コンテンツマーケティング
用語集:用語
クイック定義
コンテンツマーケティングとは、画像やテキスト、動画など、高価値で適切なデジタル資産を活用して、明確に定義されたオーディエンスを引き付け、維持するための戦略およびビジネスプロセスのことです。
重要ポイント
コンテンツマーケティングは、膨大な数の広告にうんざりしている消費者の不満を解消するためにあります。商品を押し付ける広告よりも、魅力的で役立つコンテンツの方が消費者に強く働きかけられます。
様々なオーディエンスにリーチし、多様なビジネス目標を達成するために、様々な種類のコンテンツが活用されています。
リソースを無駄にすることなくコンテンツマーケティングを効率的に展開するためには、包括的なコンテンツマーケティング戦略を策定し、全社を挙げて取り組む必要があります。
消費者をコンバージョンに導くという全体的な目標を達成するうえで、コンテンツマーケティングは価値があります。
コンテンツマーケティングの様々な疑問に、Elliot Sedegahが回答します。Elliotは、Adobe Experience Cloudの戦略およびプロダクトマーケティング担当グループマネージャーを務め、10年以上にわたって大手ブランドや政府組織でソフトウェアエンジニア、製品管理、ITコンサルタントの経験を積んできました。企業がオンライン、モバイル、ソーシャルメディアの各チャネルのコンテンツを最大限に活用し、デジタル体験によって顧客のエンゲージメントを促進できるようサポートすることに熱意を注いでいます。MITストーン経営学大学院でMBA、ジョージワシントン大学経営工学部で理学修士号、メリーランド大学コンピューター工学部で理学士号を取得しています。
コンテンツマーケティングでは、どのようなツールが必要になりますか?
複数のチャネルに適したコンテンツを制作するにはどうすればよいですか?
コンテンツマーケティングをさらに大きな戦略に組み込むにはどうすればよいですか?
コンテンツマーケティングのベストプラクティスはどのようなものですか?
企業の規模によってコンテンツマーケティングに違いはありますか?
コンテンツマーケティング戦略を限られた予算で導入することは可能ですか?
適切なオーディエンスをターゲットにするにはどうすればよいですか?
質問: なぜコンテンツマーケティングが重要なのですか?
回答: 世界中で広告が氾濫し、顧客はうんざりし始めています。情報が溢れすぎて、顧客にとってはすべてがノイズに見えてしまっているのです。こうした問題を解決する鍵が、コンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングでは、顧客に意味のない広告を一方的に送りつけるのではなく、価値あるコンテンツを顧客に提供してカスタマージャーニーを通じて関わり続けることに焦点を当てます。
コンテンツマーケティングは、潜在的な顧客に対する製品の押し売りとは一線を画しています。顧客に適切な情報を提供し、調査段階から購入段階に至るカスタマージャーニー全体を通して顧客を追跡することこそが、コンテンツマーケティングです。提供する情報には、顧客にとって実際に有益なハウツーガイドやストーリーベースの広告などがあります。
質問: コンテンツ制作とコンテンツマーケティングの違いは何ですか?
回答: コンテンツマーケティングはコンテンツ制作の上位に位置し、コンテンツ制作だけでなく、コンテンツの管理と提供まで含みます。それぞれの作業の担当者は企業のニーズによって異なりますが、コンテンツの制作だけでなく公開までコンテンツマーケターが担当する場合もあります。
質問:どのような種類のコンテンツを使用しますか?
回答: マーケターはコンテンツの制作にあたり、どうすれば消費者にとって魅力的な方法でストーリーを伝えながら、ブランドの価値を示すことができるのかを考えることになります。その手段としては、ブログ、画像、動画などのコンテンツや、SEO(検索エンジン最適化)が用いられています。この際に用いられるコンテンツの種類は、顧客が位置しているカスタマージャーニーの段階と、消費者と企業のどちらを顧客にするかによって異なります。
B2Bの場合は、ホワイトペーパーやインフォグラフィックなどのコンテンツが主流ですが、B2Cでは、中でもターゲット層が若者世代である場合には、動画やソーシャルメディアコンテンツが多用されます。どのコンテンツを使用するかは、ビジネス戦略だけでなく、つながりを築こうとしているコアオーディエンスによって決まります。
質問:コンテンツを効果的なものにするにはどうすればよいですか?
回答: まず実行すべきことは、明確なコンテンツ戦略を策定することです。戦略を明確にし、定義することで、その目標を軸として社員の連携を高めることができます。チームごとにマーケティング活動を別々におこなうのではなく、明確なコンテンツ戦略を用意すれば、ターゲットオーディエンスに一貫性のあるストーリーを伝えられるようになります。
現在、多くの企業では、コンテンツ制作プロセスが社内で分断しています。それぞれのチームが、独自のコンテンツを作成しているのです。全社共通のコンテンツ戦略をすべての従業員が守るようになれば、効果的にブランドの認知度を向上させ、購入の決断を促進し、多くのファンを獲得できるだけでなく、無駄もなくなります。活動を分断していては、同じ目標を達成するにしても倍の量のコンテンツを制作しなければなりません。
質問:コンテンツマーケティングでは、どのようなツールが必要になりますか?
