デジタルマーケティングを成功させる方法とは?
デジタルマーケティングに投資し、ベストプラクティスを実践していても、必ず成功するとは限りません。
ソーシャルメディア、電子メール、有料広告、SEOなど、デジタルマーケティング手法は数多くあります。そのため、自社を成功に導くチャネルを特定することは、容易なことではありません。クリエイティビティを発揮するためのインスピレーションを得るには、既に成功を収めている企業の事例から学ぶのが最善の方法です。
この記事では、デジタルマーケティングの概要、種類、ベストプラクティスを解説し、デジタルマーケティング戦略の成功事例を紹介します。デジタルマーケティング戦略の強化にお役立てください。
主な内容:
デジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングとは、デジタルチャネルを通じて製品やサービスを宣伝することです。何らかのデバイスを通じて自社を宣伝している場合、デジタルマーケティングに取り組んでいることになります。
デジタルマーケティングは、ほぼあらゆるデジタルチャネルで実践できるため、その種類も多岐にわたります。例えば、ゲストブログでデジタルコンテンツマーケティングを展開することで、オーディエンスとの信頼関係を強化し、専門性を向上できます。また、ブランドハッシュタグを使用してソーシャルメディアマーケティングを実行し、ブランドの認知度を高め、 UGC(ユーザー生成コンテンツ)を制作できます。
デジタルマーケティングの種類
デジタルマーケティングには、さまざまな種類があります。
ここでは、最も一般的な種類をいくつか紹介します。
- SMM(ソーシャルメディアマーケティング)
- SEO(検索エンジン最適化)
- SEM(検索エンジンマーケティング)
- SMSマーケティング
- メールマーケティング
- コンテンツマーケティング
- PPC(クリック報酬型)広告
- OTT(オーバーザトップ)ストリーミング広告
多くの企業は、ターゲットオーディエンスに最も効果的にアプローチできる、いくつかのデジタルマーケティング戦略を組み合わせています。中小企業では、主にソーシャルメディアやSEOなどのオーガニックなアプローチを採用しています。一方、大企業では、PPCなどの有料広告戦略への投資を強化する傾向があります。
デジタルマーケティング戦略のベストプラクティス
デジタルマーケティングの成功事例を検証する前に、デジタルマーケティング戦略の成功要因を把握する必要があります。ビジネスモデルやオーディエンスを問わず、優れたマーケティング戦略は、次の4つのベストプラクティスを実践しています。
1.オーディエンスの把握
オーディエンスを把握していなければ、マーケティングをおこなう意味がありません。マーケティングの目標は、リードと良好な関係を育み、顧客に転換することです。オーディエンスの要望やニーズを把握できなければ、的外れなメッセージングやターゲティングを実行することになります。
オーディエンスを把握することで、そのニーズに的確に応えることができます。優れたマーケティング部門では、デジタルマーケティング戦略に必要な顧客データを収集し、分析、アンケート調査、フィードバックを通じて、オーディエンスを詳細に把握しています。
それらのデータをもとに、顧客体験をモデル化するためのペルソナを作成できます。マーケティング部門と営業部門は、顧客プロファイルにもとづいて、顧客のニーズに即した、より的を絞ったコンテンツを制作できるようになります。
2. 目標の設定
目標を明確にしなければ、マーケティング施策の焦点が定まらず、方向性を見失うことになります。マーケティング施策の成功は、目標を設定することから始まります。
ただし、「売上を増加させる」といった一般的な目標は役に立ちません。厳密に言えば、売上が1ドルでも増加すれば成功とみなされますが、それが実際に達成したい目標ではないことは明らかです。目標は具体的かつ測定可能である必要があります。
優れたデジタルマーケティング施策では、SMARTの法則に従って目標を設定しています。
SMARTの法則では、次の5つ要素にもとづいて目標を設定することを推奨しています。
- Specific(具体的): 達成したい目標を明確に説明します
- Measurable(測定可能): いつ目標を達成したのかを把握するための、定量化可能な指標を確立します
- Attainable(達成可能): リソースと時間を確保すれば、現実的に達成可能な目標を設定します
