ソフトウェア開発チームは、アジャイルフレームワークを実装することで、しばしば多くのメリットを得られます。ほかの方法論を利用しているチームでも、ワークフローをかんばんボードで可視化することでメリットを得ることができます。開発プロセスでは通常、標準の4つのステータス以上が必要となるため、プロジェクトマネージャーはボードのカラムがチームのプロジェクトの進捗に必要な工程を反映していることを確認することから開始すべきです。これには、バックログ、グルーミング、開発、テスト、検証、レビュー、リグレッション、実装、配信といったステージが含まれることが多いです。
スイムレーンは、開発チームのさまざまな優先度を表すこともできます。例えば、スクラムチームでは、ポイントやTシャツサイズを使って各タスクの作業量を見積もることがあります。そして、タスクをその労力レベルにもとづいてスイムレーンに分けます。スイムレーンのもうひとつの利用方法は、タスクを優先度レベルに分け、緊急のタスクに適切なリソースを割り当て、より緊急性の低いタスクよりも優先的に処理することです。
かんばんボードを利用することで、マネージャー、プロダクトオーナー、スクラムマスターは、各スプリントや反復サイクルにおいて、開発者一人ひとりに処理可能な以上のタスクが割り当てられないよう管理することができます。再度、WIP制限は、スプリントで割り当てられたすべてのタスクを約束通りに完了し、納期を守るために不可欠となります。
デザインチームおよびクリエイティブチーム向けかんばんボード例
クリエイティブチームは、製品のローンチからイベントのプロモーションまで、さまざまなキャンペーンやプロジェクトを同時進行で進めることがよくあります。リソース管理は、プロジェクトマネージャーが割り当てられたプロジェクトの進捗状況や関与度をその時点で正確に把握していない場合、困難になります。今日取り組んでいる項目が、実際には6カ月後まで必要とされないこともあります。
クリエイティブなワークフローは、ブレインストーミングや開発を含む場合、より時間がかかる傾向があります。ひとつの「進捗中」ステージではなく、プロジェクトマネージャーは「進捗中」ヘッダーを作成し、複数の列をグループ化して「アイデア出し」や「コンセプトの洗練」といった進捗ステージを表し、チームでの検討や関係者の承認のために複数のレビューポイントをビルトインすることが多いです。これらすべては、コピーライティング、グラフィックデザイン、編集、最終配信、実装などの実際のワークが行われる、真の「開発中」ステータスの前に発生する場合があります。
例えば、クリエイティブチーム向けのかんばんボードでは、実際のワークフローや現実的なステップを反映しつつ、7つの異なるレビュー用の列ではなく、レビュー用の単一の列を使うことで効率化を促すべきです。スイムレーンは、サンドボックスや実験的な項目、付加的な項目を必須のプロジェクトから切り離すのに最適な方法です。また、キャンペーンの成果物を異なるタスクカードで分けることで、どのタスクがどの成果物に紐づいているかを把握できます。
エンジニアリングや製品開発チーム向けかんばんボード例
かんばん方式は製造業にルーツがあるため、物理的な生産環境で効果的に機能するのも納得です。製品開発では複数のチームが関与することが多く、成果物や期間について明確なコミュニケーションが必要不可欠です。かんばんボードは、複雑なプロセスを、読みやすいシンプルなステータスレポートに分解することができます。
プロジェクトマネージャーは、かんばんボードの各列を生産ライフサイクルの異なるステージに割り当てるのが一般的です。これには、プリプロダクションステータスが複数含まれることが多く、これらは「ドロップレーン」や「未割り当て列」と呼ばれることもあり、受信リクエストの表示やイシューの監視に利用されます。プロジェクトマネージャーは、ボードをより見やすくするために、列をより大きなカテゴリでグループ化することもできます。例えば、「タスクキュー」というヘッダーを作成し、その下に「バックログ」や「To-do」などの列を配置する方法です。
かんばんボードは、経営層や関係者にプロジェクトや製品の進捗更新を提供するためにも広く利用されています。マネージャーは、タスクを大まかにグループ化し、さまざまなスイムレーンを通ってボードの下方に移動するにつれて、段階的に詳細化するように整理することができます。例えば、上位のスイムレーンには進行中のすべてのプロジェクトの概要タイムラインが表示され、その下のスイムレーンには特定のプロジェクトに割り当てられたカードが表示される場合があります。
