ビジネス分析:4つの手法(記述、予測、処方、診断)を解説

Understanding the different types of analytics

多くのビジネスリーダーは、データ分析の一般的な知識を有しています。また、顧客、プロセス、市場に関する情報を収集および分析するための部門を設置している企業も数多くあります。分析にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる視点からビジネスを検証します。さまざまな種類の分析手法を理解することで、自社の利益を最大化し、ビジネス目標を達成するための最適な手法を選択できます。

本記事では、3つの一般的な分析手法と、一般的には知られていない分析手法をひとつ紹介します。これらの情報は、データからビジネスに関する有益なインサイトを導き出し、目標の達成に向けて必要な調整をおこなうのに役立ちます。

ビジネス分析の種類

ビジネス分析は、企業が膨大なデータを収集、整理、解釈し、戦略に役立てるための不可欠なツールです。企業は顧客の行動、コンバージョン率、売上、ビジネスプロセスなど、さまざまな業務を通じて生成される情報から、有益なインサイトを引き出す必要に迫られています。ビジネス分析は、これらのデータポイントを実用的なインサイトに転換するのに役立つプロセスです。

ビジネス分析は、記述、予測、処方、診断的の4つに分類することができます。 これらの分析モデルの違いを理解することで、ビジネス目標を達成するために、それぞれのモデルをどのように活用するべきかを判断することができます。

Types of business analytics

記述分析

記述分析では、過去に何が起きたのかを検証します。過去のデータセットを分析し、パターンや傾向を見つけ出します。これらのインサイトは、売上などの重要な目標を達成したかどうかを判断する指標となるため、多くの企業では記述分析を主軸に置いています。データ分析の知識がなくても、分析結果を容易に把握できます。

記述分析では、測定する指標を決定し、そのデータを収集して分析します。収集した一連の事実を、施策、計画、測定に活用できる実践的な情報へ転換します。

記述分析の例:


記述分析の主な課題は、さまざまな制約があることです。記述分析は、優れた意思決定やプロセス管理を実現するための出発点となります。しかし、その分析対象は、過去の出来事に関するデータのみに限定されます。記述分析から導き出された傾向がどのように、そしてなぜ発生したのかを検証し、実行可能な措置や解決策を考え、改善する方法を見出す必要があります。

Use cases for descriptive analytics

予測分析

予測分析では、その名のとおり、今後起こる可能性が最も高いことを予測します。履歴データを用いて、過去のトレンドをもとに、今後起こり得る事象を判断します。既存の事実を単純に解釈するのではなく、ある事象が発生する確率を予測するため、分析プロセスはより複雑になります。

まず、予測する事象を明確にします。次に、既存のデータを統合し、特定の日付にその事象が発生する確率を予測します。予測分析では、主に統計モデリングやマシンラーニング(機械学習)を利用して、売上や四半期ごとの目標を達成できるかどうかなど、計画に関する疑問に答えることができます。

データを利用して、今後起こる可能性の高い事象のリストを作成することで、現実的な目標を設定し、リスクを回避するための準備を整えることができます。予測分析を通じて同じ戦略的ビジョンを共有することで、各部門の足並みを揃え、全社レベルで協働を促進できるようになります。

予測分析の例:

予測分析の主な課題は、獲得できるインサイトが、その元となるデータに制限されることです。つまり、小規模なデータセットや不完全なデータセットでは、大規模なデータセットに比べて、予測の精度が低下します。予測分析から優れたBI(ビジネスインテリジェンス)を導き出すには、十分な量のデータが必要です。しかし、どの程度のデータ量があれば「十分」であるとみなされるかは、業界、企業、オーディエンス、ユースケースによって異なります。

さらに、予測分析がデータに制限されるという課題は、最大規模のデータセットを分析できる最先端のアルゴリズムでさえ、無形の要因や明らかな人的要因を考慮に入れることができないことを意味します。例えば、突発的な経済の変化や天候の変化は、支出に影響を与える可能性があります。しかし、予測分析モデルでは、それらの変数を説明できません。

Use cases for predictive analytics

処方分析

処方分析では、統計、マシンラーニング、データマイニングなど、さまざまな情報源から収集したデータをもとに、今後起こり得る事象を特定し、最適な選択肢を提示します。生データではなく実用的なインサイトを提供するため、これまで紹介した3つの分析手法の中で、最も高度なものであると言えます。処方分析は、将来何が起こるのかだけでなく、今後何をすべきかを判断するのに役立ちます。