- Relevant(関連性): 目標が自社の優先課題と合致しており、ビジネスに有意義な影響を与えることを確認します
- Time-bound(期限付き): 特定の日付までに目標を達成することを目指します
SMARTの法則に従うことで、「売上を増加させる」といった一般的な目標ではなく、「第2四半期末までに純利益を15%増加させる」といった、より具体的で実行可能な目標を設定できます。これにより、施策が成功したかどうかを容易に判断できるようになります。また、マーケティング部門は、目指すべき成果を明確に把握できます。
3.過去の施策の評価
デジタルマーケティング施策を取り巻く状況は、常に変化しています。過去の施策のパフォーマンスを分析することで、今後のマーケティング施策に役立つ有益なインサイトを獲得できます。
新しい施策を計画する前に、過去の施策を検証しましょう。成果を上げた施策、改善点、今後活用すべき機会など、過去の施策を振り返ることで、より効果的な施策を策定することができます。
さらに、過去の施策を評価することで、今後の時間と労力を節約することもできます。過去の施策で使用した画像やブログ投稿などのアセットを、今後の施策で再利用することも可能です。
4. 計画の策定
優れた デジタルマーケティング施策 では、リソースと制約事項を考慮しながら、具体的な実行計画を立てています。多くの企業は、リソースの不適切な割り当てにより、ROI(投資回収率)を低下させています。
次の項目を常に考慮する必要があります。
- 予算: マーケティング施策は、優れたROIを生み出さなければなりません。十分な成果を上げていない施策に過剰な資金を投じると、予算不足に陥る可能性があります
- 人: 施策に最適な人材はいるか、チームはマーケティング戦略を成功に導くための専門知識を有しているか、サードパーティのベンダーやパートナーと提携すべきか、といった重要な課題を検討する必要があります
- 時間: 時間の制約により、デジタルマーケティング施策の範囲は制限されます。マーケテイング部門が厳しい期日に追われることなく、優れたROIを生み出すことができるようにスケジュールを組む必要があります
- チャネル: ソーシャルメディア、動画、ブログ、ポッドキャストなど、各チャネルには独自の制約事項とルールが伴います
マーケターは、大きな目標の達成に向けて行動を起こす必要があります。そのためには、マーケティング施策の計画に伴う制約事項を考慮することが重要です。これらの制約事項をもとに、より合理的な目標を設定できます。
デジタルマーケティング戦略の成功事例
ここでは、優れたデジタルマーケティング戦略を実践している企業10社を紹介します。これらの企業がどのように成功を収めているのかを学ぶことで、デジタルマーケティング戦略をさらに進化させることができます。
1. Apple
Appleは、コンテンツマーケティングを実施し、より多くの人々にスマートフォンのマクロカメラを利用するよう促しました。この施策では、iPhone 13 ProとiPhone 13 Pro Maxのカメラの優れた機能を紹介し、大きな注目を集めました。
同社は、新しい高性能カメラに関するブランドコンテンツを制作する代わりに、オーディエンスに新機能を紹介してもらうことにしました。そこで同社は、顧客に対して、ハッシュタグ「#ShotoniPhone」と「#iPhonemacrochallenge」を付けて写真を投稿するように呼びかけました。
また、コンテンツマーケティング戦略をコンテスト形式で実施したことも功を奏しました。同社は、ソーシャルメディア、webサイト、看板など、各チャネルを通じて投稿されたコンテンツの中から優秀な10作品を選出し、表彰しました。
これは、マクロカメラに対する人々の注目を集めただけでなく、製品のUGC(ユーザー生成コンテンツ)を調達するのにも役立ちました。これにより、同社は数千もの高品質なUGC画像を収集できるようになりました。
2. Nike
Nikeは、「Nike Air VaporMax」シューズをプロモーションするために、YouTubeチャンネル「What’s Inside?」と提携しました。これは、優れたコンテンツマーケティング戦略のもうひとつの例となっています。
特定の製品を詳しく紹介することで人気を博している同チャンネルは、Nikeに関する10分間の動画を投稿し、700万回を超える再生回数を達成しました。
711万人の登録者を抱える今回のコラボレーションにより、Nikeは人気インフルエンサーを活用し、自社の新しいシューズコレクションを大勢のオーディエンスに効率的に宣伝することができました。
