デジタルマーケティングキャンペーン
デジタルキャンペーンとは、消費者が企業と関わるあらゆるデジタルチャネルをまたいでおこなうマーケティング戦略のことです。通常は、コンバージョンの促進を目的とします。
もくじ
- デジタルマーケティングキャンペーンを展開するにはどうすればよいですか?
- なぜオムニチャネルのデジタルマーケティングキャンペーンが重要なのですか?
- デジタルマーケティングキャンペーンの成果を測定するにはどうすればよいですか?
- キャンペーンを終了する時期を判断するにはどうすればよいですか?
- キャンペーンの目標を決定するにはどうすればよいですか?
- デジタルマーケティングキャンペーンの利点は何ですか?
- デジタルマーケティングキャンペーンを展開する際のよくある課題にはどのようなものがありますか?
- 顧客体験のパーソナライゼーションとプライバシーへの懸念のバランスを取るにはどうすればよいですか?
- 今後デジタルマーケティングキャンペーンはどのように変化していくのでしょうか?
ポイント
キャンペーンを開始するには、マーケターは顧客が誰で、どこでリーチできるのかを把握し、顧客が次に取る行動を予測する必要があります。
顧客は、様々なチャネルを通じて企業とやり取りします。そのため、顧客に効果的にリーチするためには、マーケターはあらゆるチャネルをまたいでデジタルマーケティングキャンペーンを連携させる必要があります。
デジタルマーケティングキャンペーンは、他のマーケティングキャンペーンと比較して予算を抑えることができ、リアルタイムの顧客行動をもとに働きかけることができます。
デジタルマーケティングキャンペーンは、認知度の向上からロイヤルティの高い顧客への新製品の紹介に至るまで、様々な目的で利用できます。
デジタルマーケティングキャンペーンに関する様々な疑問に、Bruce Swannが回答します。Bruceは、アドビで5年間の経験を積み、Adobe Experience Cloudに含まれるAdobe Campaign のプロダクトマネージャーを務めています。Adobe Campaignは、消費者とやり取りする様々な接点をまたいで顧客体験を計画、展開、測定するのに役立ちます。Bruceは、web分析、ソーシャルメディア、モバイルマーケティング、電子メールマーケティングなど、様々なデジタルマーケティング分野で15年を超える実務経験を有しています。
デジタルマーケティングキャンペーンを展開するにはどうすればよいですか?
顧客に関するインサイトを取得する最初のステップは、顧客を把握することです。電子メールを開封したり、広告をクリックしたり、webサイトにアクセスしたりするなどして、既に自社と積極的に関わっている顧客を特定する必要があります。
次のステップは、収集したインサイトにもとづいて対応することです。消費者の過去の行動を把握することで、次に実行する可能性の高い行動を予測して、今後のマーケティング活動をパーソナライズすることができます。顧客の過去の行動にもとづいて、割引コードが記載された電子メールを送信したり、アップセルを提案したり、顧客が関心を示す可能性のある新製品のディスプレイ広告を表示したりすることができます。
ターゲットオーディエンスを把握し、次の行動を予測できれば、魅力的な顧客体験を提供することができます。そして、顧客接点を問わず、パーソナライズされた顧客体験を構築するうえで重要なのはコンテンツです。
なぜオムニチャネルのデジタルマーケティングキャンペーンが重要なのですか?
一部のマーケターにとって、デジタルマーケティングキャンペーンとは検索エンジンやディスプレイ広告など、特定のチャネルに重点を置いた戦略を意味する場合があります。しかし、一般的に、最も成功を収めているオンラインマーケティングキャンペーンは、顧客が利用する可能性のあるあらゆるチャネルを対象としています。なぜなら、消費者の多くは複数のチャネルや顧客接点を通じて企業と関わるからです。
顧客はマーケターとは異なり、企業とのやり取りをチャネルという観点では捉えていません。顧客は、商品やサービスに関する情報を探したり、質問をしたりするときは、自分にとって最も使いやすい方法を選択します。チャネルを気にすることはありません。効果的なデジタルマーケティング戦略を展開するためには、消費者のカスタマージャーニーの状況に応じて消費者とつながる必要があります。これは、マーケターの推測や期待にもとづくべきではありません。
1、2種類のチャネルのみに重点を置くと、消費者と効果的にやり取りする機会を見逃す可能性があります。そのため、オムニチャネルアプローチを採用し、消費者が利用するチャネルで適切なコンテンツと的確なメッセージを用いてリーチする必要があります。
デジタルマーケティングキャンペーンでは、従来のチャネルや物理チャネルでつながることもできます。顧客がサポートセンターに電話をしたり、実店舗を訪問した際に、対応する担当者が顧客が誰で、その顧客に対してどのようなマーケティング活動がおこなわれているのかを、把握することは可能でしょうか。デジタルマーケティングキャンペーンとオフラインチャネルを連携して、真のオムニチャネルを実現すれば、顧客の全体像を構築し、最適な顧客体験を的確なタイミングで提供することが可能になります。
ただし、オムニチャネルが常に最善の選択肢であるとは限りません。ほとんどのエンゲージメントがひとつの特定のチャネルによってもたらされている場合は、エンゲージメントや売上を促進することのないその他のチャネルに費用を投じる意味はないでしょう。
それぞれの企業は、顧客が使用しているチャネルとリーチする方法を把握する必要があります。ある企業にとっては、モバイルに重点を置くのが最適な場合があります。例えば、最近までUberのほぼすべての顧客エンゲージメントはモバイルアプリを通じてもたらされていました。配車の予約から後日のレビュー入力まで、すべてがアプリを介しておこなわれていました。一方、ホテルはディスプレイ広告やバナー広告による予約webサイトへの誘導に大きく依存している場合があります。また、検索エンジン最適化やクリック報酬型広告など、検索エンジンマーケティングに特化して取り組んでいる企業もあります。これは、潜在顧客がGoogleで検索することによってこの企業の製品を見つける可能性が高いからです。
コンテンツマーケティングキャンペーンにチャネルを追加することを検討している場合は、自社が保有している情報を使用して、消費者にリーチするための他のチャネルを探すことができます。例えば、Uberはモバイルファーストの企業でありながら、電子メールキャンペーンを取り入れてマーケティングを拡大しています。
デジタルマーケティングキャンペーンの成果を測定するにはどうすればよいですか?
