情報で、世界をかえる」をミッションに、企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA(スピーダ)」、ソーシャル経済メディア「NewsPicks(ニューズピックス)」の2事業を運営し、2016年12月にはジャパンベンチャーリサーチがグループ会社となり、「entrepedia(アントレペディア)」を提供開始。2017年5月には、アカウントベースドマーケティング(ABM)の実践をサポートするクラウドサービス「FORCAS(フォーカス)」をリリース。

2017年のグループ連結売上が前年比48%増を達成するなど、急成長を遂げているテクノロジーカンパニーがユーザベースグループです。

今回は、重点顧客の収益最大化にフォーカスしてABMを支援する「FORCAS」の連携ソリューションとして「Adobe Marketo Engage」を導入した経緯、その活用法、成果について伺います。

急成長企業に求められる業務効率化。「FORCAS×Marketo」で"量から質"へ

マーケティング担当としてMarketo運用に携わる上野 瑠衣氏(株式会社ユーザベース)、インサイドセールスを担う大竹 夏紀氏(同)、さらに「FORCAS」のセールスを担う田口 槙吾氏(株式会社FORCAS 営業担当執行役員)の3名にお話しいただきました。

ユーザベースがMarketoを導入したのは2017年4月のこと。それ以前の課題は何だったのか。上野氏は次のように語ります。

「『SPEEDA』事業の契約ID獲得に向け、2016年からマーケティング施策として、イベントやセミナーを実施していましたが、メール配信ツールもなく、リード精査も含め、集客にかなり工数がかかっていました」

同年4月に立ち上げたインサイドセールスに関しても、「完全な人海戦術になっていて、失注案件のフォローも手つかず状態でした」と上野氏は明かします。

実は2017年4月のAdobe Marketo Engage導入とともに、マーケティング担当として新卒入社した上野氏ですが、2016年1月よりユーザベースでインターン活動を開始。主に「SPEEDA」事業のインサイドセールスに携わる中、急成長企業だからこその業務効率化の必要性を感じていたと言います。

「当初のインサイドセールスチームのKPIはとにかく量を追うというもの。前年の約6倍のアポイント獲得を目標に掲げ、達成したところで、"量から質"への転換が求められていました」と大竹氏も振り返ります。

さらに、ちょうど「FORCAS」リリース直前にあって、同社でもABMに本格的に乗り出す上で、「連携しながら相乗効果を上げられるプラットフォームを採用したいと考えていました」と田口氏。

ABMの実践に関しては、成約確度の高いアカウントをいかに特定するか、そのターゲティングと、リードや名刺情報などのデータクレンジングを行った上での業界や類似企業などの自動付与(リードエンリッチメント)がポイントとなります。

「FORCASでは、115万社以上の企業情報、約560業界の属性情報を持っており、市場変化や業界動向、未来予測などを踏まえた重点企業の発掘・精査が可能となります。こうした企業軸でのスコアリングに、Adobe Marketo Engageが得意とする個人の属性や行動を軸としたスコアリングを組み合わせることで、より効果的なABMプラットフォームが実現し得る。プロダクトの性質としてオープンな思想を持っている共通項も採用の決め手となりました」(田口氏)

"追わない商談"の基準を明確化し、セールスの作業効率が大幅アップ

では、具体的にAdobe Marketo Engageをどう活用していったのか。

「まずはAdobe Marketo Engageの基本機能を徹底して使いこなそうと、できることからスタートしました」(上野氏)

課題であった"量から質へ"、"業務の効率化"を図るべく、自動対応できるものはAdobe Marketo Engageで実践。web申し込みやイベントなどから流入してきた新規リードには、Adobe Marketo Engageでの定期的なメール配信、スニペットを活用した部署などによって異なる利用事例の提供により、リードナーチャリングを実施していきます。

アポ取得後のリマインドメール配信や、アポ日程が調整中、あるいはリスケのままの案件については、Slack連携でインサイドセールスにアラートを出し、手つかずの失注商談に関して復活メールを配信。

スコアリングとメールキャンペーンを駆使し、効率的なアポ数担保を実現していきます。

次にABMの効果を最大化すべく、「FORCAS」との連携を推進。

Adobe Marketo Engageに入ってきたリードに、表記ゆれがある場合でも、正式企業名、業界、さらには類似企業、特色などのさまざまな属性情報が自動付与され、確度の高いターゲットアカウントを定義。さらに、Adobe Marketo Engageで最適化したコンテンツでキャンペーンを実施し、その反応と属性情報でスコアリングを実施していきます。

「Adobe Marketo Engageの場合、Webhook機能を使えば、システム連携が簡単にできるのもメリットです」と上野氏。

「FORCAS×Marketo」に、Salesforceを同期させることで、フィールドセールスやインサイドセールスでは、クレンジングされたデータがSalesforceで随時チェック可能な体制を構築したといいます。

