AIを活用したブランドの可視性が今、大きな注目を集めています。それには充分な理由があります。生成検索がお客様のブランド発見方法を塗り替えるなか、AI生成の回答で引用・レコメンデーション・言及を獲得することは、それ自体が一つの専門領域となり、見過ごせない影響力を持つようになりました。この波に乗り遅れたり、目を向けなかったりするブランドにとって、リスクは決して小さくありません。
しかし、ブランド発見の改善を競うだけでは、ブランドが直面する課題の半分しか解決できません。お客様に気づいてもらい、商品やサービスを試してもらうきっかけにはなるかもしれない。しかし、より本質的な問いへの答えは得られません。「そのお客様は、また戻ってきてくれるだろうか?」という問いです。これは非常に重要な課題であり、アドビはAdobe Journey Optimizer Loyaltyの本日のリリースによってブランドのこの課題解決を支援します。このソリューションはAdobe Summitにて4月に発表されました。
ロイヤルティ構築の課題と価値。
信頼と同様に、ロイヤルティは失うよりも築く方がはるかに難しいものです。ブランドへの支出を本当に増やしてもらうには、良い体験が6回以上必要とされている一方、たった2〜3回の悪い体験で離れてしまうとも言われています。注目を集めることより、その関心を維持し続けることの方が難しいのです。しかも今、この非対称性はさらに深刻化しています。より良い代替手段が、AIが生成するサマリー一つで簡単に見つかってしまうからです。次にホテルを探すとき、ランニングシューズを買うとき、定期購入品を注文するとき——お客様はAI検索アシスタントを開くだけで、ゼロから評価をやり直すことができます。その時、競合他社はもちろん、自社ブランドも等しくスタートラインに並ぶことになります。
こうした手軽な検索習慣が最も急速に広まっているのは、まさにブランドが手放してはならないお客様の層です。Z世代の買い物客の3分の1、ミレニアル世代の4分の1が、商品を選ぶ際にwebを検索したり、ソーシャルフィードをスクロールしたり、好きなインフルエンサーをフォローしたりするよりも、AI検索アシスタントに聞く方を好むと回答しています。この層にとって、ブランドの発見は一度勝ち取れば終わりではありません。購入のたびにデフォルトの出発点となるため、毎回「見つけてもらう」戦いをリスクにさらすことになります。その戦いを繰り返さないためには、次にAI検索アシスタントが何を提示するかとは関係なく、お客様が戻ってきたいと思える理由を作ること——つまり、再発見を必要としない、ブランドが直接築いた関係性こそが重要です。
その関係性の根底にあるのはロイヤルティです。しかし、今日多くのブランドが取り組んでいる姿は、それとは大きく異なるのが現状です。
ロイヤルティとは、会員制プログラムではなく、行動に根ざした戦略です。
本来、ロイヤルティとはブランドが望む行動を促すあらゆる瞬間を捉えるべきものです。しかし現実には、カスタマージャーニーの「終着点」に置かれたプログラムへと矮小化されています。カスタマージャーニーマップやマーケティングファネルの図を見ても、ロイヤルティに関するイニシアチブが登場するのはほぼ例外なく最下部の一つのボックスだけです。お客様の獲得プロセス、育成方法、そしてそもそもなぜそのブランドを選んだのか——こうした文脈とは切り離された存在になっています。いつの間にか「ロイヤルティ」という言葉は、ブランドが促進したい行動を認め、報いるという本来の規律から離れ、購入後にのみ機能するポイント残高と会員登録フローを持つ特定のアーティファクト——すなわち名前のついた報酬プログラム——を指すものになってしまいました。ロイヤルティプログラムを持たないブランドでは、マーケティングチームの多くがロイヤルティを「自分たちが解決すべき課題」と捉えていないのが実情です。
こうした位置づけや考え方は、実際のビジネスに深刻な影響をもたらします。チェックアウト後にようやく機能するプログラムは、まだ比較・検討中のお客様や、AIの検索AI アシスタントの情報に影響を受けているお客様には何も提供できません。ロイヤルティが登場する頃には、関係性に本当の影響を与えた瞬間はすでに過ぎ去っており、意思決定につながった貴重な情報も失われています。
この購入前の重要な時間は、多くのロイヤルティチームが想定するよりも早く閉じつつあります。最近の調査では、世界の小売業者の幹部81%が「2027年までに生成AIがブランドロイヤルティを弱体化させる」と考えていることが明らかになりました。お客様の選択が、すでに認知しているブランドではなく、その瞬間の価格・在庫・スペックへと移行していくという見方です。チェックアウト時にしか機能しないロイヤルティプログラムでは、この流れを変えることはできません。プログラムがお客様に届く頃には、AI検索AI アシスタントがすでに多くの意思決定を済ませているからです。
真の目標は、常連としての行動を育むことであり、プログラムへの会員登録数を増やすことではありません。名前のついた登録型プログラムをロイヤルティ施策の前提条件として捉えてきたために、多くの有益なエンゲージメント戦略がマーケティングチームの内部に埋もれたままになっています。「自分たちの領域ではない」と思い込んでいるためです。しかし本来の機会は、プログラムの有無にかかわらず、適切な行動が生まれる場所とタイミングでそれを認め、報いることにあります。
ロイヤルティは台帳として構築されているが、本来は生きたシステムであるべきだ。
ロイヤルティテクノロジーの多くは、企業がいかに上手く活用しようとも、基本的には一つのことを得意とするために設計されています。それは「記録すること」です。ポイント残高、ティアのルール、特典のカタログ——いずれも過去に起きたことを記録する台帳にすぎません。「次に何をすべきか」という問いに、台帳は何も答えてくれないのです。
