基礎から押さえる「コンテンツマーケティング」 (3): 適切なコミュニケーションを実現するための情報基盤とは

2018年10月9日



【POINT】

  • カスタマージャーニーを明確に定義した上で、それに合わせた「コンテンツジャーニー」を設計する必要がある
  • 情報基盤は、施策の実行を楽にしてくれるだけの存在ではなく、効果的な運用を担保してくれる存在としても有意義だ    
  • 情報基盤は、コンテンツに対する顧客の反応から顧客の体験を把握することに大きな効果を発揮する
 

第1回ではコンテンツマーケティングを広義にとらえなおす意義、およびその価値と役割について整理した。また第2回ではコンテンツ制作組織の作り方について述べた。

この第3回では、適切なコンテンツを適切なユーザーに届けるための方法、情報基盤について考えてみよう。

なぜ、いま情報基盤が必要なのか

なぜ、いま情報基盤が必要なのか

かつて、ほぼすべての企業は、1つのコンテンツを万人向けに提供してきた。「企業の想定した顧客ニーズの最大公約数」、もしくは「企業が表現したいステートメント」をアピールしてきたのだ。

 

対して、いま求められるのは、顧客一人ひとりが持つそれぞれのニーズに応えること。ニーズの「種類」と「段階」に対応しながら、ニーズを充たすことによるユーザーの心の変化を想定して施策を実行する。つまり、多様なコンテンツを用意しておき、顧客がカスタマージャーニーのどの位置に居るのかを判断した上で、適切な内容のものを提供する必要があるのだ。

 

では、だれに、何を届ければ良いのか。それには「4Rコミュニケーション」として知られる考え方が参考になる。

 

【4Rコミュニケーション】

・最適な相手に   :Right Person

・最適なタイミングで:Right Timing

・最適な内容を   :Right Content

・最適なチャネルで :Right Channel

 

たとえば、従来よく行われた施策であるA/Bテストを考えてみる。テストを実行し、コンテンツAを70%の人、Bを30%の人が好んだ場合、Aが選択され、Bは活用されないこととなる。1つのコンテンツを万人向けに提供する前提であれば、それで良いかもしれない。

一方、効果的なコンテンツマーケティングでは、Bを気に入った30%に対してBを提供することこそ、「最適な相手」に「最適な内容」を届けることになる。さらに、「最適なタイミング」と「最適なチャネル」という要件も充たさなければならない。

 

そのために、カスタマージャーニーを明確に定義した上で、それに合わせた「コンテンツジャーニー」を設計する必要がある。そして、顧客の状態や段階に合わせてコンテンツを提供する。これは、コンテンツ制作においても明瞭な指針になる。なぜなら、制作陣はコンテンツジャーニーの穴を埋めるようにコンテンツを作って行くことができるためだ。マーケティング担当者は、売上や、送客数、契約維持率などのビジネス目標の最大化を目指してコンテンツを運用することになる。

コンテンツマーケティングの課程は、実行しながら学び、調整すること

コンテンツマーケティングの課程は、実行しながら学び、調整すること

カスタマージャーニーは、時と共に変わる。顧客のニーズは変化し、注力するビジネス目標も一定ではない。そしてコンテンツジャーニーは、カスタマージャーニーと連動するものであり、カスタマージャーニーに変化の兆しが見えれば、コンテンツジャーニーも柔軟に変化させる必要がある。

また、当初狙った顧客の段階に対して投入したコンテンツが、実はあまり効いておらず、別の段階で効いていることがわかる、といった発見も多く得られるだろう。その場合は、コンテンツジャーニーを調整して効果の最大化を図る。

これらの事実を知るためには、コンテンツの効果を計測することが必要だ。効果がわからなければ改善を図ることもできず、すべての施策が“思い込み”で進んでしまうリスクがある。

 

そこで求められるのが、コンテンツマーケティングを支える情報基盤だ。情報基盤は、施策の実行を楽にしてくれるだけの存在ではなく、効果的な運用を担保してくれる存在としても有意義なのである。

情報基盤に求められる条件とは?

情報基盤に求められる条件とは?

