Adobe Experience PlatformのAIアシスタントとは
AIアシスタントの仕組み
AIアシスタントは、生成AIをはじめとしたAdobe Experience Platformのさまざまな機能を組み合わせて、権限やアクセス制御を遵守しながら、アドビと顧客のソースからデータを収集し、その価値を最大限に引き出します。AIアシスタントは、次の3つの主要な要素で構成されています。
ユーザーインターフェイス
利用者は、ユーザープロンプトを通じて、AIアシスタントを活用できます。AIアシスタントは自然言語を理解し、ダイアログ管理サービスとやり取りしながら、その他のモデルが魅力的で自然な応答を提供できるように誘導します。AIアシスタントは会話のコンテキストにもとづいて質問を言い換え、質問の種類を判断して、役立つ回答を提供します。
生成エクスペリエンスモデル
AIアシスタントは、特定のユースケースに対応するために設計されたエクスペリエンスモデルのコレクションを使用し、必要に応じて迅速にデータを活用できるようにサポートします。
生成エクスペリエンスモデルの価値を引き出すには、次の重要な3つの要素があります。
- ベースモデル は、AIアシスタントの基盤となるモデルであり、すべての顧客に適用されます。大規模言語モデル(LLM)、言語モデル、ユーザープロンプト内の自然言語を理解する、タスク固有の言語モデルで構成されています。ベースモデルはアドビのデータにもとづいているため、オープンエンド方式の質問に応答し、タスクを進めるためのガイダンスやインサイトを提供できます。また、アドビ製品の仕様に関する質問にも答えることができます。
- カスタムモデル は、ベースモデルを拡張し、顧客データにもとづいてAIアシスタントに顧客固有のコンテキストを提供します。これにより、顧客は自社データに関する疑問の答えを得たり、データインサイトを獲得したり、トレンドを把握したりできます。カスタムモデルは、売上予測やビジネスに関するレコメンデーションなど、予測的なユースケースにも対応できます。カスタムモデルでは顧客データを使用するため、そのデータは外部とは共有されず、役割ベースのアクセス制御によって、利用者がアクセスできる範囲が制限されます。
- 意思決定サービス は、そうしたモデルとデータを活用し、現在と過去のコンテクストにもとづいて、AIアシスタントが利用者を適切にサポートできるようにします。これには、次のステップ、レコメンデーション、利用者が以前にした質問に対する回答などが含まれ、会話が連続したやり取りとして進行します。たとえば、利用者がデータのマージポリシーについて質問した場合、AIアシスタントは、そのポリシーに関連するセグメント数を確認するように提案します。
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データを活用
データは、パーソナライズされたインサイトとエンゲージメントを推進する重要な要素です。そこで、Adobe Experience Platformの出番です。デジタルソースと企業ソースをまたいでデータを統合し、包括的な顧客プロファイルを構築できます。
Adobe Experience Platformは、AIアシスタントがビジネスの全体像を把握するための基盤を提供します。Aiアシスタントは、製品ドキュメント、コミュニティフォーラム、業界やユースケースのプレイブックなど、アドビのデータだけでなく、Adobe Experience Platform内に保存されている顧客企業のデータおよびメタデータも活用します。
生成エクスペリエンスモデルは、これらのデータストアをクエリし、質問に答えるための出力を生成できます。データを整理して事前に結合し、顧客固有のナレッジベースにインデックス付けすることで、言語モデルがオープンエンド方式でデータを処理できるようにします。
信頼を第一に考える
AIアシスタントは、エンタープライズレベルの信頼性、ガバナンス、顧客データ管理を念頭に置いて開発されました。生成エクスペリエンスモデルのアーキテクチャにより、次の原則を確実に遵守できます。
- 常に顧客データの安全を確保する。開発されるモデルはそれぞれの顧客企業の専用であり、顧客企業間でデータが漏洩することはありません。
- 顧客とのやり取りや顧客データを使用してLLMをトレーニングしたり、調整したりすることはありません。さらに、追加の予防策として、LLMのログ記録は無効化されています。
- 会話のセキュリティを確保するために、プロンプトと回答のパイプラインに一連のフィルターを適用します。アドビでは、機密性の高いコンテンツや危険なコンテンツを管理するために、3rdパーティのLLMコンテンツフィルタリングサービスを活用しています。また、個人を特定できる情報を排除したり、機密性の高い入力をフィルタリングしたりするためのフィルターを独自で開発しました。これらのチェックを両方とも通過した場合にのみ、利用者に応答が提供されます。
- 顧客に応答するために、3rdパーティのソースを使用することはありません。
- AIアシスタントが提供するすべての回答には、適切な検証レイヤーが適用されます。
- アドビの生成AI機能はすべて、アドビのAIガバナンスプロセスおよびAI倫理に準拠しています。
アドビでは、生成エクスペリエンスモデルの一環として、意図の分類、自然言語によるクエリ表現、引用などに役立つ一連のモデルを開発しました。これらのモデルは、アドビのエコシステム内で動作する内部モデルです。適切な制御により、回答の正確性が継続的に改善されます。また、内部アーキテクチャの透明性を向上させることで、顧客に最適な情報を提供することができます。