3. BuzzFeed
BuzzFeedは、リスティクル記事やクリック可能なクイズで注目を集めていますが、メールマーケティング戦略も定評があります。
電子メールは見落とされがちですが、クッキーレスの時代において、企業は電子メールを通じてオーディエンスとエンゲージメントし、1stパーティデータを収集する必要があります。
同社の特徴は、さまざまなニュースレターを配信していることです。オーディエンスは、自身の興味関心に応じて、料理のレシピ、旅行のヒント、ニュース、ポップカルチャー、学習コンテンツなど、最適なニュースレターに登録できます。
同社のメールマーケティングが成功している理由として、コンテンツが魅力的であるだけでなく、わかりやすいことが挙げられます。電子メールの内容と配信頻度を明確にすることで、オーディエンスはニュースレターをより柔軟に管理できます。
4. Airbnb
Airbnbの予約確認ページには、ガイドブックが掲載されています。これらのガイドブックは、コンテンツマーケティングの一環として、Airbnbホストによって制作されたUGCです。ガイドブックには、レストラン、観光名所、アクティビティなどが記載されています。
ガイドブックは顧客に有益な情報を提供するだけでなく、コンテンツマーケティング施策としても効果を発揮します。同社は、現地の人々から提案されたアクティビティやアドバイスをもとに、滞在の質を向上させています。滞在体験が向上すればするほど、顧客がその体験を他の旅行者と共有したり、リピーターになったりする可能性が高まります。
5. Myprotein
健康とフィットネスは、急成長を遂げている分野のひとつです。健康食品やスポーツウェアを販売しているMyproteinは、激しい競争を勝ち抜き、市場シェアを拡大したいと考えていました。しかし同社は、オーディエンスが、知名度の低い企業の製品を試すことを躊躇していることに気が付きました。
そこで同社は、ソーシャルメディアとアフィリエイトマーケティングを展開し、多くのオーディエンスに自社製品を利用するように呼びかけました。Bella Rahbek氏やArmando Nava氏など、複数のフィットネスインフルエンサーと提携し、フォロワー限定のオファーや割引を提供しました。クーポンコード、ハッシュタグ、カスタムコンテンツを通じてブランド認知度を高め、自社製品の購入を促しました。
6. Priceline
PPC広告は、コストが急増するリスクがあるものの、すぐに成果を上げることができます。旅行予約サイトを運営するPricelineは、大規模なPPC広告施策を実施したとき、その効果を実感しました。
同社は2016年のPPC広告施策に、30億ドル以上の予算を投じました。多くの企業は、これほど莫大な予算を確保できませんが、同社は健全な戦略によってその課題を解決しました。有料広告を活用し、関連する検索結果ページで、「航空券の価格を比較」や「格安航空券」などのキーワードをターゲティングし、競合するクエリよりも上位に表示されるようにしました。さらに、コストを重視する旅行者のコンバージョンを促進するために、割引オファーを強調しました。
検索エンジンでは、オーガニック検索結果よりも先に表示されます。特にGoogleでは、有料広告は一部の強調スニペットよりも上位に表示されます。PricelineはPPC広告施策を通じて、Googleの検索結果の最初に表示されるようにしました。その結果、競合他社であるExpediaが同じ時期にPPC広告施策に43億ドルを投じたにもかかわらず、Pricelineは優れた成果を収めることができました。
7. Hinge
マッチングアプリを運営するHingeは、ソーシャルメディア施策を通じて、自社のアプリを削除するように呼びかけました。多くのアプリは、オーディエンスに自社のアプリをできるだけ長く利用してもらいたいと考えています。マッチングアプリの場合、理想の相手を見つけることができれば、それ以上利用する必要はありません。Hingeはその点に着目し、自社のアプリを「削除されるべきマッチングアプリ」として宣伝することで、理想の相手を見つけやすいことをアピールしたのです。
同社のデジタルマーケティング戦略は、スマートなターゲティングの好例であると言えます。同社のアプリは主に、恋人を探しているZ世代をターゲットにしています。同社は調査の結果、ターゲットオーディエンスがTikTokの利用に最も多くの時間を費やしていることを突き止めました。
