スピーディーな分析環境でデータドリブン経営を加速

ヤフー株式会社 

設立

1996年

従業員数:6,330名(2018年3月31日現在)
所在地:東京
shopping.yahoo.co.jp

15倍

スマホアプリ経由の販売が増大

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課題

これまでデータ分析に使っていたシステムは網羅性を重視していたため、データの抽出/分析に時間がかかっていた

デジタルマーケティング施策の改善のために重要な顧客行動を把握するためのデータが計測できていなかった

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成果

Adobe Analyticsを活用することで、ユーザー自身がリアルタイムに分析を行える環境が実現

流入元やコンバージョンまでの経路といった顧客行動を可視化。きめ細かなセグメント分けも行えるようになり、分析結果をアクションにつなげやすくなった

Adobe Analyticsの機能とアドビのコンサルタントのサポートを積極的に活用することで、データ分析に必要な負担が大幅に軽減し、働き方改革につながると期待が高まっている


「Adobe Analyticsを通じて必要な時に、必要なデータを、スピーディに入手。迅速な意思決定をサポートするデータ分析環境を実現できました」

 

ヤフー株式会社 コマースカンパニー ショッピング統括本部 プロダクション2本部 データ・CRM技術部 事業分析室

秋生 素子氏


膨大なデータから必要な情報を素早く抽出して、分析したい

国内最大級のポータルサイトを運営するYahoo! JAPANが、1999年にオープンした「Yahoo!ショッピング」。「インターネット上で買えないものをなくす」という目標を掲げ、出店料や売り上げロイヤルティの無料化、出店者から顧客へのメール送信や自社サイトへの送客自由化といった「eコマース革命」を推進してきました。現在では約55万ストアが出店し、国内最多(Yahoo! JAPAN調べ)となる2億9,000万種の商品を販売。多彩なストアが販売する商品を、いつでも簡単かつ安全に購入できる点は消費者からも高く評価され、年間取扱高も4,789億円に達しています。

 

現在のビジネス環境において、データは顧客やビジネスを可視化し、最適な意思決定を行うために必要不可欠。同社の経営層もリアルタイムなデータ活用による「データドリブン企業への脱皮」を目指しており、データ分析のスピードをいかに向上するかが重要な経営課題となっています。

 

しかし、これだけ大規模なインターネットショッピングモールともなると、蓄積されるデータは膨大な量に上ります。そのため、意思決定のためのデータ抽出、分析などには大きな工数を伴っていました。

 

「データを抽出してExcelを使ってグラフ化するなど、手作業で分析を行っていたため、必要なデータを用意するのに約2日間かかっていました」と同社の秋生素子氏は振り返ります。

 

加えて、工数の問題だけでなく、データの種類に関する課題もありました。

 

既存のシステムでは、サイトへの流入量や最終的なコンバージョンレートの計測などが行えておらず、現在のオンラインサービスにおいて重要なデータとなる「利用者がどのような動線をたどり、その結果どのようなコンバージョンレートになったか」といった顧客行動を分析するのが困難だったのです。

データ分析のリアルタイム性、きめ細かな計測項目を評価

このような課題を解消するため、同社は「Adobe Analytics」を活用しています。

 

「社内には多種多様なシステムがありますが、IRや予算管理のために網羅的にデータを収集しており、ピンポイントで必要なデータを抽出するのはSQLなど人が手を動かす必要があります。それに対してAdobe Analyticsは、オンラインサービスの状況を可視化し、デジタルマーケティング施策を強化、最適化することが目的のツール。流入元、コンバージョンまでの行動など、社内システムでは把握できないきめ細かなデータを即座に可視化でき、スピード重視の分析環境を実現できます。顧客属性もきめ細かくセグメント分けでき、どの属性のお客様がどのような動線でコンバージョンに至ったのか、メッシュを切った分析も可能など、『こんな情報を見てみたい』というニーズにしっかり応えてくれます」と秋生氏は、評価のポイントを語ります。

 

また、直感的な操作性や分かりやすいビジュアル表示も高く評価しています。

 

Adobe Analyticsを導入するのは、素早い意思決定を支援するため。そのためには、多くのユーザーに浸透して、社内の共通ツールとして定着する必要があります。特別なスキルがないユーザーでも使いこなせることは、スムーズな浸透と定着に貢献します。

 

同時に分析結果が、ビジネス上のどんなことを示しているのかを即座に理解し、それをメンバー間で共有できることも素早い意思決定のためには不可欠。以前は、そのためにExcelを用いてグラフを作成したりしていましたが、Adobe Analyticsであれば、そうした手間をかける必要もありません。

 

他にもプロジェクト単位に独自の情報共有の場を作成でき、チーム共同での分析作業を可能にする「ワークスペース機能」を実装しているなど、Adobe Analyticsには、データに基づいた意思決定に役立つ様々な特長があります。これらの機能を有効活用しつつ、同社は様々な工夫を行い、Adobe Analyticsの活用レベルを上げています。

 