回答: 第一に、関係者に戦略を伝えるためのツール、次にコンテンツの計画作成やスケジュール調整のためのワークフローツールが必要となります。ワークフローツールは、コンテンツ要素の開発段階やその担当者、公開するタイミングと場所を把握するうえで重要になります。
さらに、あらゆるコンテンツを整理し保管するためのアセット管理システムも必要です。カスタマージャーニーで一貫性のあるメッセージを提供することに取り組むのであれば、アセット管理システムを利用して、社内の様々な関係者が利用できるようにコンテンツを整理する必要があります。コンテンツ制作とコンテンツマーケティング戦略の実施においては、関係者全員の意識を統一することが求められます。
最後に、様々なチャネルにコンテンツを配信するツールと、データを収集して分析をおこない、効果を発揮しているコンテンツを把握するためのツールが必要となります。分析ツールを利用すれば、効果的なコンテンツとその理由を把握することができます。その結果に応じて、コンテンツの一部を削除したり、変更したりします。
質問:複数のチャネルに適したコンテンツを制作するにはどうすればよいですか?
回答: それは、多様なオーディエンスと、コアオーディエンスが利用する様々なチャネルに向けて、適切な戦略を策定することにかかっています。これは、一般的にコンテンツを作成する方法にも影響します。よく採られる手法のひとつは、核となるコンテンツを用意し、それを下流のチャネルに合わせて変更することです。例えば、20ページのホワイトペーパーやユーザー事例を核となるコンテンツに定め、これをソーシャルメディアなどのチャネルで共有しやすい小サイズのインフォグラフィックや引用に分割することが考えられます。
また、逆方向のやり方、つまりメディアアセットなどのコンテンツを別のアセットと組み合わせて、規模の大きな戦略を策定する方法もあります。こうした手法の実例としては、顧客が制作したコンテンツを利用して新しいコンテンツを生み出すことが挙げられます。例えば、顧客に特定のテーマの写真を送るように依頼して、送られた写真を自社サイトやソーシャルチャネルで共有する方法があります。
複数チャネルにまたがるコンテンツ共有に決まったやり方はありません。手法は企業やそのビジネス目標によって変わるほか、テクノロジーの役割にも左右されます。大量のコンテンツを制作する必要があるのであれば、高価値コンテンツの制作にリソースを充て、下流のコンテンツは自動処理に任せる方法が考えられます。例えば、動画のアスペクト比はデバイスによって異なるので、手動で動画をモバイル用に再編集するのではなく、AI(人工知能)を活用して自動的に切り抜くことが可能です。これにより、コンテンツの作り直しに余計なリソースや時間を割くことなく、多くのチャネルで動画を提供することができます。
質問:コンテンツマーケティングをさらに大きな戦略に組み込むにはどうすればよいですか?
回答: コンテンツマーケティングでは、顧客の獲得、コンバージョン、維持、ロイヤルティを軸とする具体的なビジネス目標にあらゆる活動を合わせることになります。コンテンツマーケティングを導入した企業は、コンテンツを様々な方法で活用して売上の向上を図っています。
質問:コンテンツマーケティングのベストプラクティスはどのようなものですか?
回答: 一番のベストプラクティスは、コンテンツ戦略を策定し、実施することです。そのためには、なぜコンテンツを提供するのか、そして何を達成したいのかを把握しなければなりません。その他のベストプラクティスは、コンテンツの再利用または転用について適切な戦略を立てることです。コンテンツ制作には費用がかかるので、コンテンツを使い捨てのアセットにしてしまうのは合理的ではありません。
また、適切なKPIをコンテンツ戦略で定め、活用することも重要です。この場合のKPIは、利用者の種類ごとにどのチャネルでどのようなコンテンツが成果を上げているのかを把握できるように、それぞれのコンテンツと提供状況にもとづいて測定可能なものにすることをお勧めします。
質問:コンテンツのライフサイクルはどのようなものですか?
回答: ライフサイクルは、ビジネス目標、オーディエンス、企業によって異なります。例えば、高校生をターゲットとしたマーケティングをおこなうなら、アセットを短いスパンで入れ替える迅速なコンテンツマーケティング戦略が適しています。一方で、年齢層が高いオーディエンスや従来的なオーディエンス、または企業をターゲットとするのであれば、2 ~ 3年間持続する教育コンテンツを提供する方が適切です。
質問:企業の規模によってコンテンツマーケティングに違いはありますか?