多くの企業が、TikTokの広告パフォーマンスと総再生時間を最大化するための取り組みを進めています。その中でもHingeのユーモアあふれるコンテンツは、突出した成果を上げています。同社の広告は、TikTokでは数百万回、YouTubeでは1,300万回以上の再生回数を獲得しています。
8. Glossier
化粧品メーカーのGlossierは、ソーシャルメディアマーケティング戦略を展開し、Instagramで270万人を超えるフォロワーを獲得しています。
同社は、ソーシャルメディアコンテンツを通じて自社の独自性をアピールしています。多くの化粧品メーカーとは異なり、同社は汎用的で画一的なマーケティング素材ではなく、顧客が自社製品を実際に使用している様子を捉えた写真を活用しています。
同社のソーシャルフィードでは、有名なインフルエンサーではなく、オーディエンスの日常生活を反映したUGCを配信することで、信頼性を向上しています。同社は、フォロワーが日々の生活で実践できる、現実的なメイクアップを求めていることを認識しています。そうしたニーズに応えることが、同社のソーシャルメディアマーケティング戦略の目的でもあります。
9. Urban Outfitters
多くの企業は、SMSマーケティングに投資していません。しかし、SMSはオーディエンスから受け入れられやすいため、優れたデジタルマーケティング戦略となる可能性があります。消費者の半数以上が2分以内にSMSに返信し、70%が企業からのSMSの受信をオプトインしています。
ライフスタイルファッションストアを運営するUrban Outfittersは、激化する競争を勝ち抜くために、SMSマーケティング施策を展開し、顧客との関係を深めています。同社はメールリストを有していましたが、SMSを介した接触が、顧客のエンゲージメントレベルにどのような影響をもたらすのか把握していませんでした。スプリットテストを実施したところ、アクティブなメール登録者は、SMSについても同様にアクティブであることがわかりました。これは、SMSマーケティングとメールマーケティングの両方を実施することで、エンゲージメントをさらに高めることができることを示唆していました。
Urban OutfittersはSMSを通じて自社を宣伝するだけではなく、カスタマーサービスも提供しています。同社のチャットボットは、SMSアプリ内で顧客からの問い合わせにすばやく対応します。顧客は、注文状況や返品ポリシーを確認したり、チャットボットで解決できない場合はカスタマーサービス担当者に相談したりできます。多くの企業がカスタマーサービスを強化する中、同社はデジタルマーケティング戦略に投資することで、優位性を確保しています。
10. Cosmic Crisp
OTT広告は、注目を集めている新しいデジタルマーケティング戦略のひとつです。ケーブルテレビを解約し、HuluやSlingなどのストリーミングサービスを選択する消費者が増えるにつれて、企業はオーディエンスとのエンゲージメントを維持するために、OTT広告を導入し始めています。
りんごの生産と販売を手掛けるCosmic Crispもその一社です。同社は売上を増加させるために、HuluのOTT広告を導入し、「Slice Any Way」という動画広告を配信しました。また、Hulu Ad Managerを活用し、PPCプレースメントの入札と同様の方法で、広告スポットに入札できるようにしました。同社は、Huluのターゲティングオプションを利用することで、食べ物にこだわりのあるオーディエンスや保護者など、数千人ものオーディエンスにリーチしました。
デジタルマーケティング戦略を進化させましょう
デジタルマーケティングは、ビジネスの未来を拓く鍵となります。しかし、選択肢が多すぎて、自社に最適な戦略を見出せないかもしれません。ここで紹介したベストプラクティスと成功事例は、独自のデジタルマーケティング戦略を策定する手掛かりとなるでしょう。
最初に、自社に最適なデジタルマーケティングチャネルを特定することから始めましょう。ソーシャルメディアを活用している場合は、自社のハッシュタグを作成しましょう。大規模なメールリストを有している場合は、ニュースレターを見直し、ここで紹介した新たな施策を取り入れてみましょう。
適切なマーケティングツールの導入は、デジタルマーケティングの成功を大きく左右します。Adobe Marketo Engageは、チャネルやプラットフォームを問わず、包括的なマーケティング戦略の策定と管理に役立ちます。ソーシャルメディア、電子メール、広告など、あらゆる施策を一元管理できます。
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