Adobe Fireflyの生成AIを活用して制作したBarbieパッケージがホリデーシーズンの店頭に並ぶ

Adobe Communications Team

10-11-2024

世界的な玩具およびファミリーエンターテイメント企業であるMattel Inc.は、毎年数千もの新しい玩具を店頭に送り出しています。次々と登場するBarbie®やHot Wheels®に熱狂する子供たち、親、そしてあらゆる年齢層のファンたちの興味と想像力をかきたてます。この膨大な数の商品が目を引くパッケージとなって店頭に並びますが、そのパッケージは、社内の複数のクリエイティブ部門やマーケターによってデザイン、承認、修正が繰り返されます。同社は、この大規模な制作の効率性を高め、玩具をより早く市場に投入する機会をプリプロダクションプロセスに見出そうとしていました。同時に、素晴らしいパッケージングコンセプトを提供するという高い目標も維持する必要がありました。そこでAdobe Firefly生成AIに目がつけられました。これは、同社のクリエイティブプロセスを強化し、最もホットな新玩具をこれまで以上に早く子供たちに届ける理想的なソリューションです。

パッケージングのアイデアを具体化

以前、Mattel社のデザイナーは「ブルーライン」と呼ばれるスケッチを使用して、Barbieのパッケージの初期コンセプトを作成していました。これらのスケッチは、Barbieが置かれる環境の概略を示すものでしたが、デザイン部門以外では、クリエイティブなビジョンを完全に理解できないという課題がありました。デザインチームは複数のオプションを作成し、それを社内のレビュー担当者に提示する必要がありました。こうしたレビューサイクルでは、ブルーラインを何度も繰り返し作成し、フィードバックを何度も行う必要があるため、時間がかかります。

Adobe Fireflyを導入したことで、同社のデザイナーは、Adobe FireflyのwebアプリとAdobe Creative Cloudアプリケーションのシンプルなテキストプロンプトを使用して、高品質なパッケージングコンセプトを即座に生成できるようになりました。Adobe Fireflyは最初の中心的なアイデアを取り上げ、それをデジタルペーパー上に正確に描写します。その際、デザインチームを驚かせるような想像力豊かなクリエイティブ要素が加えられることもよくあります。コンセプトが社内レビューの段階に入ると、レビュー担当者には、最終パッケージングにより近いレンダリング画像で提供されます。

GIF of Barbie packaging.

承認が下りると、同社のデザイナーは、Adobe Photoshopで画像を簡単に編集、補正することができます。生成拡張機能を使用して背景を拡大し、複数パッケージサイズに対応することができます。また、生成塗りつぶし機能を使用して、さまざまなクリエイティブ要素を追加したり削除したりすることができます。この新しいプロセスにより、玩具を店頭に並べるまでの時間が大幅に短縮されました。

「Adobe Fireflyをデザインプロセスに導入したことで、クリエイティブチームとマーケターの連携が強化され、これまで時間を要していたレビューサイクルが不要になり、パッケージデザインの洗練や磨き上げに集中できるようになりました。組織全体で効率化が実現したことは歓迎すべきことですが、私たちは、テキストプロンプトからAdobe Fireflyが生成する想像力豊かなアイデアに、今も感銘を受け続けています」と、BarbieのパッケージングデザイナーのSal Velazquez氏は述べています。

https://main--da-bacom-blog--adobecom.hlx.page/blog/fragments/adobe-creative-cloud-for-enterprise-edition-4

お近くの店舗で発売中

Adobe FireflyによるBarbieのパッケージングは、現在、お近くの店舗の棚に並んでいます。Barbie Signature 2024 Holiday DollでMattel社のデザイナーは、「ゴールドの四角い彫刻フレームに絡み合う赤いリボン、ゴールドのリボン付きの赤いプレゼント、白い背景」という、シンプルなAdobe Fireflyへの指示からクリエイティブプロセスを開始しました。いくつかのバリエーションを生成した後、レビュープロセスはスムーズに進みました。デザイナーが、レビューで残った画像をPhotoshopで磨き上げ、Barbieが新たな世界へと踏み出す準備が整いました。

GIF of Barbie packaging process.

女子プロバスケットボールの成長の道を開拓した記録破りの伝説的人物のSue Birdを称える「Sue Bird Barbie Role Model Doll」では、Adobe Fireflyがコートでの興奮を捉えるのに役立ちました。同社のデザイナーは、Adobe Fireflyにプロンプト「スタジアムのバスケットボールコート、背景に観客席、コートに立って外を見ている様子、バスケットボールのコートとネットの斜めからの視点、サイドから見たスリークオーター」を入力することで、頭の中のコンセプトを素早く視覚化することができました。また、Adobe Fireflyはスタジアムの照明などの予想していなかった要素も取り入れて、パッケージングのコンセプトに活気と興奮感をもたらしました。

GIF of Barbie packaging process.

当初からアドビは、Adobe Fireflyを安全に商業利用できるように設計しました。最高品質のAdobe Stockアセットと、著作権が失効したオープンライセンスのパブリックドメインコンテンツでAdobe Fireflyをトレーニングすることで、これを実現しました。同時に、Adobe Firefly利用時には知的財産に関する免責事項が適用され、企業に安心感をもたらします。ユーザーは、Adobe Fireflyのwebアプリを使用するか、Adobe Photoshopなどのアプリケーションで直接使用することで、生成AIを日常業務に簡単に取り入れることができます。Adobe Fireflyは、リリース以来、世界中で120億枚以上の画像を生成しており、その反響は非常に大きなものとなっています。アドビは、企業顧客がこのテクノロジーを、デジタルマーケティング施策からリブランディングの取り組みまで、実にさまざまな用途で活用していることに感銘を受け続けています。

Mattel社の場合、Adobe Fireflyを活用してパッケージデザインを再考し、製品をより迅速に市場に投入する新たなプロセスを定義するとともに、新たな形のクリエイティブ表現を推進しています。アドビは、Adobe Fireflyを開発し、長年続いてきたプロセスを拡大しました。その際に、デザインワークフローの一部でしばしば繰り返される作業や組織の非効率性を生み出していた部分に注力しました。ほとんどのクリエイティブ専門家が、実際のクリエイティブ作業に費やす時間は全体の約30%にすぎません。新しいワークフローより、同社のデザイナーは、得意分野である、Barbieの魅力的でワクワクするような環境を作り出し、ブランドのファンの想像力をかき立てることに集中できるようになりました。同社の事例は、初期のアイデアをデジタルペーパー上で即座に形にするという手法の威力を示しています。このプロセスにより、同社では、より迅速に製品を出荷し、高まる消費者需要を捉えることができるようになりました。次に同社がどのようなものを生み出すのか、今から楽しみです。

Mattel社のパッケージングおよびEコマースクリエイティブ担当バイスプレジデント、Jamie Dunn氏によるAdobe MAX 2024のセッション:Barbie, Hot Wheels & More: Unboxing Content at Scale with Mattel Packaging(Barbie, Hot Wheelsなど:Mattel社、パッケージングでコンテンツを大規模に展開)を是非ご視聴ください。