では、どのような情報基盤が求められるのだろうか。4つの条件を挙げよう。

(1)大量のコンテンツを包括的に管理できる

コンテンツの制作や修正をすばやく行うためのワークフローを備え、コンテンツを活用しやすい状態で保管し、任意のチャネルに向けて変換、配信、再利用できること。

 

(2)ジャーニーに沿った運用ができる

顧客一人ひとりの属性やニーズを管理し、カスタマージャーニーとコンテンツジャーニーを連動させ、顧客のコンテクストにもとづき、適切なチャネルを通じて配信できること。

 

(3)顧客体験の把握と評価ができる

顧客がコンテンツに接したときの閲覧状況や閲覧後の行動を計測、データとして記録し、心の変化を把握するべく、データを多角的に分析できること。セグメント化などによってその時々の顧客のコンテクストを定義し、次の施策に役立てること。また、コンテンツの調整や顧客体験の調整などのアクションに活用できること。

 

(4)自社の管理外で配信するコンテンツも包括的に管理できる

コンテンツは自社webで展開するだけでなく、電子メール、SNS、印刷物、OOH、パートナーサイト、および広告などとして展開することもある。社内外のすべてのチャネルに向けて配信し、その結果も可能な限り管理し、評価できるようにすること。

制作プロセスと顧客体験をどちらも進化させる

制作プロセスと顧客体験をどちらも進化させる

これらの機能を備えた情報基盤を手に入れることができれば、コンテンツマーケティングは大きく前進する。コンテンツマーケティングは「構想」「制作」「配信」「改善」の4つの活動の繰り返しだ。この活動はバラバラではなく、それぞれが密接につながっている。そのためコンテンツマーケティングを効率化する基盤は、コンテンツ基盤とデータ基盤が密接に連携したものが求められる。

 

(1)コンテンツの構想

コンテンツの構想段階において、マーケティング担当者は、狙うべき顧客のニーズや期待を情報基盤から入手し、深く理解することができる。その上で、伝えるべきメッセージをクリエイターに伝えられるため、制作するコンテンツの方向性を定めやすい。

 

(2)コンテンツの制作

コンテンツの制作段階においては、クリエイターとマーケティング担当者がアイデアと完成イメージを共有しながら、コンテンツを形にすることができる。たとえば、「イメージ素材は変えずに顧客の段階に合わせたコピーを配置して展開する」といったアプローチや、「イメージに使う写真を複数用意しておき、顧客の好みの写真を使用する」といったことも可能だ。プロトタイプの作成とレビューの段階から、制作に関わるすべての関係者が情報基盤上で共同作業し、最新のコンテンツと完成イメージを共有しながら制作を進めれば、制作はスムーズに進む。内容についての深い議論の過程を保存しておき、次の企画に生かすことも期待できる。

 

(3)コンテンツの配信

コンテンツの配信段階では、情報基盤には様々なテクノロジーによる効率化が期待される。データ基盤によってどのような顧客像なのか、ジャーニーのどの段階にあるのか、そしてどのような顧客接点を利用しているかを瞬時に判断し、コンテンツ基盤が最適なコンテンツをマッチングさせ、顧客接点に最適な形へと変換し、配信する。この一連の作業は「ミリ秒」単位のスピード感が求められる。これにより、前述した「4Rコミュニケーション」が実現される。

 

(4)コンテンツの改善

コンテンツに対する顧客の反応を測定し、反応が良ければ施策を寄せ、効果を最大化させる。期待した効果を得られなければ、施策を調整するか、コンテンツを見直す。こうして次の施策につなげることができる。

コンテンツマーケティングと情報基盤の未来

コンテンツマーケティングと情報基盤の未来

情報基盤は、コンテンツに対する顧客の反応から顧客の体験を把握することに大きな効果を発揮する。顧客の反応を見ながら効果を最大化させることによって、PDCAサイクルを高速に回すことが可能になるのだ。

 

コンテンツマーケティングを進めていくと、コンテンツのバリエーションは増えていくだろう。クリエイティブなど専門性の高い制作プロセスでは、クリエイターとの協働が必要になり、生産性を高めるワークフローを確立することが理想だ。たとえば、微調整で済む修正については内製化して、時間の短縮とコストの圧縮を図ることなどが考えられる。

 

また近い将来、画像の切り抜きや、文章の短縮、素材の組み合わせなど、ルール化しやすい“作業”は、人工知能(AI)がサポートしてくれる領域になる

 

情報基盤を選定するにあたっては、コンテンツとデータの融合、AIの活用など将来へのビジョンも検討材料にしてほしい。そうすれば、私たち人間は、顧客ニーズの見極めやコンテンツのアイデア作りなど、より創造性の高い分野で自らの役割を果たせることになるだろう。

 

UNITE編集部


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