ビッグデータとは?
ビッグデータとは、膨大で複雑なデータセットのことです。データ量は多くの場合、テラバイトやペタバイトで表されるような規模であり、あまりにも規模が大きいため、従来のデータベースツールでは対応できません。そこで、このようなデータセットは高度な計算手法を使用して分析し、パターンや傾向、インサイト(特に人間の行動やインタラクションに関するもの)を明らかにします。
データが指数関数的に増加するのに伴い、交通信号からPOSシステムに至るまで、ビッグデータはあらゆるところに存在します。この膨大なデータ量、スピード、多様性に対応し、企業が競争力を維持するためには、リアルタイムのインサイトが求められます。意思決定の改善や業務効率の向上などいずれにおいても、ビッグデータは著しく有利な状況をもたらします。
このガイドでは、ビッグデータの歴史、利点、課題、および今後について説明します。
- ビッグデータの歴史
- ビッグデータの3つのV
- ビッグデータが重要である理由
- ビッグデータの仕組み
- ビッグデータの利点
- ビッグデータの課題
- ビッグデータの主なユースケース
- ビッグデータの重要ポイント
- ビッグデータの今後の展望
ビッグデータの歴史
ビッグデータとは、データベース管理から生まれた概念です。データ自体は数千年前から存在していたものの、この用語が必要となったのは、データの量や速度、多様性が人間の能力や理解力を超えたときでした。デジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せると、企業はそれらを大量に保存および管理し、そこから有益なインサイトを得るためのツールを作成する必要が出てきました。
IT分野の多くの企業、特にシリコンバレーを拠点とする企業は、ビッグデータを処理するためのフレームワークの構築に注力しています。これらのフレームワークは、少数のマシンでは処理できない、膨大なデータを扱うシナリオに対応することを目的としています。
現在、ビッグデータには一般的に3つのタイプがあります。
- 構造化データ:明確に定義されたテーブルに表示されたデータのことです。
- 非構造化データ:ログイン、webサイトのクリック、ページビュー、ビデオ閲覧などのデータポイントが含まれます。
- 半構造化データ:構造化データと非構造化データが混在しています。
ビッグデータの3つのV
- 多様性(Variety)(様々なデータタイプまたは形式): データセットの様々な構成を表します。例えば、構造化データ、非構造化データ、半構造化データなどがあります
- 速度(Velocity)(データが利用可能になるまでの速度): 企業がデータを収集し、利用できるようになるまでの所要時間を表します。例えば、アドビは年間250兆件以上の取引データを収集しており、1分間に約4億7,500万件の取引が発生しています。
- 量(Volume )(収集したデータの量): 収集されたデータの純粋な量を表します。例えば、YouTubeのユーザーが1時間に38万時間のデータをアップロードした場合、それは膨大なデータ量と言えます。一方、企業が1時間に38万件の電子メールを処理する場合、データ量は大幅に少ないものの、処理速度は速いと言えます。
ですが、次のVも覚えておく必要があります。
- 変動性(Variability): コンテクストを構築し、データがどのように変化し続けているのかを把握します。プロセスが同じでも毎回異なる結果をもたらす場合、それは変動していると言えます。
- 真実性(Veracity): 正確性を指します。企業はデータの品質を確保する必要があります。信頼できないデータは、ビジネスに活用できません。
- 価値(Value): これは、他の5つのVの集大成であり、データから得られる利益を指します。
ビッグデータが重要である理由
企業は全体像を把握するため、ビッグデータの力を活用する必要があります。所有するデータが多ければ多いほど、十分な情報に基づいた意思決定が可能になります。企業は、顧客が自社とどのようにやり取りしているのかを理解したいと考えています。また、世界各地に多くの顧客を抱える企業は、膨大なデータを処理する必要があります。
ビッグデータの重要性が高まっている理由のひとつに、顧客のニーズをより的確に把握できることが挙げられます。優れた顧客体験を提供し、顧客のニーズに対応するためにビジネス変革を進めることは、容易なことではありません。企業は、自社サイトの流入元、自社サイトにおける顧客の行動、滞在時間、トランザクションやコンバージョンの頻度を把握する必要があります。
行動データとは、webサイト、モバイル、電子メールなど、様々なチャネルでの顧客の行動に関するデータのことです。取引情報や個人情報も収集される場合があります。
このデータを理解することで、セールスベロシティを向上させる方法や、デジタル体験を最適化方法に関する、重要なインサイトを獲得できます。最適化に関する多くの決断は、利用可能なデータの量と、そのデータから引き出すことができるインサイトに左右されます。
ビッグデータの仕組み
ビッグデータの統合
最初のステップであるデータの処理と収集では、あらゆるデータポイントを収集するための基盤を構築します。データ基盤の性質は、データの種類に応じて異なります。チャネルを問わず、未加工データは常に存在するため、必要に応じてさらに詳細な分析を実施できます。
このステップでは、様々なソースやアプリケーションから収集したデータを統合する必要があります。データアナリストが効率よく作業できるように、情報を適切に収集、処理、フォーマットする必要があります。
ビッグデータの管理
