他社編集ソフトからの移行を機会にPC とCreative Cloudを配付。番組制作スタッフのスキルアップと業務効率化に取り組む

株式会社ウエスト

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創業

2005年

所在地:東京
https://2005west.com/

イメージをすぐに具現化

データ変換や再レンダリングが不要に

導入製品:

課題

・仕事効率の向上

・人材育成や社員のモチベーション向上

成果

データ変換不要

異なるフォーマットの撮影素材も、編集用に変換することなく混在して編集

感覚的なテロップ挿入

画面上でテロップが入力でき、フォントや色をスムーズに選択

修正作業時間も短縮

修正するたびに数分かかっていたレンダリング時間が不要に

アドビ製品との連携

AfterEffectsとの連携で、納品レベルの動画制作も可能に

株式会社ウエストは、放送局各社への制作ディレクター、アシスタントディレクター派遣を主な業務にする番組制作会社だ。番組制作現場の長時間労働が課題になる中、業界に先駆けて働き方改革に取り組んできた同社は、業務効率化の観点から在籍年数3年以上の制作スタッフ全員に、一人一台のハイスペックPCとCreative Cloudを配付し、従業員のスキルアップと企業力の向上に力を注いでいる。

「撮影ファイルを編集用に変換する待ち時間がほぼないので、その時間をより良いものを作ることに充てられます」

キャリアディビジョン制作部 ディレクター   山田 貴仁氏

イーストグループの一員として、テレビ番組制作の人材をキー局へ派遣

株式会社ウエストは、放送局と資本関係を持たない独立系制作会社としては国内最大規模を誇るイーストグループの人材派遣部門として2005年に設立された。制作現場の長時間労働問題など指摘されることも多い業界であるが、求人広告・人材派遣大手、アウトソーシング業界を経て4年ほど前に常務取締役に就任した伏見隆氏はこう話す。

「私がまず驚いたのは“残業”に対する意識が低い業界の実態でした。当社としても、何とかしなければという思いがありました。また、働き方改革関連法の施行を受けたこともあり、社内制度や体制、仕事効率の向上や社員一人ひとりの満足度について、徹底的に見直しました」

同社は特に人材育成や社員のモチベーション向上に力を注いでいる。今回のPC 及びCreative Cloud配付や研修の開催、また、自社ディレクターからアシスタントディレクターへのスキル継承を図る仕組みなど、多くの取り組みがなされている。この取り組みの集積が企業力の向上に繋がっているのであろう。

Premiere Proを制作スタッフに配付

時間外労働の抑制において、大きな役割を果たすのが業務環境の改善である。近年、番組制作は、担当ディレクターが映像素材をPC上で編集した上で外部の編集所に持ち込み、テロップや音声を挿入して納品データを仕上げるという流れが一般的で、数に限りがある所内の編集用PCを共同利用するか、私物PCを持ち込んで作業を行っているのが現実だった。こうした状況を受け、同社は在籍年数3年以上の制作部門の制作スタッフ全員に動画編集用PCと最新の編集ソフトを配付することを決断。選択したのは、Premiere Pro、Photoshopを中核としたアドビ製品のラインナップだった。

「原則として、動画編集用PC とPremiere Proを配付していますが、本人の要望さえあれば、業務上の必要性を問わず、コンプリート版を提供しています。多様なツールの操作を学びたいという要望は、スキルアップの観点からも大歓迎ですからね」(伏見氏)

『ZIP!』の特集を担当。異なる映像フォーマットでも即編集が可能

Premiere Proへの移行は現場スタッフにも好評だ。日本テレビ『ZIP!』の特集コーナーを担当しているキャリアディビジョン制作部ディレクターの山田貴仁氏がその効果を語る。

「テレビ番組の場合、通信社が提供するファイル形式が異なるデータも利用することが一般的です。これまでは編集作業に先立ちフォーマットを統一する必要があったため、実尺時間プラスアルファのエンコード時間がかかっていました。しかしPremiere Proであれば、WMV、MP4、MXF、VOB、MOVなどの多様なフォーマットを変換することなく繋いでいけるので「待つ」ということ自体がありません。さらに以前はテロップ挿入後、映像を少しだけ短くする場合でも、再度レンダリングを行う必要がありましたが今ではそれも不要です。これもかなり大きな効果です」

映像処理時間の大幅短縮がさらなるクリエイティブを呼ぶ

データ変換や再レンダリングが不要になったことは、時短よりもむしろ、品質向上に貢献していると山田氏は言う。

「テレビ業界の場合、収録の1〜2週間後に番組として放送されることが一般的です。こうした時間的制約の中で最善のものを作ることが求められる僕らにとって、エンコードの待ち時間が不要になることは本当に助かります。待ち時間がないぶん、今はすぐにやってみたいこと、試したいことができます。節約できた時間を新たな挑戦やクリエイティブ業務に費やせるようになったことは、品質の向上という観点でも大きな効果です」

直感的に入力できるテロップでイメージを具現化

Premiere Proの操作感に対する評価も高い。山田氏と共に『ZIP』を担当する、キャリアディビジョン制作部アシスタントディレクターの小川修平氏はこう説明する。

「まず実感しているのが、画面を見ながらテロップが入力できることのメリットです。以前のツールの場合、テロップは別画面で入力する必要がありましたが、Premiere Proであれば、動画上でフォントの種類やサイズ、色を確認しながら感覚的に作業を行えます。また、テロップにエッジをつけたり、色味をぼかしたりすることもできるため、専用ツールに頼ることなくイメージを具現化することも可能です」

これまでテロップの入力は編集所の専門スタッフが担うことが一般的だった。Premiere Proにより、現場ディレクターがテロップ制作を手掛けることも可能になったのだ。

「テロップについては、色などに自分なりのこだわりがあるので、画面上で試行錯誤できるようになった点はとても助かっています。これだけの機能があれば、使い方次第で専用テロップツールも十分代替できると思います」(小川氏)

(左から)山田 貴仁氏、伏見 隆氏、小川 修平氏

アドビ製品との連携でより高品質な映像作品が制作可能に

Premiere Proと各種アドビ製品との親和性・連携性は当然ながら高い。

「Photoshopで制作した画像が即座に動画に取り込めることは、その分かりやすい例です。私はコンプリート版を入れているので、Premiere Pro、Photoshopだけでなく、Illustrator、Media Encoder、After Effectsなども使用することが可能です。特に注目しているのがAfter Effectsです。その活用により納品レベルの動画制作がPC上で可能になると考えています。ぜひ挑戦してみたいですね」(小川氏)

動画配信サイトの成長もあり、優秀な動画ディレクターはテレビ業界に限らず、引く手あまただ。こうした中、スキル向上を図る同社の取り組みは大きな意味を持つに違いない。

※掲載された情報は、2019 年4月現在のものです。

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