グローバルで質の高いアセットを共有変化に対応するためのブランド価値強化に挑む

ヤマハ株式会社

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導入メリット

多様なアセットをグローバルで共有: 動画や音声、バイナリデータなど、世界各国で制作した多様なアセットをほかの地域にも共有

効率的な検索、共有の仕組みを実現:ポータルを通じたキーワード検索、共有のためのワークフローを実装して利便性の高い仕組みを実現

一貫したブランドメッセージを発信:共有したアセットを活用することで、webやSNSなどを通じて一貫したブランドメッセージを発信

デジタルマーケティングを加速させる基盤を実現:アセット管理の仕組みと、ほかの仕組みを連携させてデジタルマーケティングの高度化に挑戦

変化する市場と顧客に対応するためにブランド価値の強化を推進しているヤマハ株式会社(以下、ヤマハ)。その一環として、画像や動画などのアセットを管理するデジタルアセットマネジメント(DAM)を「Adobe Experience Manager」で構築した。質の高いアセットを世界中で共有し、webやSNSを通じた顧客とのコミュニケーションに活用。ブランドの一貫性を保ち、価値を強化するだけでなく、将来のデジタルマーケティング施策の基盤としても期待が高まっている。

導入の経緯:新興国ニーズの高まり、電子楽器へのシフトなどに対応

音や音楽を通じて人々のこころ豊かな生活に貢献することを目指すヤマハ。2019年1月からは、顧客がこころ震わす瞬間を表現した「Make Waves」をブランドプロミスとして制定し、グローバルレベルで、ブランド価値の向上に向けた取り組みを推進している。

同社が、改めてブランド価値を重視している背景には、楽器市場の変化がある。まず、これまで主要な市場であった欧米や日本に加え、中国や新興国でのニーズが高まっている。

「また、手軽に扱える電子ピアノ等、電子楽器へのシフトもみられます。木材が主な材料となっているピアノやギターなどの楽器は、その特性上、多くのお客様が店舗で試奏をして購入しますが、電子楽器は必ずしも試奏を必要としません。そのため、オンライン販売の割合が高まっています」と同社の枡本 賦太氏は話す。

オンライン販売の比率が増えると、店舗での試奏のフィーリングや店員の接客なども購入を後押ししていた時代よりも、ヤマハの楽器を所有することの満足度、安心して購入できるという信頼、つまり、これらを包含したブランド価値がますます重要になる。

そこで同社が取り組んだのが、グローバルに一貫したブランドメッセージを発信するための環境の構築である。その一環として、画像や動画などのクリエイティブアセットの管理を見直した。オンラインで楽器を購入する顧客とのコミュニケーションでは、ヤマハや販売会社、特約店が運営するwebやSNSが中心となる。そこで、どのようなアセットを利用するかがブランド価値を左右するからだ。

特に欧米や日本の法人は、イベントのために予算をかけて動画を制作するなど、質の高いアセットを日々、制作しています。それにもかかわらず、それらのアセットをほかの地域と共有するのが難しく、効率的に活用できていませんでした。質の高いアセットをグローバルに共有、活用していく仕組みが必要と考えたのです」と枡本氏は話す。

選択のポイント:多様な種類のアセットに対応できる点を評価

そこで、同社がデジタルアセットマネジメント(DAM)基盤に採用したのがアドビのAdobe Experience Managerである。

採用の決め手となったのは、写真だけでなく、動画や音声、バイナリデータなどにも対応できること。国内外での導入実績の多さと第三者からの評価。「そして、デジタルアセット管理だけでなく、コンテンツマネジメントシステム(CMS)への展開も想定し、ほかのアドビソリューションとも連携させれば、将来、より高度なデジタルマーケティングを推進するための基盤となり得ることも評価しました」(枡本氏)。

枡本 賦太 氏

「 一貫したブランドメッセージを発信できる環境が整いました。 検索性が向上したことで、社内でもアセット共有の機運が高まっています」

枡本 賦太 氏

マーケティング統括部 UX 戦略部 デジタルプラットフォームグループ リーダー

導入効果:ポータルやワークフローの実装で利便性を高める

ヤマハはAdobe Experience Managerを通じて、世界中の販社や特約店とアセットを共有できる環境を整えた。「これまでの資産である商品画像などもAdobe Experience Managerに保管し直し、現在、10万点近いアセットが格納されています。稼働開始直後に新ブランドのスタイルガイドをAdobe Experience Managerで共有したのですが、非常にスムーズでした」と同社の東海林 勇海氏は話す。