回答: 大規模な企業ほど従業員が多いので、規模の拡大方法について知るべきことが少し増えることになります。小規模な企業の従業員はこれと比べて少ないので、コミュニティがどのように役立つのか、または誰をターゲットにするのか、このどちらかを検討する必要性が生じます。例えば、ニューヨークにある家族経営の雑貨店チェーンと、全世界か少なくとも国全体でコンテンツを公開するSafewayでは、取るべきコンテンツマーケティング戦略は微妙に異なるでしょう。自社の規模、顧客体験の提供能力、そしてオーディエンスの範囲も考慮に入れなくてはなりません。
質問:コンテンツマーケティング戦略を限られた予算で導入することは可能ですか?
回答: コンテンツマーケティングでも予算が大きいほど有利にはなりますが、広告ほどの重要性はありません。ソーシャルメディアや電子メールキャンペーンなど、低コストまたは無料でコンテンツマーケティングを実施できる方法はあります。文化的なスタンダードや影響力の強いタイミングを活かせば、オーディエンスを引きつけるコンテンツを生み出すことができます。また、顧客が直面していると考えられる課題への対処法を検討することもお勧めします。高品質のコンテンツを作成し、比較的低コストのチャネルで提供するキャンペーンなら、顧客に広告を押し付けることなく知名度を高めることが可能です。
質問:コンテンツマーケティングではどのような課題に直面しますか?
回答: 策定した戦略について経営陣から同意を得る必要があり、新たな戦略に移行することの重要性を彼らに示さなくてはなりません。また、チームと予算のバランスを取りながら従業員をコンテンツマーケティングに参加させる必要もあります。それぞれの従業員が自らの領域を守ろうとする大企業では特に、予算の調整は取り扱いが難しい問題です。さらに、コンテンツの整理と分類用のシステムの開発に苦慮する可能性があります。
質問:適切なオーディエンスをターゲットにするにはどうすればよいですか?
回答: オーディエンスを理解し、やり取りする方法を見極める必要があります。初めにすべきことは、既存顧客と潜在顧客のペルソナの作成です。顧客セグメンテーションをおこなうことで、顧客とそのニーズ、製品やサービスについてやり取りする場所を詳細に把握することができます。こうして得られたペルソナにより、顧客に対する理解を深められるだけでなく、各顧客セグメントに最も響くコンテンツの種類を特定することができます。また、これらのペルソナをもとに対応することで、オーディエンスとの優れたコミュニケーションを実現し、信頼を構築して、リーチするべき新たな顧客を見つけることができます。
コンテンツがビジネス戦略と密接に結びついていれば、利用者を的確にターゲティングし、最適なコンテンツを制作することは難しくありません。戦略に忠実であれば、こうした要素を漏らさず集め、パーソナライズするための適切な要素を選択することも容易になります。
また、コンテンツが整理されていれば、それらを組み合わせてパーソナライズされた顧客体験をすばやく構築する際に、適切なコンテンツを容易に見つけることができます。また、オーディエンスが利用するあらゆるチャネルについてテストをおこなうようにシステムが構成されていれば、モバイルやソーシャルメディア、web、印刷媒体のいずれであっても、マーケティングチームは利用者一人ひとりの接点を考慮し、ニーズに合わせたやり取りをおこなうことができます。
質問:コンテンツを迅速に制作するにはどうすればよいですか?
回答: ひとつの戦略は、取得して、再構成することのできる大規模な核となるアセットを構築することです。アセットを分割したり、古いアセットを更新したりするのもよいでしょう。この戦略は、非常に短時間での作業が求められており、かつ古いコンテンツを含む膨大なリポジトリーがある場合に適しています。こうしたリポジトリーは、DAM(デジタルアセット管理)システムの利点の一つであり、異なる目的への転用が可能な数百万に上るアセットを蓄えられます。
他の方法としては、コンテンツの購入があります。現在では数多くの企業から、動画素材や写真素材が販売されています。購入したアセットは再編集することもできますし、制作するコンテンツに直接組み込むこともできます。これにより、あらゆるコンテンツをゼロから制作する必要はなくなります。ただし、コンテンツを購入する場合、アセットが無個性なものにならないよう、細心の注意を払ってブランドのメッセージに調和するコンテンツを選ぶようにしてください。また、コンテンツの購入には費用がかかるので、外部に頼りすぎるとROIが低下する可能性があります。
クリエイティブチームや代理店と関係を築くことで、自社のニーズに適した、すぐに使えるコンテンツを得られようになります。また、コンテンツ制作に秀でた企業と取引関係を構築すれば、コンテンツ制作担当者に自社のニーズ、メッセージ、締め切りを確実に理解してもらえるようになるでしょう。