マーケティング予算の配分、どう考えますか?
マーケティング部門はコストセンターだと言われた時代もありましたが、近年のデジタルシフトで状況は一変し、マーケティングへの期待値が大きく高まっています。期待に応えるためには、マーケティング予算を確保し、適切に配分して活動を行うことが欠かせません。考え方のポイントをご紹介します。
もくじ
- マーケティング予算配分の最初のステップ
- 今年度の実績を参考にする
- 事業セグメント、カスタマージャーニー、チャネルの3要素
- 4つの軸で予算を配分する
- 最終的には優先順位をつけて取捨選択する
マーケティング予算配分の最初のステップ
マーケティング予算は経営陣から与えられるものか、それとも都度申請して確保しにいくものか、そのスタイルは企業によります。いずれにしても、予算配分の最初のステップは事業戦略を確認することです。どれくらいの受注数を目指すのか、注力製品が何か、認知を増やすのか、はたまた既存顧客からのLTVの最大化を目指すのか、その戦略によって優先順位が大きく変わります。また、営業部門がある場合には、営業戦略との方向性をすり合わせておくことで、部門間のずれを防げます。
今年度の実績を参考にする
予算配分や予算規模の根拠は何でしょうか。まずは自社の今年度や昨年度の実績を参考にしてみましょう。
その際、リード獲得や商談、受注などビジネスの重要なステップを定義した「収益プロセス」を設計し、このステージの遷移によって成果を把握します。これらの数字はビジネスに結びついた成果で、経営層からの評価を正確なものにすることができます。
併せて、実際にいくら使ったかも一元管理をしておくと、計画を立てる際の工数を減らすことができます。予算管理シートを用意し記録しておきましょう。
マーケティングの精度を高めるためには、過去の失敗から学ぶことが欠かせません。費用対効果が合わなかったものはその要因を分析し、改善して継続するのか、ストップするのか、都度振り返りましょう。
事業セグメント、カスタマージャーニー、チャネルの3要素
マーケティング予算の全体像が明らかになると、その中で優先順位をつけて配分していくことになります。施策やチャネル毎に配分をしたくなりますが、まずは事業戦略に基づきセグメントや製品毎の配分を意識しましょう。その上で、「顧客視点」で各セグメントの顧客が抱えている課題を明確にします。そして、カスタマージャーニーを通じてその解決策を提示するシナリオを考えましょう。マーケティング部門の担当はチャネル毎に分かれていることが多いですが、カスタマージャーニーで考えると必ずしもチャネル毎に分断されたコミュニケーションが好ましくないことが分かります。
必ずしも新規リード獲得のためのチャネルだけを考えるのではなく、検討促進フェーズにおける施策やコンテンツにもリソースや予算をかけることの重要性が分かります。是非、その観点でも配分することを忘れないようにしましょう。
4つの軸で予算を配分する
先述の3つの要素で配分を考え、最終的に何に投資をするか、となった時に大きく分けると4つの軸があります。具体的には、以下のものになります。
- イベントや広告、SEOなどのリード獲得施策
- コンテンツ制作
- テクノロジー整備
- 人的リソースの確保
短気的な視点では獲得系の予算が増える傾向にあるのは仕方がないことですが、顧客の心理を動かし、カスタマージャーニーを進めるためにはコンテンツの力が重要です。また、データドリブンな意思決定や戦略立案、施策の高度化にはテクノロジーの活用が欠かせません。もちろん、人的リソースがなければ実行することができないので、既存メンバーに加え、人材採用やアウトソースを組み合わせた実行体制にも予算を忘れないようにします。
獲得施策系では、同じコンテンツ、同じメッセージングで訴求を続けると獲得効率が下がってしまうことがあります。これを避けるために、新たな訴求ポイントを探し、コンテンツを作ることを継続していきましょう。そのためには、4つの軸に加えて、ユーザーヒアリングやアンケートなど、定量、定性の両面で顧客リサーチを繰り返していくことも忘れないでください。
最終的には優先順位をつけて取捨選択する
このような流れで、網羅的に予算配分を決め、活動計画を立てると、内容が盛りだくさんになります。実はこの状態が理想的で、多くのアイデアの中から優先順位をつけ、実際の割り振りをすれば、抜け漏れの少ない計画が立てられます。この際、マーケティングオートメーション(MA)などで収集した、ビジネス指標に基づくデータがあれば、意思決定の精度が高まっていきます。是非、正しい予算計画を立て、社内外から評価されるマーケティングチームへと歩みをすすめていきましょう。
マーケティング予算計画に役立つテンプレートをご用意しておりますので、是非併せてご活用ください。
ライター紹介
虻川 稜太
アドビ株式会社 マーケティングスペシャリスト
精密機器メーカーで放送機器のプリセールス、営業に従事した後、2017年に当時の株式会社マルケトに入社。インサイドセールスとして年間200件以上の商談創出に貢献。現在はAdobe Experience Cloudのマーケティングに従事し、SEOやデジタル広告、スポンサー施策等を通じたリードジェネレーション、MAを用いたリードナーチャリングや営業連携、コンテンツ制作を担当。