量から質へ。アドビ×Veevaで変革するライフサイエンス業界のコミュニケーションとは

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2021年7月に、アドビはライフサイエンス業界向けクラウドベースソリューションのリーダーであるVeevaとの戦略的提携を発表しました。これを受け、Veeva製品とアドビ製品との連携で実現する、ヘルスケア業界におけるマルチチャネル時代の新しい情報提供プラットフォームの形をご紹介するウェビナーを開催。「Veeva Vault PromoMats×Adobe Experience Manager」、「Veeva CRM×Adobe Marketo Engage」の掛け合わせにより、医師への情報提供がどのように変えられるのか、Veeva Japan株式会社 Senior Product Manager菅野亨太氏のご意見も交えたウェビナーの内容をご紹介します。

もくじ

  • 医師の顧客体験向上に重要な2つのコンセプト
  • Veeva Vault PromoMats×Adobe Experience Managerの連携で実現できること
  • Veeva CRM×Adobe Marketo Engageで実現できること

医師の顧客体験向上に重要な2つのコンセプト

今回のテーマは、「Push型セールスモデルからPull型エンゲージメントモデルへの変革」。アドビの篠原航介は、現在ヘルスケア業界が置かれている環境として、「MRの訪問機会の減少」「デジタルを中心とした情報量の増大」「よりパーソナライズされた情報提供へのニーズの高まり」といった3つの特徴があるとした上で、「従来MRが行ってきた医師に対して多くの情報を届ける『Push型セールスモデル』から、医師のニーズを汲み取ってエンゲージメントを高めていく『Pull型エンゲージメントモデル』へと関係構築の形を変えていく必要があるのではないか」と投げかけます。

これに対し、Veeva Japanの菅野氏は「総論として同意するが、各社の事業環境によって、あるべき情報提供のあり方は異なるのではないか」と指摘し、「新しいリレーションへと変えていくための、より具体的な方法について議論していきたい」と語ります。

では、改めて「Push型セールスモデル」と「Pull型エンゲージメントモデル」では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

その答えを篠原は、次の1枚のスライドで示しました。

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「端的に言えば、Push型は“量”、Pull型は“質”で勝負します。医師のニーズをデータから汲み取って、それをもとに提供するコンテンツやチャネル、タイミングを最適化することで、医師の情報収集体験の質を上げていきます」(篠原)

これを受け、菅野氏は「MRの活動が単にデジタルに移行するという話ではなく、複数のチャネルを組み合わせながら、一貫したメッセージを届けることが大切だということですね」と語りました。

そして話題はアドビとVeevaのソリューション連携に移ります。

前提として、「アドビとVeevaのソリューションを連携したからといって、マルチチャネルにおける情報提供の課題がすべて解決するわけではない」とした上で、重要となるのは 「①デジタルアセットマネジメント」「②顧客データと行動データの統合」 という2つのコンセプトである、と篠原は説きます。

①デジタルアセットマネジメント

・各チャネルで個別にアセット管理を行うのではなく、デジタルアセットは1つのデータベースで一元管理する。

・資材管理を行うVeeva Vault PlatformとアドビのDAM(Digital Asset Management)を自動連携することで、効率的な資材管理を実現。工数の削減と同時に、よりタイムリーな情報提供が可能となる。

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「資材間の整合性を目視でチェックしたり、資材の有効期限を手動で管理したりすると、漏れが生じる可能性も高く、コンプライアンス上のリスクを負うことにもなります。資材の管理から配信までを一気通貫で行うことで、一貫したメッセージを届けられる利点もあるでしょう」(菅野氏)

②顧客データと行動データの統合

・医師のニーズをマルチチャネルで収集し、そのデータをもとに各種活動に生かしていくことが重要。

・アドビのソリューションからVeeva Commercial Cloudへデータ連携することで、デジタルからMRの活動に新しい示唆を与え、これまでとは異なる観点からの活動計画を立案できる可能性もある。

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これに対し菅野氏は、「非常に夢のある絵だと思います。MRと医師のリアルな接点を改善したり、逆にリアルで得られた情報をデジタルに反映したりすることも考えられるはずです。ユーザーの皆様のご意見を伺いながら、おもしろい解決策を生み出していきたいですね」と語りました。