処方分析を利用すれば、将来の結果を予測し、それが起こる理由を把握することができます。また、ビジネスのさまざまな部分に対する波及効果など、将来の意思決定がもたらす影響を予測することもできます。その際、意思決定がおこなわれる順序も考慮に入れることができます。

処方分析は、アルゴリズム、マシンラーニング、ビッグデータなど、多くの変数とツールを伴う複雑なプロセスです。そのため、適切なデータ基盤を有していない場合、分析を管理することが困難になる可能性があります。

処方分析の例:


処方分析における主要な課題は、有用な結果を得るために膨大なデータが必要であるということです。すべての企業が、膨大なデータを必ずしも利用できるわけではありません。そのため、多くの企業では、処方分析を容易に実行できない可能性があります。

マシンラーニングを利用すれば、人為的ミスのリスクを大幅に削減できます。しかしその一方で、この手法はアルゴリズムに依存することが多いため、あらゆる外部変数を必ずしも説明できるとは限らないという課題があります。

Questions that prescriptive analytics can answer

診断分析

もうひとつの一般的な分析タイプは、診断分析です。この分析は、事象が発生した理由を明らかにするのに役立ちます。記述分析よりもさらに複雑な分析を通じて、何が起こったのかだけでなく、なぜそれが起こったのかを検証します。

診断分析では、過去の傾向やパターンを特定し、さらに一歩進んで、その傾向が発生した理由を説明します。例えば、特定の売上額や四半期ごとの目標を達成できた理由を探ることができます。そのため、記述分析をさらに発展させた論理的な手法であると言えます。

診断分析は、優れた成果につながる施策を再現し、悪影響をもたらす施策を回避するために、より的確な分析結果を求めている企業にとって役立ちます。記述分析では、過去に何が起こったのかを把握できますが、そのデータをどのように活用するのかを判断するのは、各部門に委ねられます。一方、診断分析では、データをもとに事象が起きた理由を解明できるため、試行錯誤することなく、より優れた戦略を策定できます。

診断分析の例:


診断分析の主な課題は、過去の出来事に焦点を当てるため、将来に関する実用的なインサイトが制限されることです。一連の出来事とその因果関係を把握するだけで十分な場合もあれば、それだけでは必要な答えを導き出せない場合もあります。後者の場合、ビッグデータを管理するために、より高度な分析ツールが必要となるでしょう。また、有意義なインサイトを得るために、他のツールを導入しなければならない場合もあります。

分析の今後の展望

ビジネスに分析を活用することは、決して新しい試みではありませんが、現在も急速に拡大を続けています。IoTを通じて提供される膨大なデータセット、AI(人工知能)の進化、セルフサービスBIツールの発展により、ビジネス分析には、今後もさらに発展する余地が残されています。

米国労働統計局は、今後数年間でリサーチアナリストの数が、平均をはるかに上回る19%の成長率で増加すると予測しています。さらに、データサイエンスと分析分野における著名な専門家の何人かは、企業が今後、データを理解して説明できる人材を求めるようになると予測しています。

分析の専門家に対する需要が高まる一方で、セルフサービスツールの市場も拡大し続けています。Allied Market Researchのレポートによると、セルフサービスBI市場は、2026年までに141億9,000万ドルに達すると予測されています。また、Gartnerは、データ分析に携わるビジネスユーザーが増加し、「IT部門から事業部門への移行」が進んでいると指摘しています。

あらゆる規模の企業にとって、より高度な分析を導入すること(および一部の企業にとっては分析をビジネス戦略に取り入れること)は、今後さらに重要となるでしょう。

ビジネス分析を始めましょう

これまで紹介した4つのデータ分析手法は、過去に何が起こったのか(記述的)、次に何が起こるのか(予測的)、今後何をすればよいか(処方的)、過去になぜその事象が起こったのか(診断的)を把握するのに役立ちます。戦略的かつデータドリブンな意思決定を推進できるかどうかは、自社が収集するデータとその利用方法に左右されます。

単純なデータ収集から脱却し、データ分析をさらに進化させるためには、自社のニーズに最適な分析手法を選ぶ必要があります。どのような疑問に答える必要があるのか、またはどのような意思決定をおこなう必要があるのかを検討し、適切な分析手法を選択しましょう。

Adobe Analyticsなら、規模や業種を問わず、データをBIに転換させることができます。あらゆるデータをひとつにまとめて整理し、AIを利用して分析することで、有意義かつ実用的なインサイトを獲得できます。

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