Adobe User Group Day: 製品別のユーザー総会でマーケター同士のつながりを強化
7月13日、14日の2日間、マーケティングオートメーションツール「Adobe Marketo Engage」、分析ツール「Adobe Analytics」、コンテンツ管理ソリューション「Adobe Experience Manager」の製品別ユーザー会総会「Adobe User Group Day」が、東京・恵比寿で開催されました。
Adobe Marketo Engageの総会は年2回開催されており、今回の総会は昨年の12月以来となります。 Adobe AnalyticsとAdobe Experience Managerの総会は、今回が初開催です。
ユーザー総会では、各製品の最新機能や今後、提供される機能の紹介、先進ユーザーによる事例発表、ユーザー同士が自由に意見交換を行うネットワーキングなどが行われました。
イベントの中で、アドビのデジタルエクスペリエンス部門インターナショナル プロダクト兼GTM担当バイス プレジデントのキース イーディは、アドビはユーザー会をとても重要視しており、ユーザーからフィードバックされた意見を、今後も製品開発に活かしていくと語っています。
今回のイベントでは、3つのユーザー会合わせて、約400名の方が参加されました。
約300人が参加したMUG Day
初日の7月13日には、Adobe Marketo Engage User Group総会(MUG Day)が行われ、約300名のユーザーが参加。ユーザー代表のソニーペイメントサービス営業企画部マーケティング企画課 係長の目黒 あやめ氏は、「今回のイベントで普段の悩みを相談し、たくさんのつながりをもちましょう」と挨拶しました。
ユーザー代表で挨拶するソニーペイメントサービスの目黒 あやめ氏
アドビは年に一度、ユーザーの中からマーケターとしての情熱を持ち、高い目標に向かってチャレンジし、ユーザーコミュニティやイベント参加を通じて社内外でマーケター市場の活性化に貢献したユーザーを表彰しています。受賞者は、マーケターとしての体験を記載した書類で応募し、審査の結果、選ばれます。今回のイベントでは、各ユーザーグループの2023年の受賞者の発表ならびに表彰も行われました。
「Japan Adobe Advocates」受賞者のみなさま
プロダクトアップデートでは、アドビのデジタルエクスペリエンス事業本部ソリューションコンサルティング部ソリューションコンサルタント澤田慶子より、今年の3月と5月に追加されたAdobe Marketo Engageの新機能を中心に説明。ランディングページのビューモダンUIが新UIに統一された点や、Adobe Marketo Engage内でウェビナーの作成や配信が可能な「インタラクティブウェビナー」のほか、リリース情報や製品の使用方法などを一元管理できる「ヘルプセンター in Marketo Engage」などを紹介しました。また、年内に提供される予定の「Engagement Canvas」や「ダイナミックチャット」などを、デモを交えて説明しました。
最新事例の紹介では、コクヨ様とプロ野球チームのオリックス野球クラブ様のAdobe Marketo Engageの活用事例が紹介されました。
コクヨ様は文具やオフィス家具などを提供されていますが、今回紹介されたのはワークプレイス事業の自治体への展開についてです。「デジマ市民権獲得への挑戦」 と題された発表では、B2Bマーケティング初心者チームがAdobe Marketo Engageを使いながら、売上貢献を実現したストーリーが語られました。大量のリード情報から半年をかけて、官公庁のターゲットリストを整備した話や新規ユーザーの流入経路を確保して、蓄積したリードを活用したマーケティング施策が紹介されました。最後に、獲得したリードを営業に活用してもらうための デジマ市民権獲得 に向けた工夫の紹介があり、その後のユーザー同士のディスカッションが大いに盛り上がる内容となりました。
コクヨ様の事例発表
オリックス野球クラブ様が紹介したのは、ファン育成とCVアップのためのファンマーケティングについて。人気球団と差別化を図ったファン育成のためのコンテンツ提供やエンゲージメントアップ施策、無料会員から有料会員になってもらうための施策のほか、効果測定の方法なども紹介されました。ファンデータの一元化と拡充、多岐にわたる球団コンテンツの活用、嗜好に合わせたファン育成のための全社統合のマーケティングなどの成功体験は、今後、B2Bにも活かしていくということです。
オリックス野球クラブ様の事例発表
ユーザー総会のテーマは「つながる」
今回のユーザー総会の共通テーマは「つながる」です。これは、参加者に今回のイベントを通して悩みや成功体験を共有してもらい、イベントをきっかけに今後も交流を深めてほしいという願いが込められています。そのため、参加者はランダムに4~6名程度のチームに分けられ、テーマに沿ってディカッションする時間が設けられました。名刺交換や自己紹介からスタートし、ディスカッションではそれぞれの担当者が抱える課題やこれまで行ったマーケティング施策などを話し合い、情報交換を行いました。
ディスカッションの様子
各イベントの最後にはユーザー同士が自由に意見交換を行うネットワーキングを開催
Adobe Analytics User Group Day