例えば、利用者によってバラバラとなりがちな様々な評価指標についても、権限管理やカスタマイズ性の高さを活用し「公式指標」の確立を中心とする標準化に向けた取り組みがあります。

 

「Adobe Analyticsを使うと様々な分析が行えます。しかし、リッチすぎて、最初は何をしたらいいのか分からない部分もありました。そこで、よく使う分析を公式化し、標準的な分析メニューとして整理することで、誰でもすぐに使えるようにしたのです。標準化に向けた取り組みは、分析結果の『共通言語化』という狙いもあります。例えば『コンバージョンレート』といっても様々な定義がありますが、それを知らないと、異なる指標を指しながら、同じ点について話し合っているとミスコミュニケーションが生まれてしまうかもしれません。そこで、『購買に至った人数/訪問人数』と『購買に至った数/訪問数』をどう使い分けるか、流入分析ではどの指標で評価するか、といった集計の定義も同時に進めていきました」と秋生氏は説明します。

 

アドビのコンサルタントによる相談会で日々の疑問を解決

 

Adobe Analyticsの活用レベルを上げていく上では、アドビのコンサルタントもサポートを行いました。

 

まず、活用を開始した当初は部門ごとに「データリーダー」を1人ずつ選抜し、Adobe Analyticsの使い方やデータ分析ノウハウをレクチャーする集合研修を実施。入門レベルでは操作中心のトレーニング、基本レベルでは基本的な用語や概念の理解、そして上級レベルではA/Bテスト設計やカスタマージャーニーの描き方などをカバーした研修を実施しました。

 

すでに活用が進んだ現在は、週次で分析に関する「相談会」を開催。各ユーザー部門からの質問や相談に対応しています。

 

「その週にユーザー部門から寄せられたお問い合わせで難易度の高いものはアドビコンサルにアドバイスをもらっているのですが、Adobe Analyticsの機能や技術面だけでなく、ビジネス的な観点で、どんなデータを見るべきか、抽出したデータをどう判断すべきかといった相談にも乗ってもらっています。ユーザー部門もとても頼りにしており、直接質問をするために相談会に参加するメンバーも増えていきました」(秋生氏)

新規会員の獲得や売り上げ拡大などの成果につながる

Adobe Analyticsによって、同社のデータ分析環境は大きく変わりました。これまで以上にきめ細かい分析をスピーディに行えるようになり、より迅速な意思決定につながっています。

 

例えば「ある商材の売り上げを上げたい」場合、以前はそのブランドを「購入した」「購入しなかった」というセグメントでしか比較/分析ができませんでした。一方、現在は「購入しなかった」セグメントの顧客に対して、「その商材を検索したが購入しなかった」「閲覧までしたが購入しなかった」などサイト行動の深度に合わせた条件で細分化でき、どこで購入を促す施策を打つべきなのかが判断しやすくなっています。

 

その他にも様々な効果が上がっています。以下では2つの部門を取り上げ、活用方法と効果を紹介します。

 

SEOに対する意識が高まり、自然検索からの流入が大幅増加

 

1つ目はマーケティング本部 集客企画部 SEO推進における活用例です。

 

「Yahoo!ショッピングはYahoo! JAPANのポータルサイトからの流入が圧倒的に大きいため、以前はSEOをあまり意識していませんでした」とSEO推進におけるリーダーを務める雨澤稔氏は話します。

 

しかし、スマートフォンへのシフトが進んできたことで市場環境が大きく変化しつつある現在、ポータルサイトからの誘導に頼っているだけでは、集客が先細りになるという危機感があったといいます。

 

「Yahoo! JAPANポータルではなく、検索エンジンの自然検索から訪問した人は新規顧客のケースが多いはず。そのためSEOは顧客層の拡大につながると考えられます。そこで流入経路ごとに行動パターンを可視化し、リーチを拡大するにはどのチャネルでの施策が効果的なのかを明確にした上でSEOの重要性を関連部門のメンバーに理解してもらおうと考えました」(雨澤氏)

 

まず行ったのが新規利用者と既存利用者の割合、そして、その中にプレミアム会員がどれだけ含まれているのかをチャネルごとに計測するという分析です。その結果に基づき、流入チャネルを意識した「集客コミュニケーションマップ」を作成。これをショップのページ制作担当者と共有するという取り組みを進めました。

 

「アドビのコンサルタントにも協力してもらい、他社事例も参考にしながら分析と資料作成を進めました。その結果、社内のSEOに対する理解が深まり、検索と連動したページを用意するなど、ショップのページ構成も検索エンジン経由訪問ユーザーを意識したものへと変化しています」(雨澤氏)。実際、自然検索からの流入は確実に増加しており、前年比で3倍の流入を実現したサイト領域もあります。また新規会員の獲得数も増えており、新規注文者数が前年比で2倍になったケースもありました。

 

「最初はこちらから話を持ちかけていましたが、成果を証明できたこともあり、最近では社内の様々な部門からSEOに関する相談があります。SEOへの意識が高まり、SEOをやるのが当たり前という文化が根付きつつあるのが最大の成果ですね」と雨澤氏は強調します。

 

