アトリビューション:Attribution
アトリビューションとは、コンバージョンや売上に対する貢献度をマーケティングの接点に割り当て、最も効果的に機能している接点を特定し、それに応じてリソースを配分することです。
ポイント
- アトリビューションは、主にマーケティングやカスタマージャーニーの特定部分を対象にしますが、その他のビジネス機能にも適用できます。
- 異なるタイプのアトリビューションモデルでは、異なるマーケティングの接点を測定します。例えば、ラストタッチアトリビューションモデルでは、ビジネス目標を達成するための最終ステップに焦点を当てます。
- Adobe Analyticsでは、他の製品よりはるかに詳細なアトリビューションモデルを利用できます。アトリビューションの進化により、カスタマージャーニー全体でおこなわれた施策がビジネスに及ぼす影響を測定することが可能になりました。
アトリビューションに関する様々な疑問に、Nate Smithが回答します。Nateは、Adobe Analytics Cloudのプロダクトマーケティング担当グループマネージャーです。複数のアドビ製品において、戦略開発、製品ローンチ、ポジショニングおよびメッセージング、価格設定およびパッケージ、販売力強化、製品要件、競合分析を統括しています。アドビでのキャリアは約11年に及び、それ以前はマーケティングストラテジストとして6年の経験を有しています。
目次
- アトリビューションとは何ですか?
- アトリビューションでは、それぞれのマーケティングの接点にどのように貢献度を割り当てるのですか?
- アトリビューションモデルはどのくらいの頻度で確認する必要がありますか?
- アトリビューションモデルはどのように細分化できるでしょうか?
- アトリビューションモデルはどのようなもので、どのように機能しますか?
- アトリビューションモデルを使用するのは難しいですか?
- おすすめのアトリビューションモデルはありますか?
- アトリビューションは、マーケティング以外のビジネスにも影響を及ぼしますか?
- アトリビューションにはどのような課題があり、それにどのように対処するのでしょうか?
- 今後アトリビューションはどのように変化していくのでしょうか?
アトリビューションとは何ですか?
アトリビューションとは、簡単に言えば、売上やコンバージョンにつながるあらゆるマーケティングの接点に貢献度を割り当て、実際にどの接点が売上につながったのかを特定する方法です。これにより、マーケティング予算を適切に配分し、より効果的な接点に多くの予算を投入できるようになります。
サッカーの試合に例えて、アトリビューションを理解しましょう。チームがゴールを決めるまでには、様々な選手がボールをキックし、最終的なキックがシュートとなり得点します。ゴールを決めるまでに、それぞれのキックが貢献しているのです。マーケティングでも同じことが言えます。アトリビューションでは、コンバージョンや売上などのビジネス目標を達成するに至った、マーケティングの「キック」を特定します。マーケターは、アトリビューションモデルを使用して、自社がどのタイプのキックを増やす必要があるかを判断します。
アトリビューションでは、それぞれのマーケティングの接点にどのように貢献度を割り当てるのですか?
マーケティングのアトリビューションモデルにはいくつかの種類があります。最も一般的なものは、ファーストタッチアトリビューション、ラストタッチアトリビューション、線形アトリビューションの3つです。これらは、ルールベースモデルと呼ばれるタイプのアトリビューションモデルに分類されます。自社に適したモデルを選択することで、マーケティング接点の様々な強みが反映されます。
ファーストタッチアトリビューション では、ビジネス目標の達成につながる最初のマーケティング接点に焦点を当てます。サッカーの例に戻ると、これは最初にボールをキックした選手に該当します。このモデルでは、最初のマーケティング接点に最も多くの貢献度が割り当てられます。このモデルは、エンゲージメントを促進する方法を把握するのに最適です。
ラストタッチアトリビューション では、ビジネス目標を達成する直前の、最後のマーケティング接点に焦点を当てます。ビジネス取引の成立に重きを置き、そこに最も多くの貢献度を割り当てます。このモデルは、コンバージョンを達成するための方法を把握するのに最適です。
線形アトリビューション では、ビジネス目標の達成につながる各マーケティング接点に焦点を当てます。最後のキックも含め、それぞれのキックには同じ量の貢献度が割り当てられます。
ルールベースのアトリビューションモデルを調整して貢献度を割り当てることで、どの接点に焦点を当てるのかを決定できます。例えば、時間ベースのアトリビューションを利用すれば、直近の接点に貢献度を割り当てることができます。
ルールベースのアトリビューションの他に、アルゴリズムアトリビューションというカテゴリーもあります。このタイプのアトリビューションでは、マシンラーニング(機械学習)を利用して、どこに貢献度を割り当てるのかを決定します。このアプローチは「ベストフィットモデル」と呼ばれ、作業量が少なくて済むので、このモデルを好んで使用するマーケターもいます。しかし、他のタイプのモデルもいくつか適用して、アルゴリズムモデルと比較するのが良いでしょう。
アトリビューションモデルはどのくらいの頻度で確認する必要がありますか?
経験から言うと、最低でも四半期ごとにアトリビューションモデルを確認して適切な調整をおこないます。定期的にメンテナンスをおこなうことで、新しいタイプのマーケティングの選択肢や、マーケティング戦略の変更を考慮に入れることができます。
アトリビューションモデルはどのように細分化できるでしょうか?
