2023年のオムニチャネルリテールの重要トレンド7選

An entrepreneur reviewing omnichannel insights for her retail business

Statistaの調査によると、世界のeコマース売上高は8.1兆ドルに達し、2026年には世界の小売売上高の24%を占めると予測されています。オンラインショッピングの増加に伴い、顧客への新たなアプローチ方法として、オムニチャネルリテールの主要トレンドがいくつか出現しています。

2023年を見据える小売業者にとって、これらのトレンドが顧客と自社のビジネスとの関わり方にどのような影響を与えるかを知ることは非常に重要です。この記事では、オンライン小売業に影響を与えるであろう主要なトレンドについて解説します。

  1. 実店舗の復活
  2. 拡大するオムニチャネルジャーニー
  3. パワーアップするソーシャルセリング
  4. オムニチャネルリテールにさらなる期待を寄せる顧客
  5. 以前にも増して重要性が高まるデータ
  6. 引き続き重要なサプライチェーン
  7. 主流になるバーチャルショッピング

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オムニチャネルリテールとは?

オムニチャネルリテールは、複数の購入基盤でシームレスな顧客体験を実現するコマース戦略です。 消費者や購入者が物理的空間とデジタル空間を行き来しても、あらゆる顧客接点がつながり、データが常に統一されているため、企業との一貫した有機的なやり取りを体験することができます。

オムニチャネルリテールは、シングルチャネルリテールやマルチチャネルリテールとは対照的です。ある企業が単一のプラットフォームを利用して、実店舗またはオンラインショップを運営していたとします。 また、別の企業が複数のチャネルを経由して購入できるマルチチャネル体験を提供していたとします。 しかし、こうしたプラットフォームは互いに接続されていないため、顧客体験が分断されています。

オムニチャネルリテールでは、あらゆるチャネルを統合し、スムーズなユーザーエクスペリエンスを実現することで、マルチチャネル体験をさらに進化させています。このような連携により、顧客の関心を維持し、購入へと導きます。

2023年以降のオムニチャネルリテールの7つのトレンド

オムニチャネル戦略は、近年、その範囲と人気が拡大しており、今後もしばらくは拡大が続くと思われます。利用可能なチャネルやデバイスの数が増え続け、オムニチャネル体験を可能にするテクノロジーが発展し続ける中、消費者の期待もそれにつれて大きくなっています。 企業や小売業者は、この流れに乗り遅れると、時代に取り残されてしまうリスクがあります。

2023年以降に注目すべきオムニチャネルリテーリングの主要トレンドは7つあります。

Brick-and-mortar comeback

1. 実店舗の復活

小売業においてオンラインショッピングは圧倒的な存在感を示していますが、これにより実店舗がなくなるわけではありません。Annual Retail Trade Survey の調査によると、2020年のオンライン売上高は2,442億ドル増加しましたが、オンライン返品率と顧客獲得コストが高いことから、対面ショッピングの重要性が再認識され、企業の戦略転換が促されました。

店頭からポップアップやショールームまで、対面での顧客エンゲージメントの方法はさまざまです。そして顧客は、たとえオンラインで注文した商品を店頭で受け取るだけであっても、実店舗での体験を好むものです。Delightedの調査によると、買い物客の75%が、商品を見たり試着することが、実店舗で買い物をする主な理由であると回答しています。

商品を実際に見る機会を提供することは、返品を減らすことにもつながります。全米小売業協会の調査によると、2021年にオンラインで販売された全商品の20.8%が返品されており、顧客の意思決定を助ける対面での体験はこの割合を減らすことができます。

また、実店舗は、企業が地域との関係を育むのにも役立ちます。顧客とのコミュニティを確立することで、企業への関心を高め、顧客維持率を向上させることができます。 Inuitの調査によると、米国の買い物客の70%が、オンラインショッピング中であっても、意図的に地元企業をサポートしていることがわかりました。店頭やその他の対面でのショッピングの機会により、この関心を活用することができます。