2日目の7月14日の午前中には、「Adobe Analytics」のユーザー総会「Adobe Analytics User Group Day」が開催され、約70名の参加がありました。オープニングでは、パナソニック コネクト株式会社 デザイン&マーケティング本部 デジタルカスタマーエクスペリエンス統括部 IT・デジタル本部CX総括(兼) モバイルソリューション事業部 マーケティング部 統括部長の関口昭如氏が 「情報交換を行ってナレッジを高めてほしい。異なる業界の人と話すと気づきが大きい」 と挨拶。
Analytics User Group Dayのユーザー事例としては、ソニー損害保険様の「コミュニケーションの正解はお客様が教えてくれる - 顧客の行動データから『本来あるべき接客』をオンラインで実現するアプローチ方法とは?」が発表されました。
ソニー損害保険様では、サイト利用イメージの仮説を立て、その仮説に基づいて契約に結びつけるためのサイト設計を行い、コンテンツを提供していましたが、Adobe AnalyticsやAdobe Targetの分析により、実際は仮説と異なるサイト回遊を行われていることが判明。Factに基づくサイト改善を行い、CV率向上を実現。そのプロセスが説明されました。また、セグメント別にCVの高いコンテンツを出し分ける施策も紹介されました。
ソニー損害保険様の事例発表
Adobe Experience Manager User Group Day
今回、ユーザー総会として初めてのイベント開催となるAdobe Experience Manager User Group Dayは、7月14日の午後にスタート。ユーザー代表として株式会社マクニカ マーケティング統括部 統括部長の堀野史郎氏は 「悩んでいること、上手くいっていることを共有して、このイベントをみんながつながるきっかけにしてほしい」 と挨拶しました。
Adobe Experience Managerのプロダクトアップデートの説明では、アドビ デジタルエクスペリエンス事業本部 ソリューションコンサルティング部 ソリューションコンサルタント野口祐成が「NEW UI for DAM」、検索機能の拡張、「Metadata Management」の拡張、3Dコンテンツの管理の強化のほか、「Adobe Sensei GenAI」や「Adobe Firefly」が搭載されることによるメリットについても触れられました。
続く事例紹介では、マクニカ様の「グローバルにおけるブランド・ガバナンス強化活動」と花王様の「デジタルアセット管理が支えるCX -顧客接点を強化する、『マスター情報』としてのDAM活用」の2つの発表がありました。
マクニカ様は世界23カ国、81拠点で事業を展開していますが、グローバルサイトのリニューアルにあたり、Adobe Experience Managerを導入して、統一されたブランドの提供、分散運営されていたウェブサイトのインフラ・運用システムの統合、セキュリティ・ガバナンスの強化を実現するためのプロジェクトを現在推進中。事例では、プロジェクトにおける課題抽出やそれを解決するためのアクションをどのように実施しているかが説明されました。
マクニカ様の事例発表
一方の花王様は、社内様々なところに分散していた商品画像、動画、過去画像、ロゴなどのデジタルアセットをAdobe Experience Manager Assetsを活用し集約を実現。商品カタログや自社のECサイトで活用している事例を紹介しました。
デジタルアセットは商品情報などの各種マスターと紐づき、関連情報を一括で取得できるようになっています。この仕組みを活用し、Web商品カタログサイトの制作工数が大幅に短縮され、これまで1カ月半かかっていたものが、最短で即日ページ公開が可能になったということです。
商品カタログは、CMSに情報を入力することで自動作成され、顧客は、このカタログを参照することで、詳細な商品情報を参照できるほか、スマホの位置情報を活用し、自宅近くで商品を販売している店舗を検索できるようになっています。このように顧客の検索データなどを分析し、今後のマーケティングに最大限活用していくということです。
花王様の事例は多くの企業が真似をしたい先進事例で、参加者も注目していました。
花王様の事例発表
イベントアクティビティ01_プロのフォトグラファーによるビジネスポートレート撮影
イベント会場には、広告写真などで活躍されているプロのフォトグラファー鈴木心氏(鈴木心写真館: http://ps.suzukishin.jp/ )によるビジネスポートレート用写真の撮影コーナーが設けられました。巧みな話術で思わず笑顔になり、わずか1分で撮影終了。写真は、その場でデータでお渡し。2日間で、約300名程が参加されました。
海外のトレードショーなどでは、人気のアクティビティとして長蛇の列になるとのこと。今回、日本では初の試みでしたが、一時期、整理券を配布する程の人気でした。
本格的な照明機材を使ったビジネスポートレート用写真の特設スタジオ
イベントアクティビティ02_「マーケターあるある」を会場で募集
アドビは、クリエイターが文章や画像、音声、動画を投稿して、ユーザーがそのコンテンツを楽しんで応援できるメディアプラットフォーム「note」上で、「エンゲージメント」をテーマに、マーケティング担当者をはじめとしたビジネスパーソンに向けて、新たな学びや気づきを得られる記事を発信する「みんなのデジタルエンゲージ」を今年の3月から始めています。イベント会場では、ここに掲載するコンテンツとして、「マーケターあるある」の募集が行われました。付箋に書いて、掲示版に張り付けるスタイルでしたが、「ツールを入れただけで満足している」「カタカナ用語を多用している」「MAがメール配信ツールになっている」「入力フォームで名寄せを考えて正式名称を書いてしまう」など、数多くの投稿がありました。
「マーケターあるある」を付箋に書いて自由に投稿