成果を確認するには、キャンペーンで利用しているあらゆる顧客接点をまたいで完全に可視化する必要があります。そうすることでエンゲージメントが促進されているかだけでなく、特定のアクションや反応がどの顧客接点からのものであるかを確認することができます。
顧客は様々なチャネルを通じて企業とやり取りした後に購入を決定するので、どのチャネルによってコンバージョンに至ったのかが明確でない場合もあります。分析ソリューションを使用することで、顧客が企業とやり取りしたチャネルや方法を追跡し、デジタルマーケティングキャンペーンの効果を確認できます。
キャンペーンを終了する時期を判断するにはどうすればよいですか?
その特定のキャンペーンによる売上が減少したり、エンゲージメントの頻度が低下したりしたときが目安です。あらゆるチャネルをまたいで完全に可視化できていれば、成果が低迷し始めた時期を確認し、展開中のキャンペーンを手直ししたり、新たなキャンペーンを展開することができます。
キャンペーンの目標を決定するにはどうすればよいですか?
キャンペーンの目標は企業の全体的な目標と一致させる必要があります。例えば、旅行会社の全体的な目標がロイヤルティと売上の向上およびコスト削減であるとします。デジタルマーケティングキャンペーンにも同様の目標を設定する必要があります。それぞれの業界や企業には目指すべき目標があり、効果的なデジタルマーケティングキャンペーンによってこの目標を達成することができます。
デジタルマーケティングキャンペーンの利点は何ですか?
すべてをデジタル化すれば、ダイレクトメールやプリント広告など、より多くの費用を要するチャネルを使用する従来のキャンペーンよりも費用を抑えることができます。無償または低コストで利用できるチャネルとしては、SEOやソーシャルメディアマーケティングがあります。デジタルマーケティングでは、顧客のいる場に体験を提供し、リアルタイムで対応できるため、従来のマーケティングよりもより効果的なアプローチとなり得ます。
デジタルマーケティングキャンペーンを展開する際のよくある課題にはどのようなものがありますか?
マーケターが消費者が誰であるのかを把握していなかったり、プロファイルにもとづいて対応していなかったり、断片的な情報にもとづいて戦略を推進している場合に大きな課題に直面します。例えば、消費者のことを理解していないことが明らかになるような、不快な体験を構築してしまうことがあります。これまでの経験や成果をもとに、一貫性のある顧客体験を提供していないためです。
データを収集し、効果的に利用して消費者の行動を予測できれば、パーソナライゼーションを強化し、より適切な顧客体験を提供でき、消費者が離れていくことを防ぐこともできます。
また、直面する可能性のあるもうひとつの課題は、物理的な体験を考慮しないことが挙げられます。デジタルマーケティングではカスタマージャーニー全体に対応できないので、これらの物理的な体験を連携させることが重要です。
顧客体験のパーソナライゼーションとプライバシーへの懸念のバランスを取るにはどうすればよいですか?
マーケターは顧客について豊富な情報を有していますが、そうした情報は信頼が揺らぐことのない適切な方法を用いて使用する必要があります。それには、消費者を真に理解し、適切にパーソナライズするだけでなく、人間味に溢れた顧客体験を提供する必要があります。消費者との信頼を築くことのできる、体験を構築するのです。信頼を構築できれば、消費者はデータを提供したり、企業と情報を共有したりすることに抵抗を感じなくなります。データが適切に使用され、信頼を得ている場合に、消費者はそれに同意します。
今後デジタルマーケティングキャンペーンはどのように変化していくのでしょうか?
AI(人工知能)とマシンラーニング(機械学習)には大いに将来性があり、これらの機能により推測に頼ることなく運用を効率化できるようになります。消費者にとって最適なオファーの特定など、以前は何週間もかかった作業が分単位や秒単位に短縮できる可能性があります。しかし、技術がいくら進歩しても、工程を修正し、情報にもとづいた判断をおこない、顧客体験における人間的な要素の欠如を防ぐためには、人の手の介在が必要です。
コンテクストに即して顧客とやり取りすることができれば、新たなチャンスが生まれる可能性があります。モバイルデバイスのおかけで、消費者は常にインターネットにつながっているため、顧客の現在地を把握して、その情報をデジタルマーケティングキャンペーンで活用できるようになっています。例えば、顧客の現在地にもとづいて適切なオファーを的確なタイミングで提供したり、モバイルデバイスを使用してやり取りした日時を正確に把握したりできます。
こうしたロケーションベースマーケティングのコンセプトは少し前からありましたが、成熟が進み、より大規模なオムニチャネル戦略に取り入れられようになってきています。