カスタマーサポートチーム向けかんばんボード例
サポートの問い合わせにチケットシステムを利用していない小規模なカスタマーサポートチームにとっては、タスクのステータスをトラッキングするためにかんばんボードが有効な手段となります。ステータスは、見出しごとにグループ化することで、レビュー中のイシュー数と顧客への返信待ちのイシュー数をひと目で把握でき、さらに「リクエスト」「ワーク」「エスカレーション済み」などの個別ステータスもトラッキングできます。
サポート担当者や顧客のアクションによって、アイテムはステータス列間を移動することがあります。「顧客待ち」の列には、対応済みだが、まだ完了することができないアイテムを配置することもできます。あらゆるやり取りがカードに記載されていることで、サポートの必要度に応じてチームメンバーが対応したり、再割り当てされたりする際にも役立ちます。
スイムレーンを使うことで、サービスレベル合意(SLA)のステータス、完了までの時間、重要度などに基づいて、かんばんボード上のカードをさらにセグメント化し、グループ化できます。また、開発や営業など他の社内チームによる対応が必要な場合に、サポート階層やイシューのエスカレーションを反映するためにも利用できます。
マーケティング向けかんばんボード例
マーケティング部門では、キャンペーンの検討が頻繁に行われ、プロジェクトを円滑に進めるためには複雑なワークフローが不可欠です。かんばんボードは、キャンペーンの詳細を可視化するだけでなく、アセットが公開準備完了、公開中(および公開場所)、公開終了といったステータスも一目で把握できます。
マーケティングマネージャーは、ローンチ前後のタスクに応じてかんばんボードのプロパティを使い、列をグループ化することができます。例えば、「デザイン中」というステータスヘッダーには、「初期モックアップ」「関係者レビュー」「修正」などが含まれる場合があります。スイムレーンは、単一のキャンペーン内で類似の項目をグループ化したり、SEO、デザイン、コピーライティングなどの類似したタスクの種類ごとにグループ化したり、タイプ別にリソース配分を表示したりと、さまざまな方法で活用できます。チームは、プロジェクト完了後にアクティブなキャンペーンのステータスを利用して、何が公開中かを把握することもできます。
マーケティングかんばんボードの別の構成方法は、組織全体のマーケティングファネルやカスタマージャーニーを反映することです。最も複雑なボードでは、ファネルの上位・中部・下部の各ステージを反映したヘッダーグループ化を設け、さらにアクティビティやキャンペーンタイプごとにプログラムをセグメント化するスイムレーンを配置できます。
営業部門向けかんばんボード例
カスタマージャーニーといえば、営業部門もかんばんボードを活用できます。セールスリーダーは、コミッションや財務目標を追跡するためにより複雑なシステムを利用する場合がありますが、トップダウンでパイプラインがどのようになっているかを明確に把握する必要があります。これにより、チームがカスタマージャーニーや商談の進捗における営業ターゲットに対してどのように成果を上げているかをより明確に把握できます。マネージャーはこの方法を使って、営業担当者のパフォーマンスを可視化し、コーチングの対象領域を特定することもできます。
かんばんボードは、セールスファネルのステージを利用して、商談とタスクを整理できます。
- ブランドを知っていて営業担当者の注目を集めているが、まだ購入の意思決定をする準備ができていないブランド見込み客
- 特定の製品やサービスに興味を示し、より多くの情報やフォローアップを提供することで、購買準備が整う可能性のあるた見込み客
- 購入の意思を固め、価格を検討する段階まで選択肢を絞り込んだ見込み客
- 最終的に購入し、顧客へと変換され、商談がクローズとなる見込み客
これらの幅広いセールスファネルのステージの中で、少人数のチームでは、営業チームが見込み客をさらに引き込むために行う電話、メール、資料送付などのアクションを反映したステータスを活用すると便利です。スイムレーンは、進行が遅れている案件や停滞している案件に注目し、さらなる対応が必要か、今後パイプラインから削除すべきかを判断するための有効な方法です。