では、導入から約1年で実際にどのような成果が得られたのか。

第1に、「SPEEDA」に関しては、前年の商談数をキープしつつ、そこからの契約IDの受注率が前年比約5倍アップを実現したことが挙げられます。

SPEEDAが主なターゲットとする「M&Aを頻繁にする企業」「海外進出している企業」「新規事業開発に積極的な企業」といった特徴から、「FORCAS」の情報をもとに重点企業を精査。イベントやセミナーに関しても、その特徴に合わせたエッジの効いた内容を工夫し、Adobe Marketo Engageからパーソナライズされたコンテンツメールを配信することで、集客も効率的に実現。セミナーでの受注に関しては約5倍増の成果に結びついたといいます。

第1に関連し、第2の成果としては、セールスの作業効率が大幅にアップしたこと。

この点については、「セールスサイドが"追わない商談"の基準を明確にできたことが大きかった」と田口氏は明かします。

「以前は『脈がない』『時期尚早』と判断される新規案件についても、マンパワーで追っていたのが、Adobe Marketo Engage導入によって、マーケティングチームに預けられるようになった。より確度の高い案件に集中し、クロージング作業に注力できるようになりました」(田口氏)

大竹氏も、「電話をするべきかの判断から、会社の最新事情、強化している事業、さらにはインサイドセールスから直近で送ったメールの開封状況まで、数分もあればSalesforceでチェックできる。一定のスコア以下の企業は、マーケティングに託そうと線引きができるようになったことも、作業の効率化につながりました」とし、商談数がほぼ変わらないままID化率がアップしたのは、作業の精度が上がった証拠だと語ります。

第3に挙げるのが業務効率化により、新たなチャレンジ、やるべき施策に着手できるようになったこと。

「FORCAS」事業においてはイベントを強化中といいますが、「Adobe Marketo Engageでメール開封やリンククリックでスコアをつけ、インサイドセールスにフィードバックすることで、集客工数の軽減を図っています」と上野氏。

こうした自動対応を進めることで、ホワイトぺーパーやブログなどの、よりリッチなコンテンツマーケティングへの着手もスタートしています。

精度の高いABMで、重点顧客のLTVの最大化実現を目指す

では、ユーザベースのように生産性向上とABMの効果最大化を両立していく上でのカギは何なのか。

最大のキモとして、田口氏が挙げるのが「マーケティングとセールスの連携」です。

先に挙げた「追わない案件」の意思決定についても、「セールスがAdobe Marketo Engage導入の目的やその背景を理解し、プロセスの共有と役割分担のコンセンサスができているからこそできること」と田口氏。

対等なコミュニケーションが実現する企業文化の醸成が肝要となりますが、「Adobe Marketo Engageのいいところは、"数値"でプロセスも結果も見えるところ。MA導入を契機に全社共通のプロトコルとして数値を共有し、そこからオープンなコミュニケーション体制を構築していくのもいいのではないでしょうか」。田口氏はそう助言します。

オープンなコミュニケーションを実現していく上ではテクノロジーの連携、活用も肝要だといいます。

ユーザべースでは、社員間の伝達手段としてもSlackを使用。開発担当とのやりとりのほか、営業からのインサイドセールスへのフィードバックも、Slackを使った"フィードバックチャネル"を用意し、出先からでもスピード感を持ってコミュニケーションを実践するようにしています。

最後に、事業のフェーズなどに合わせたKPIの転換もポイントだといいます。

マーケティングチームのKPIとしては、一貫して、リード数を設定しているものの、Adobe Marketo Engage導入後は、「単なる流入数ではなく、質の良いリード、MQL化を重視しています」と上野氏。

インサイドセールスのKPIも商談アポイント数からパイプ化率にシフトし、現在は再びアポ数に戻すなど、フェーズに応じてそれぞれのチームで最適なKPIを設定。

「"部分最適"と"全体最適"のバランス、見極めも大事です。また、それぞれ違ったKPIを追うことで部門間でのコンフリクトが起きることがあっても、それは健全なコンフリクト。各チームで対話し、解決していくことが、次のステップにつながると考えています」(田口氏)

今後の課題としては、解約阻止を挙げる上野氏。

「ABMのゴールは、重点顧客のLTV(顧客生涯価値)の最大化にあります。目の前の新規顧客獲得だけを追い求めるだけでなく、既存顧客のフォローもAdobe Marketo Engageで実践していく予定です」と語ります。

「FORCAS×Marketo」のプラットフォーム活用により、より精度の高いABMに取り組むユーザベース。営業、マーケティングの強力なタッグのもと、「チーム・ユーザベース」の挑戦はまだまだ続きます。

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