継続的な改善でアプリ経由での購入額が2年間で15倍に

 

もう1つはスマホアプリにおける活用例です。

 

Yahoo!ショッピングのスマホアプリは2012年から提供していますが、スマートフォンの普及とともに、年々、その存在が重視されるようになっています。

 

「アプリでの顧客体験を改善するために計測をしっかりやるべきという意識は以前からありましたが、セグメント別にコンバージョンを分析するといった複雑な分析ができず、改善のために何を行うべきなのかが見えませんでした。一斉に新バージョンに切り替わるWebサイトとは異なり、バージョンアップがあるアプリには、旧バージョンを使っているユーザーも少なくないため、細かいセグメント分けが必須。そこでAdobe Analyticsを使うことにしたのです」と同社のアプリ企画でリーダーを務める渡邉 裕作氏は言います。

 

具体的に同社が積極的に実施しているのがA/Bテストです。アプリをどう改善すべきか、複数のパターンをリリースしてテストを行い、その結果を見ながら最適化を進めているのです。

 

判断材料としている主な指標は、セグメントごとのコンバージョンレートと再訪頻度など。セグメントは、新規顧客か既存顧客か、さらには共同でキャンペーンを行っているソフトバンクのユーザーであるかどうか、Yahoo!ショッピングの利用頻度などに基づいて分類しています。

 

このようなA/Bテストは、連日行われており、その結果を基にしたアプリ改善も継続的に行われています。「プロダクトの改善を行うのであれば、しっかりと仮説を立てながら『ユーザーに問い続けること』ことが重要が重要と考えているためです」(渡邉氏)。

 

顧客体験の改善だけでなく、トラフィックが多いWebサイトでの集客施策、ASOによるダウンロード率改善、PushやWebサイトからアプリ内の特定コンテンツへと送客するディープリンクなどの再訪問施策なども行い、アプリ経由での購入額は2年間で15倍と急速な勢いで増大しています。

 

「購入額が急増した結果、プロダクト面やマーケティング面でアプリにどれだけ注力すべきかを社内に示せるようになりました」と渡邉氏は話します。

 

このような取り組みを進める中で、渡邉氏は前述の相談会に積極的に参加しています。

 

「例えば一目見ただけでは結果の判断が難しい改善施策の結果や、課題を深掘るような分析でも、アドビのコンサルタントのアドバイスを受けて、セグメント分けを変えてみたり、指標を細かくしてみることで、ユーザーの行動が浮かび上がり、改善のための次の一手が見えてくることがあります。分析で困った時にはすぐに相談するようにしており、駆け込み寺のような存在になっています」(渡邉氏)

 

効率的なデータ分析環境はワークスタイル変革にも有効

 

この2つの部門での成果以外に注目したいのが、分析に伴う作業の大幅な効率化です。

 

すでに紹介したワークスペース機能の活用や、公式指標の整備などによって、誰でもスムーズに分析が行えるようになり、以前のようにユーザーからの依頼に対応するために、手間をかけてデータを抽出/分析して、レポートを作成するといった工程はもう必要ありません。新しい切り口の分析を行いたいという依頼があった場合も、そのために必要な設定を行うだけで、分析はユーザー自身が行うことが可能です。

 

また、日々の疑問は相談会でアドビのコンサルタントとともに解決するという良いサイクルが生まれていることも効率化につながっています。

 

各部門からのデータ分析に関する問い合わせ窓口を務める秋生氏が、現在、時短勤務中ということからも同社のデータ分析プロセスの効率の良さが分かります。

 

「現在、大きなテーマとなっているワークスタイルの変革という点でも、Adobe Analyticsは業務効率化実現の一助になってくれていると感じています」と秋生氏は言います。

 

このようにYahoo!ショッピングは、Adobe Analyticsを活用して、エンドユーザー自身がリアルタイムに分析を行い、迅速な意思決定を繰り返して、日々のビジネスを最適化していくというデータドリブンな環境を実現しました。これは、現在データ活用において大きなテーマとなっている「データ分析の民主化」における先進的な事例ともいえるでしょう。今後、ユーザーたちの分析スキルが向上していけば、さらに大きな成果につながる可能性もあり、同社の取り組みは大いに注目を集めそうです。 

コマースカンパニー ショッピング統括本部 マーケティング本部 集客企画部 検索集客 リーダー 雨澤 稔氏

コマースカンパニー ショッピング統括本部 マーケティング本部 集客企画部 検索集客 リーダー

雨澤 稔氏

コマースカンパニー ショッピング統括本部 プロダクション1本部 フロントエンドプロダクト企画部 アプリ推進 リーダー 渡邉 裕作氏

コマースカンパニー ショッピング統括本部 プロダクション1本部 フロントエンドプロダクト企画部 アプリ推進 リーダー

渡邉 裕作氏 

コマースカンパニー ショッピング統括本部 プロダクション2本部 データ・CRM技術部 事業分析室 秋生 素子氏

コマースカンパニー ショッピング統括本部 プロダクション2本部 データ・CRM技術部 事業分析室

秋生 素子氏

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