また、同社はアセットの活用効率を高めるために、Adobe Experience Managerの機能を活用して、検索用のポータルを構築。ユーザーは、このポータルを通じて、キーワード検索の要領で必要なアセットを探し出すことができるようになっている。

「実は、以前も『写真共有システム』という仕組みがあったのですが、カテゴリなどでツリー構造になったフォルダごとにアセットが格納されていました。その構造が複雑な上、目当ての画像を手作業で探さなければならず、非常に検索性が悪いという課題がありました。検索性の悪さから利用を諦めてしまうユーザーもおり、それがアセットの横展開を難しくし、各地で独自のアセットが制作されてしまう一因となっていると考えていました。一方、検索性が向上した現在は、Adobe Experience Managerでアセットを共有していこうという社内の機運も高まっています」と東海林氏は言う。

この機運の高まりを受けて、枡本氏や東海林氏の所属するマーケティング統括部では、現在、世界各地で 制作されたアセットを共有する際、受付、ブランドチェック、Adobe Experience Managerへの登録といったプロセスをカバーしたワークフローの実装を急いでいるという。

「ブランドを守るには、アセットの一元チェックが必要ですが、それをメールなどでやりとりするとなると非常に煩雑になってしまう。ワークフローを実装することで、双方向にアセットをやりとりしながら、世界中で質の高いアセットを活用した一貫性のあるブランドコミュニケーションを行えると評価しています」(東海林氏)

東海林 勇海 氏

「 ワークフローを実装することで、双方向にアセットをやりとりしながら、世界中で質の高いアセットを活用した一貫性のあるブランドコミュニケーションを行えると評価しています」

東海林 勇海氏

マーケティング統括部 UX 戦略部 デジタルプラットフォームグループ

今後の展望:より高度なデジタルマーケティングに挑戦

Adobe Experience Managerの導入によって、ヤマハは、アセットの効果的な管理と活用を実現しました。

今後は、変化する市場で存在感を発揮し続けるために、さらなるデジタルマーケティングの強化にも着手していく計画だ。

「お客様の中には、せっかく買っていただいたのに楽器を演奏することを諦めたり、やめたりしてしまう人もいます。お客様と継続的な関係を築き、演奏の楽しさを共有することで、そうしたお客様のフォローをしていきたい。また、一般のお客様の場合、人生の中で楽器を購入する機会は、そう多くはありません。ですが、継続的なコミュニケーションを通じてヤマハのファンになっていただければ、そのお客様を通じて、 新しいお客様にもヤマハの魅力を伝えていただける可能性が広がります。デジタルマーケティングを通じて、お客様との新しい関係を構築していきたいと考えています」と枡本氏は言う。

例えば、顧客管理基盤などと連携させて、楽器を購入した後の利用状況などに応じて、パーソナライズしたメッセージによるコミュニケーションを行うなど、様々な施策を検討している。

「デジタルマーケティングの実践に向けた取り組みは、まだはじまったばかり。これからも様々な施策に挑戦していきます。世界中の様々な企業のデジタルマーケティングを支援し、多くの成功事例を持つアドビのノウハウにも大いに期待しています」と枡本氏は最後に語った。

企業情報

ヤマハ株式会社

https://www.yamaha.com/

1887年創業、130年以上の歴史を持つ 。創業時から音や音楽を通じて人々のこころ豊かな生活に貢献することを目指し、 「感動を・ともに・創る」を企業理念に掲げている。

本社: 静岡県浜松市中区中沢町10-1

設立:1897年10月(創業は1887年)

従業員数: 20,375人(2019年3月末現在、連結)

事業内容

楽器事業: ピアノ、電子楽器、管・弦・打楽器等の製造販売等

音響機器事業:オーディオ、業務用音響機器、情報通信機器等の製造販売

その他: 電子部品事業、自動車用内装部品事業、FA機器事業、ゴルフ用品事業、リゾート事業等

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