



約4日
従来10日かかっていた採用業務が短縮
120分
採用書類授受業務1件あたりの時間が短縮
課題
・採用書類関連の事務手続きを効率化したい
成果
・採用書類を作成する負荷が大幅に省け、作業工数が大きく減少
・必須項目の設定で記入漏れが少なくなり、修正のための作業コストも削減
・書類回収までにかかる時間が10日から4日程度にまで短縮
・採用書類の処理をテレワークでも行えるようになり、働き方改革が推進された
「Adobe Acrobat Signの導入によって年間約300名の採用に係わる事務業務の効率化を実現できました」
デジタルソリューション部 IT企画室 平野 幹氏
コロナ禍を機に、デジタル活用による業務変革を推進する横浜トヨペット株式会社。同社はその取り組みの一環として、採用に係わる書類の事務手続きにAdobe Acrobat Sign を採用し業務プロセスの改善を図った。また、Microsoft 製品との連携で採用書類取得後の社内処理を自動化したことから、採用業務の大幅な効率化とテレワークの推進につながった。この課題解決のノウハウを活用し、管理者と利用者の両方の視点から、さらなる効率化を図っていく考えだ。
改革のなかで紙書類の多い採用手続きに着目
横浜トヨペット株式会社(以下、横浜トヨペット) は、トヨタ車ディーラーとして神奈川県下トップクラスの販売台数を誇る。また、ウエインズグループの中核として自動車販売以外にも幅広い事業を展開している。
同社では、コロナ禍を機に業務におけるデジタル活用を加速するため、「DXプロジェクト」を設立した。
「従来の出社ありきの働き方から出社ができない状況に変化しても、これまで通りお客様とのコミュニケーションを維持し、ご要望に対応できるような体制が必要になりました。プロジェクトでは、効果的なデジタルツールの導入を推進し、そのツールを問題なく使用できるように社内勉強会などを開催しています」と語るのは、デジタルソリューション部 IT 企画室の平野 幹氏。
同社は、トヨタカローラ神奈川、ネッツトヨタ神奈川との統合を2023年1月に控え、統合後の従業員数は4,000人超となり、まさに大きな変革の渦中といえる。
そんな中で表面化してきた課題が、採用関連の書類のやり取りが煩雑化しており、また各社で採用業務のフローが異なっている点があり、業務統合の必要に迫られ、担当者への負荷が大きくなっていたことだった。
3社で年間約300人にも及ぶ採用者の手続きは、工数が多く、大変な労力が必要となる。現場での業務課題について、人づくり推進部 人財採用室の秀島 菜美子氏は次のように話す。
「採用者に対して記入捺印してもらう書類は、1人当たり平均して10種類以上あります。一つ一つの書類それぞれに対して、記入捺印漏れがないように付箋等で指示をしているため、書類の送付にかなりの手間がかかっていました。また、送付した書類が返送されてくるまでには最短でも2週間ほど要しており、記入漏れがないか確認してから各部署へ振り分け作業をする受領後の対応も含めると、1カ月ほどかかる場合もありました」
こうした、紙書類の手続きによる手間と負荷が明確である採用事務に着目し、電子サインソリューションによる業務プロセスの改善を検討することとなった。
デジタルソリューション部 IT 企画室
平野 幹氏
人づくり推進部 人財採用室
秀島 菜美子氏
法的要件を満たすことと、信頼性の高さが決め手
紙書類による署名捺印のやり取りを電子化するさまざまなソリューションを検討した結果、最終的にAdobe Acrobat Signを選定した。その理由を平野氏はこう語る。
「Adobe のネームバリューはもちろん、非常に使いやすい点や、採用に限らず全国の取引先にも対応し、多種多様な活用ができる電子サインソリューションである点が導入の決め手となりました。また、AdobeAcrobat Sign はグローバル基準で幅広い法的要件にも準拠しているので、コンプライアンスを担保できることから、安心して採用できました」
スムーズに運用を開始できるよう、横浜トヨペットでは3〜4カ月かけて入念に事前準備を重ねた。
「さまざまな雇用条件があり、18書類もの書式内容と運用フローの精査を進めました。一番多い書類パターンの基準を整理して、そこで使用される書類を一つずつフォーマット化。また、統合に向け3社で微妙に異なっていた書類の書式を見直し、同一の目的のものは単一の書式に統一していきました」( 平野氏)
今回のAdobe Acrobat Sign 導入では、書類受領後の社内処理工程を自動化するため、Microsoft 製品との連携も実現している。採用者によるサインが完了すると、複数のWEB サービスやアプリケーションを繋いで業務プロセスの⾃動化するツール「Power Automate」によってリアルタイムにPDF が自動で担当部署ごとに仕分けされ「Sharepoint」へ格納される。また、格納されると「Teams」で関係者に通知されるため、処理担当者は電⼦サイン完了と同時に書類の確認が可能となるしくみだ。
契約者がオンライン上でサインを完了させるとすぐに関係者の「Teams」に通知され、リアルタイムに処理することが可能になった
管理者と新入社員双方の作業を同時に効率化
Adobe Acrobat Sign を導入したことで、郵送や振り分けの作業が減り、また書類回収までの時間も10日ほどかかっていたものであれば4日程度にまで大幅に短縮。早ければ書類を送信した当日に完了できたこともあったという。また、Adobe Acrobat Sing 上で記入・捺印の必須項目を設定できるので、記入しないと次に進めないように制限がかかるため、記入漏れが減少した。その結果、書類記載不備による再郵送の頻度も減り、授受業務は年間で見ると授受業務1件あたり約120分も短縮することができた。
実際の採用手続きを担当する、人づくり推進部 人財採用室の石鍋 聡子氏は、今回の導入効果をこう評価する。
「採用者への書類送付から書類受領後の社内処理まで一貫してオンラインで安全に、かつリアルタイムに処理でき、テレワークでの対応も可能になったことが大きいです。採用者側も書留で書類を返送する手間などが省けて、負担を減らすことができていると思います。特に外国人留学生は母国(国外)の親族から直筆サインを取得するために国際郵便を利用いただく事もあり、採用者の方の時間も手間もかかっていました。
現在はAdobe Acrobat Sign 導入をきっかけとした入社書類の見直しで、この件に関する負担はゼロとなりました。新卒採用者がサインしたデバイスの8〜9割がスマートフォンだったことも管理画面でわかり、身近なデバイスで手軽に操作ができることが効率化のポイントだと感じています。また、手軽な操作で手続きができるのは、大前提としてAdobe Acrobat Sign に高いセキュリティ性が担保され、かつ本人性と非改ざん性の法的要件を満たしているからこそ、採用者も安心して契約を結ぶことができていると考えています」
人づくり推進部 人財採用室
石鍋 聡子氏
さらなる効率化に向けて
横浜トヨペットでは、今回の成功体験を通じて、さらなる業務の改善を目指して既に動き始めている。
「現在も2週間に1回ミーティングを行い、課題の抽出・改善を目指しています。採用者の中には、スマートフォンなどをお持ちでない方や、障がいをお持ちの方などがいらっしゃいます。デバイスでサインできない方々も意識して、デジタルと紙をいかにスムーズに併用していくかも今後の課題です」( 平野氏)
横浜トヨペットでは、人財採用室以外にも既にAdobe Acrobat Signを活用している部署もあり、契約書類にまつわる電子化の横展開が始まっている。さまざまな分野で効率化を図る横浜トヨペットにおいて、Adobe Acrobat Signは今後もさらに大きな役割を果たしていくだろう。
※掲載された情報は、2022年6月現在のものです。