従来、アトリビューションはマーケティングチャネルにもとづいておこなわれてきました。有料メディアはその中でも最も一般的なチャネルであり、過度に使用されてきました。しかし、これには問題があります。唯一のチャネルとして有料メディアに焦点を当てると、ファネルの下部にある接点を見逃すことになります。
有料メディアのような広範な接点に大きな貢献度を割り当てても、電子メールの最適化のような、より具体的な改善にはつながりません。より有効なテクノロジーを利用すれば、キャンペーンや検索ワードなど、ファネルの下部の特定の部分に焦点を当てることができます。
アドビはこのようなテクノロジーを既に提供しています。Adobe Analyticsを使用すると、メールキャンペーンなどにはアルゴリズムによるベストフィットモデルを割り当て、他のキャンペーンやチャネルには別のアトリビューションの種類を適用することができます。
アトリビューションモデルはどのようなもので、どのように機能しますか?
通常、アトリビューションモデルデータは、表として示されます。左側の列には測定対象のチャネル、右側の列には売上や注文商品などの測定したい種類のコンバージョン指標が示されます。アトリビューションモデルでは、モデルに含めた各チャネルの影響を計算します。他にも、収益率や貢献率などの指標も示されます。アルゴリズムモデルでも同様に示されます。Adobe Analyticsを使用している場合は、データビジュアライゼーションを用いて、関係者に提示することができます。
アトリビューションモデルを使用するのは難しいですか?
アトリビューションモデルは、マーケター向けの手法です。データの処理には若干の知識が必要となりますが、アトリビューションモデルの大部分は、マーケターが予算の配分方法を理解するために設計されています。業界では、アトリビューションをより使いやすいものする取り組みが進んでいます。アドビはで、アトリビューションを使いやすく、学びやすいものにするための大きな一歩を既に踏み出しています。
おすすめのアトリビューションモデルはありますか?
アドビは、できるだけ多くの種類のアトリビューションモデルを提供することを第一に考えています。一種類のモデルを押し付けるのではなく、マーケティング戦略に最適なアトリビューションの種類を選択していただきたいからです。必要なあらゆる情報を提供するアトリビューションモデルはありません。どのような種類のモデルを選択するべきかは、組織のそれぞれのユーザーが必要とするものや、ユースケースによって異なります。
例えば、デジタルアナリストやチャネルマーケターは、マーケティングに関する全般的な課題に対応します。そのユースケースは、アトリビューションを利用して、そうした課題に対応するためのデータを収集することです。業務部門のユースケースでは、アトリビューションでメディア支出を最適化する方法を決定します。B2B企業のユースケースでは、セールスサイクルが長いため、アカウントベースのアトリビューションが適しています。
アトリビューションは、マーケティング以外のビジネスにも影響を与えますか?
アトリビューションは、マーケティングの接点だけでなく、多くの場面で活用できます。例えば、モバイルアプリやwebサイトなどのデジタル製品を含めた製品開発にも利用できます。アトリビューションは、製品をどのように向上させていけばよいかを把握するのに役立ちます。
また、アトリビューションを利用して、特に販売後の顧客サービスを向上させることもできます。アトリビューションは、どのような種類のインタラクションが効果的であるのかを把握するのにも役立ちます。
アトリビューションは主に広告費の最適化に活用されてきましたが、結果を測定でき、選択までたどれるビジネス領域であれば、改善のためにアトリビューションを利用することができます。
アトリビューションにはどのような課題があり、それにどのように対処するのでしょうか?
アトリビューションの大きな課題は、簡単に操作できてしまうことです。予算を減らしたくないと考える人たちが、自分たちの業務を実際よりも影響があるように見せる目的で、アトリビューションモデルを実行することが可能です。このような事態に対処するためには、アトリビューションモデルに対して一定のガバナンスを設定して、チームや部門間の争いを避け、費用を無駄にしないようにすることが重要です。ガバナンスを特定のチームに割り当て、自社が採用するアトリビューションモデルの種類や焦点を当てる部分を決定しておくべきです。
今後アトリビューションはどのように変化していくのでしょうか?
これまでのアトリビューションの仕組みでは、潜在的な顧客や既存顧客に関する個人データを収集するために、3rdパーティCookieを利用してきました。しかし、現在、Verizon、Google、アドビなどの企業は顧客のプライバシーを尊重しつつ、様々なペルソナのデータを収集する新しい方法を模索しています。
業界では、今後のアトリビューションの進化において、プライバシーへの配慮に加えて、アトリビューションの縦割り構造を解消することにも注力しています。アトリビューションベンダーは、カスタマージャーニーの特定の部分だけに焦点を当てるのではなく、カスタマージャーニー全体をアトリビューションの様々なレンズを通して捉えることができるようにしようと取り組んでいます。これからのアトリビューションは、広告費だけではなく、顧客体験全体に焦点を当てるようになるでしょう。この実現に役立つ最大のテクノロジーは、AI(人工知能)とマシンラーニングです。将来のアトリビューションは、クロスデバイスIDや顧客のバイアスなど、カスタマージャーニーのより詳細な部分に焦点を当てるようになるでしょう。
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次のステップ
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