これは台帳そのものを否定しているわけではありません。ポイントや特典を正確かつ適切に管理できるレコードシステムは企業にとって不可欠であり、ロイヤルティプログラムを持つ企業の多くはすでにそれを備えています。問題は、その上位に何が欠けているかです。会員のその瞬間の行動を捉え、次のアクションを判断するレイヤーが存在しないのです。最適なチャレンジを提示し、的確なきっかけを届け、重要なマイルストーンを見逃さない——そうした取り組みこそが、ロイヤルティエクスペリエンスの成果を大きく高めます。事後にアクティビティを集計し、次のキャンペーンサイクルまで待ち続けるだけでは、真の価値は生まれません。
資金力のある強固なプログラムでさえ、この課題を感じ始めています。既存のロイヤルティプラットフォームは、ポイント管理やティア設定、特典のルール運用において成熟していますが、ダイナミックなオーケストレーション機能が不足しています。お客様がまさに今取っている行動をもとに、リアルタイムかつ複数チャネルをまたいでパーソナライズできるプラットフォームはほとんどありません。多くのロイヤルティプログラムは依然として画一的な特典構造を採用しており、パーソナライズ機能もコンテキストに応じたものではなく、ルールに基づいたものにとどまっています。企業は膨大な行動データを収集しているにもかかわらず、その大半は活用されないまま。その結果、ロイヤルティの取り組みは自律的に進化することなく、後手に回り続けています。
ロイヤルティ施策は、手作業と低速なサービスへの依存から脱却できていない。
企業がロイヤルティにおいて犯す3つ目のミスは、運用上の問題であり、最初の2つをさらに悪化させるものです。ロイヤルティをジャーニーの早い段階で再定義しようとする企業も、単一のプログラムを超えて展開しようとする企業も、同じ壁にぶつかります。それは、あらゆる施策を動かすための作業が大部分において手動であり、その多くが外部に依存しているという現実です。Everest Groupの調査によると、2026年にはロイヤルティ管理支出の約66%がサービスに費やされると推計されています。それはデータを分析し、次のキャンペーンを提案し、台帳だけでは把握できない情報を手作業でつなぎ合わせるアナリストやエージェンシーへの委託費用です。
ロイヤルティチームの反応が遅いのは、アイデアが不足しているからではありません。予算と時間の大半が、過去の分析、次のアクションの検討、施策の構築、そして社外からのレコメンデーションを待つことに費やされているからです。そのサイクルが回り終える頃には、好機はすでに過ぎ去っています。プログラムを本当に成長・強化するための戦略的思考に割く余地が、ほとんど残らないのです。
ロイヤルティの設計・構築・実行を極め、その成果を最大化する。
これらの課題を統合的に解決することで、答えが見えてきます。ロイヤルティプログラムは、お客様が正式に加入する前の段階から機能し、高いポテンシャルを持つお客様をいち早く認識してエンゲージできる仕組みでなければなりません。残高を記録するだけでなく、リアルタイムのシグナルに基づいてアクションを実行できるシステムが必要です。さらに、そのシグナルが多数のアナリストやエージェンシーを介さずとも、自動的に次のアクションへと繋がる仕組みが不可欠です。
これは、多くのブランド企業が現在持っているインフラとは根本的に異なるものです。ポイント、ティア、特典の管理方法にかかわらず、その上に重なるインテリジェントなエクスペリエンスとオーケストレーションのレイヤーです。ロイヤルティや顧客維持のエクスペリエンスを真に機能させるには、年に1〜2回の更新にとどまらず、継続的に稼働し続ける必要があります。
Adobe Journey Optimizer Loyaltyのご紹介。
Journey Optimizer Loyaltyは、この欠けているレイヤーを補うために設計・構築されました。ブランド企業の既存のロイヤルティ台帳を管理するシステムを置き換えるのではなく、ロイヤルティデータをその他のカスタマーエクスペリエンスと統合します。これにより、会員のティア、トランザクション履歴、エンゲージメントパターンが独立したサイロではなく、ひとつの統合されたビューの一部になります。
包括的なインサイトとビューを基盤に、マーケターは正式なロイヤルティプログラムの有無にかかわらず、望ましい行動を促すアダプティブなゲーミフィケーション課題を設計することができます。オンボーディング、リテンション、再エンゲージメント、ティア昇格など、目的を問わず、その瞬間に最も関連性の高いチャネルを通じて、リアルタイムで消費者に課題を届けることができます。その基盤となるのは、エンゲージメントや解約を促す要因を継続的に分析する強力なエージェント型AIです。チームが見落としがちなリスクや機会をサーフェスし、対応すべき最適な戦略をレコメンデーション・構築します。
これは、単なるポイントエンジンの改良ではありません。より早い段階から機能し、稼働期間が長くなるほど賢くなるロイヤルティです。これからの10年でリードするブランド企業は、Brand Visibilityだけに焦点を当てるところではありません。お客様が「ここにいる理由」を継続的に見つけ続けられる企業こそが、競争優位を築いていくでしょう。
Adobe Journey Optimizer Loyaltyの詳細を見るか、デモを予約して、そのAIを活用した機能が組織とビジネスにとってのロイヤルティ・リテンションエクスペリエンスをどのように再定義するかをぜひご確認ください。