AIアシスタントがどのように役立つのか
Adobe Experience Platform上に構築されたアプリケーションを使い始めたばかりの利用者であれ、ワークフローを効率化して成果を向上しようとしているエキスパートであれ、AIアシスタントは、作業の負担を軽減し、生産性を向上させることができます。ここでは、業務効率の向上に貢献するいくつかの方法を紹介します。
キャンペーン/チャネルマーケティングチーム
AIアシスタントは、マーケターが使用しているアプリケーション内で利用できるツールや機能を迅速に理解し、作業の質を高めるのに役立ちます。また、クリエイティブプロセスを迅速に開始し、キャンペーンの作成、コンテンツの生成、公開を高速化できます。
例えば、Adobe Real-Time CDPを使い始めたばかりのキャンペーンマネージャーが、オーディエンスのアクティベーションに苦慮しているとします。その場合、AIアシスタントに「オーディエンスをアクティベートするための次のステップを教えてください」と質問すれば、AIアシスタントは、アドビのドキュメントにもとづいて、カスタマイズされた回答を提供します。
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マーケティングオペレーションチーム
マーケティングオペレーションチームは、キャンペーンのパフォーマンスを測定したり、マーケティングワークフロー内でのジャーニー、セグメント、オーディエンスの設定方法を把握したりするのに、多くの時間を費やしています。AIアシスタントは、マーケティングワークフローに関する質問に迅速かつ一元的に回答することで、作業の効率化に役立ちます。オペレーションチームは、獲得したインサイトにもとづいて、より迅速にトラブルシューティングをおこなえます。また、不明な概念に遭遇したときは、製品ガイダンスを受けて問題を解決できるようになります。
たとえば、マーケティングオペレーションアナリストは、作成後に使用されていないオーディエンスや、定義が重複しているオーディエンスがあるかどうかを把握する必要があります。データスペシャリストの助けを待つ代わりに、AIアシスタントにそうしたオーディエンスのリストを提供するように依頼することができます。また、AIアシスタントは、質問への回答を視覚化することもできます。
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データ/ITチーム
AIアシスタントを利用することで、日常的なタスクを効率化し、データを分析してインサイトを獲得して、パイプライン管理、データの整合性管理、データの系統分析などのプロセスの精度を向上させることができます。
たとえば、データエンジニアが、データの系統を把握するために、特定のフィールドがどこで使用されているのかを示すグラフを必要としているとします。その場合、特定のデータフィールドが使用されているセグメント、スキーマ、宛先のリストを提供するようにAIアシスタントに依頼できます。また、AIアシスタントが回答を生成するために使用したソースクエリも取得できます。
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AIアシスタントの今後の展望
アドビでは、これまで述べてきたユースケースだけでなく、AIアシスタントをさまざまな分野で活用できるように取り組みを進めています。現在公開されているユースケースや開発中のユースケースは、製品情報とガイダンス、トラブルシューティング、コンテンツ生成とインサイト、カスタマーサポートに重点を置いています。今後、ワークフローの自動化、目標主導型タスクの実行、予測分析とレコメンデーションの提供など、ビジネス成果の最適化に対応する予定です。
AIアシスタントがお客様のビジネスにどのように役立つのかをご案内します。
Akintunde Ajayiは、Adobe Experience Platformのプロダクトマーケティング担当シニアマネージャーです。Adobe Experience Platformの革新的な能力を市場に投入し、パーソナライズされたインサイトとエンゲージメントに関するアドビ製品の認知と採用を促進するのに注力しています。Akintundeは、コンサルティング、システム統合、プロダクトマーケティングの分野で14年以上の経験を有しています。Northwestern UniversityのKellogg School of ManagementでMBAを取得した後、2019年にアドビに入社しました。Akintundeは、献身的な夫であり、一児の父であり、またLiverpool FCおよびUtah Jazzの熱心なファンでもあります。
Horia Galatanuは、Adobe Experience Platformのプロダクト管理担当ディレクターです。AI、マシンラーニング、データ、テストに関する能力を構築することに重点を置いています。2007年にアドビに入社し、Adobe Primetime、Adobe Campaign、Adobe Journey Optimizerなど、長年にわたってさまざまな取り組みに携わってきました。Horiaは、家族とともにサンフランシスコ湾岸地域に居住しています。趣味はハイキング、写真撮影、Arsenal FCのサッカー観戦です。
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