Online purchase, in-person pick up

2. 拡大するオムニチャネルジャーニー

購入過程でチャネルをひとつしか使わない買い物客が少なくなるにつれ、カスタマージャーニーはオムニチャネル体験へと進化しています。オムニチャネルリテールがデジタルと物理の境界を越える方法はいくつかあります。

企業は、オンラインと物理的な設備の両方に投資することで、オムニチャネル体験を拡大することの重要性を認識しています。McKinsey & Companyの調査よると、パンデミックは顧客とのやり取りのデジタル化を加速させ、そこから生まれた利点には非常に人気があり、多くのブランドはBOPISのような機能を提供し続けることを検討しています

自社ビジネスを将来に向けて準備すれば、オムニチャネル体験で顧客を魅了する絶好の機会が訪れます。McKinsey & Companyによると、60~70%の顧客がオムニチャネルのショッピングオプションを利用している回答しています。したがって、カスタマージャーニーでは、対面でのやり取りとオンラインでのやり取りをシームレスに体験できるようにする必要があります。

3. パワーアップするソーシャルセリング

顧客は、ソーシャルメディアで企業と関わり、商品について学び、消費者コミュニティに参加することができるため、ソーシャルメディアはオンライン小売業には欠かせない存在です。そして、ソーシャルメディアアプリは、アプリ内で購入できる機能が追加され、人気のショッピングチャネルに成長しました。

Statistaの調査によると、ソーシャルアプリの全世界での売上高は、2023年末までに1兆2,980億ドルに達し、顧客とのエンゲージメントの場所として非常に優れたものになります。ソーシャルメディアでのプレゼンスを高めるには、利用者は、多様で信憑性のあるオンラインペルソナを利用した親近感のあるマーケティングに反応することに留意してください。ソーシャルメディアのインフルエンサーやユーザー生成コンテンツと連携し、オーディエンスにアピールし、お気に入りのアプリで直接商品を購入できるようにしましょう。 同様の機能は、YouTubeのショッパブル広告フォーマットにもあります。

また、顧客は、ショッピングの補助として動画をよく利用するので、多くのソーシャルメディアコンテンツが動画に傾いています。Think with Googleによると、買い物客の半数が、何を買うかを決めるために動画を視聴しており、55%が、購入するものを思い出すために店頭で動画を視聴しています。顧客は、動画で実際に商品を見ることで、購入の意思固めをします。

4. オムニチャネルリテールにさらなる期待を寄せる顧客

BOPISのように、かつては例外的とされていたサービスも、今では顧客から期待されています。買い物客はオムニチャネルリテールの利点や体験に慣れてしまっているので、企業はそれをビジネスモデルに取り入れる必要があります。

また、顧客はさらなるパーソナライゼーションを期待しています。Epsilonの調査によると、80%の顧客は、最近閲覧した商品に関連する割引など、パーソナライズされた体験を提供されると、購入する可能性が高くなります。顧客は、自身が匿名の入れ替え可能な存在ではなく、評価されている存在だと感じたいのです。

現在の顧客体験の基準は高く、消費者が何かネガティブな体験を企業から受けると、その企業との関係を続ける可能性は低くなります。ある調査によると、76%の顧客が、たった一度のネガティブな体験で企業からの購入をやめてしまいます。

オムニチャネルリテールは、こうした傾向を持つ顧客の関心を維持する唯一の方法です。Omnisendのレポートでは、3つ以上のチャネルを統合している企業では、単一チャネルの施策をおこなっている企業と比較して、注文率が494%高いことが報告されています。顧客は複数のチャネルで企業と関わりたいものであり、そのニーズにシームレスに応えることで、より高い購入率を達成することができます。

5. 以前にも増して重要性が高まるデータ

データは、オムニチャネル戦略の基礎となるものです。顧客接点を監視し、リピーターを追跡することで、顧客データから興味や動機に関するインサイトを得ることができます。 データが多ければ多いほど、パーソナライズされた体験の構築、追加販売の促進、顧客の生涯価値の測定などが容易になります。