続いて、データを保存して整理します。他のシステムがデータの存在を認識できるよう、データをどこに格納し、どのようにカタログ化するかを明確に定めることが重要です。一般的な方法として、データレイクとデータウェアハウスがあります。
データを活用して的確な判断を下せるかどうかは、データの内容を説明するメタデータにかかっています。企業が膨大なデータを保持しているとしても、それらのデータを検出したり、データの内容を共有する方法がない場合、データには何のメリットもありません。また、データストレージという点では、ビッグデータは通常、クラウドに保存されますが、サーバーもよく利用されます。
ビッグデータの分析
データを保存して管理したら、分析してインサイトやパターンを特定できます。ビッグデータ分析から得られたインサイトを可視化して、関係者に伝え、次のステップへ進むための推奨事項を提案できます。
これには、Apache SparkやDatabricksといった、保存された大量のデータの管理を容易にする、高度な分析エンジンを使用することが含まれます。企業は、Kafkaのような、継続的に生成されるストリーミングデータの処理に特化した、メッセージングを中心としたビッグデータ技術も利用しています。企業は、独自のカスタムフレームワークを構築、管理することもできます。
ビッグデータの利点
1. 運用の向上: 適切なデータ分析ツールを使用すれば、ビジネスプロセスの最適化、リソースの合理化、コストの削減が可能になります。
2. 無駄や不正の検出: ビッグデータを活用すれば、他の方法では検出されなかった可能性のあるパターンやインサイトを見出すことができます。また、データ分析を通じてリスクを予測し、先回りして対応できるようになります。
3. 顧客インサイトの獲得: 企業は顧客の行動をより詳細に把握し、マーケティング施策をパーソナライズして、適切な製品を提案できるようになります。
4. 競争力の向上:競合他社や市場のトレンド、インサイトに関する内部情報を獲得し、顧客のニーズの変化に迅速に適応できます。
ビッグデータの課題:
1. 管理が困難: データ収集だけでは十分ではありません。企業は、データにアクセスし、分析および成形できる必要があります。非構造化データや半構造化データは、多くの場合扱いが困難です。適切に管理できなければ、データから価値を引き出すことができず、コストを浪費することになります。
2. 習熟するのに時間がかかる: 優れたビッグデータ管理を行うには、時間がかかります。企業が初めてデータを分析する場合は、焦ることなく、適切な質問事項に取り組んでいるかどうかを確認する必要があります。また、データに偏りや異常値が含まれている可能性もあります。ビッグデータを初めて利用する場合、これらの偏りや異常値を見落としてしまうかもしれません。
3. データ保護の考慮事項: また、企業は収集したデータの使用方法にも注意する必要があります。例えば、企業は、個人を特定できる情報(PII)を収集するかもしれませんが、その情報を特定のマーケティング活動に使用することを望んでいない、あるいは許可しない場合があります。
4. 適切なフレームワークを確保する: データガバナンス用の適切なフレームワークがあれば、マーケターは不適切なデータアクセスや使用上のミスを防ぐことができます。使用目的に合わせてデータに適切なラベルを付けることで、規制を順守できるよう支援できます。
ビッグデータの主なユースケース
- 業務管理/運用:ビッグデータを使用すれば、需要予測、リアルタイムの在庫管理、予測にもとづくメンテナンスを通じて、サプライチェーンを最適化できます。
- マシンラーニング:ビッグデータを活用して、予測分析のためにマシンラーニングモデルをトレーニングできます。アクセスできるデータが多いほど、予測の精度は向上します。
- セキュリティ:ビッグデータを活用して、マシンラーニングのアルゴリズムを適用することで、機密情報に対する脅威など、あらゆる不正行為を検出できます
- 製品開発:ビッグデータを使用すれば、製品の改良方法を判断できるようになります。テスト市場、フォーカスグループ、ソーシャルメディアなどの分析は、顧客の課題を把握し、対応するのに役立ちます
ビッグデータのまとめ:
- ビッグデータは通常、データベースに保存:大規模で複雑なデータセットを分析するには、専用のソフトウェアを使用する必要があります。
- データは、あらゆるソースから収集:例えば、ソーシャルネットワークで公開されているコメント、アプリから自発的に収集されたデータ、デジタルチェックインを通じて手動で収集したデータなどがあります。
- 構造化が可能:データベースの列を活用してデータを整理することで、データの取り込み、保存、クエリ、分析を容易に行えます。
- 非構造化も可能:例えば、メールやソーシャルメディア投稿、動画ファイル、webページなど、より自由形式のデータや定量化できないデータを扱えます。
- 無限の可能性:部門を問わず、ビッグデータの分析から得たインサイトを活用できます
- 個人情報の保護が不可欠: データ侵害は深刻な影響をもたらす可能性があるため、企業はデータを保護するための措置を講じる必要があります。
ビッグデータの今後の展望
リアルタイムのインサイトや意思決定、アクションに対する需要が原動力となり、ビッグデータは急速に進化しています。企業がデータ処理に2日も3日もかけるような時代は過去のものです。今日、成功は顧客の行動に即座に対応できるかどうかにかかっています。
一括処理からリアルタイム分析へのこの変化は、マシンラーニングやAIなどの先進技術によって実現されており、さらにこれを推し進め、より高速でスマートなデータ分析を可能にしています。
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