Veeva Vault PromoMats×Adobe Experience Managerの連携で実現できること

続いて、すでにリリース済みのVeevaとアドビの連携について、2つのデモンストレーションを行いました。

まずは、Veeva Vault PromoMatsとAdobe Experience Managerの連携について、アドビの菊地史登よりご紹介。

Adobe Experience Managerは、任意のデジタルアセットを取り込み、様々なコンテンツを作成/保存/管理/検索した上で、あらゆるチャネルへ配信できるCMSです。医療従事者向けサイトにおいても、「認知〜処方検討〜試用/採用〜利用拡大」の各フェーズで様々な課題を解決できるのですが、今回は特にこのライフサイクルにおいて重要なwebコンテンツ管理における「薬事審査、監査リスクの低減」にフォーカスしました。

ここでカギとなるのは、「プロモーション資材を公開するまでのプロセスを、いかに効率よく進めていくか」である、と菊地は説きます。

医薬品のプロモーション活動に必要なMLR審査/承認プロセスで煩雑な手管理が行われていると、システム間で承認状況の正確なトラッキングができないことや、公開済みページの有効期限が分からなくなることがあるため、運用が非効率になってしまいます。

そこでVeeva Vault PromoMatsとAdobe Experience Managerをコネクタで連携することにより、審査申請までの時間を短縮するとともに、正確なトラッキングが可能となります。これによって、審査における管理工数の削減や審査期限切れコンテンツの公開防止を実現できるのです。

また、菊地はVeeva Vault PromoMatsからwebサイトで使用する素材をアップロードして、Adobe Experience Managerで公開するまでの流れも実践して見せました。

Veeva CRM×Adobe Marketo Engageで実現できること

次に、アドビの山下宗稔より、Veeva CRMとAdobe Marketo Engageとの連携についてご紹介。

Adobe Marketo Engageは、顧客データをもとにOne to Oneのメッセージを届けることで、顧客体験の向上を実現するMA(マーケティングオートメーション)ツールとなっています。特徴として、興味関心や温度感に応じてメッセージを出し分けることで、効果的な顧客育成ができるという点があります。したがって、「メールを送って終わり」ではなく、医師に最適な薬を処方してもらうことで自社の売上向上につながるような、“医師とのコミュニケーションの促進”に重きを置いているのがAdobe Marketo Engageである、と山下は強調しました。

22年5月のアップデートにおいて、Veeva CRMとAdobe Marketo Engageの連携コネクタを限定リリースしました。アドビが用意したCRMとのコネクタとしては、Salesforce.comとMicrosoft Dynamics CRMに続く、第3弾となっています。

「Veeva CRMもMRと医師のコミュニケーションを促進するものではあるものの、“点”で深くアプローチするVeeva CRMに対し、“面”で広くアプローチするのがAdobe Marketo Engageです」と説く山下は、それぞれの主要な領域を次のように示しました。

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この2つを連携することで、「医師に関するデータのリッチ化」「MRの記録内容をもとにしたマーケティング」「処方実績をもとにしたマーケティング」「MRへ次のアクションをレコメンド」 といったことが可能となります。つまり、医師にとっては、自身のwebサイトでの行動履歴やMRに伝えた情報が反映されることで、製薬会社から送られてくるマーケティングメールや、MRからもらえる情報がより自分のほしいものになるというメリットがあるのです。

山下は具体的なユースケースをデモンストレーションした上で、「まだVeeva CRM上でAdobe Marketo Engageのログを見ることはできませんが、将来的には実現していきたいと思っています」と語りました。

最後に、「今回ご紹介した連携機能は、まだ我々の1つの解でしかありません。皆様からのフィードバックを生かしながら、もっと変えていく必要があると考えています」と語る篠原に対し、菅野氏も「オムニチャネルという大きなテーマにおいては、課題が多岐にわたると思っています。ぜひ皆様のご意見をお聞かせいただいて、作り手の論理に陥らない、本当に課題解決のできるソリューションを作り上げていきたいです」と話し、本ウェビナーを締めくくりました。

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