顧客データは、アトリビューションモデリングにとっても重要です。オムニチャネル戦略では、マルチチャネルアトリビューションが重要なのですが、異なるチャネルが購入決定に与える影響を追跡するのは困難な場合があります。たとえば、誰かがオンラインストアを訪れ、ソーシャルメディアで商品を閲覧し、その後実際に購入した場合、最終的な販売に至るまでの各顧客接点の貢献度を把握する必要があります。 このような場合、顧客データは、顧客の動機と各チャネルの影響力を理解するのに役立ちます。

また、Cookieの廃止が間近に迫り、同意にもとづく情報に焦点が移りつつあることも重要な点です。顧客との信頼関係を築き、情報を提供してもらうことは、データ収集の最良の方法のひとつです。 それができなければ、顧客プロファイルに関する多くのインサイトを、ゲーテッドダウンロード、開封メール、ページ訪問などを通じて推測しなければなりません。 情報を提供してもらえれば、顧客の動機を推測する必要はなく、自社に何を求め何を評価しているのか、生の情報を得ることができるのです。

An retailer shipping product and managing inventory

6. 引き続き重要なサプライチェーン

在庫は十分に確保され、実店舗でもオンラインでも、顧客が容易に入手できる状態であるべきです。しかし、パンデミックは深刻なサプライチェーンの混乱を引き起こし、それが解消され始めたとはいえ、流通はまだパンデミック前の水準には戻っていません。

McKinsey & Companyの調査よると、2021年には60%以上の顧客が購入したい商品の在庫切れを経験し、71%が再入荷を待つ代わりに企業や小売業者を変更しました。

ビジネスに影響を与えるサプライチェーンに対する注意を怠らないようにしましょう。販売データをモニターして何をどれだけ再入荷するかを決定し、十分な在庫を確保しましょう。 また、サプライチェーンの問題が発生した場合、顧客にポジティブな体験を提供するために利用できる戦略があります。

それでも在庫管理が難しい場合は、別の戦略を検討する必要があるかもしれません。

7. 主流になるバーチャルショッピング

バーチャルショッピングは、実店舗での体験とオンラインでの購入の利点を組み合わせたもので、専門家の推奨やアドバイスを参照しながら、自宅で商品を閲覧することができます。たとえば、バーチャルショッピングでは、自身のライブ映像に画像を重ねて、商品を「試着」することができます。

このような販売方法は、消費者の注目を浴びています。Think with Googleの調査によると、90%の顧客がショッピング中に拡張現実(AR)を利用している、または利用したいと回答しています。仮想現実や拡張現実の機能を広告に取り入れた企業は、コンバージョン率が94%高くなるなど、企業の広告活動にも役立っています。

企業はこれらのツールを活用して、実店舗での購入とオンラインでの購入の境界線をなくすことができます。オンラインショッピングの利便性と対面販売の利点のどちらかを選ぶ必要がないため、顧客の関心をさらに高めることができます。 顧客は、自宅にいながら商品の外観や雰囲気を確かめてから購入することができます。

場合によっては、AR機能はさらなるメリットも提供します。家具やインテリアの企業は、アプリやモバイルサイトでのARの利用を促進しており、買い物客は自宅に商品を「置く」ことができるようになりつつあります。 対面式のショッピングでも、ソファが自分のリビングルームでどのように見えるかを顧客に見せることはできません。

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時代の流れを先取りする

テクノロジーの変化が消費者の需要をどのように変化させるかを意識することが重要です。実店舗の復活、オムニチャネルのカスタマージャーニーの拡大、ソーシャルセリングの威力などは、これから注目すべき重要なトレンドです。

次のステップに進んでこれらのトレンドを活用する準備ができたら、分析ツールを利用してあらゆるチャネルからデータを収集し、顧客がどこでどのようにブランドと接しているのかを把握しましょう。そうすることで、特定の顧客やプラットフォームに合わせたパーソナライズされた体験を構築することができます。

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