Adobe Analyticsのレポート機能を使いこなすためのヒント
Adobe Analyticsを利用しているアナリストなら、ビジネスをリアルタイムに把握できるマーケティング分析やレポート作成、セグメンテーションなどのツールに慣れていることだろう。今回は、そうしたツールを最大限に活用していただくために、レポート作成やセグメンテーションで直面しやすい問題と、その解決方法に関するヒントをいくつかご紹介したい。
もくじ
- カーディナリティの問題
- 解決法:これには、2つの解決方法がある。
- シングルページアプリケーション(SPA)の問題
- 訪問者をつなぎ合わせてセグメントを構築
- シーケンスセグメント
- 除外セグメントが有効
- セグメントコンテナのご紹介
カーディナリティの問題
ユーザーの声でよく聞かれる問題のひとつに、Unique Exceededがある。これは、1ヶ月に上位50万行しか表示されないという問題であり、ページURLなどの特定のディメンションにおけるカーディナリティが極めて高い場合に発生する。
次のスクリーンショットに示されるように、Analyticsでは「Low Traffic」という結果が表示される。これは、ページURLを使用しているセグメントでは、正確な結果が表示されないことを意味している。その原因は、UIで表示できる値が、上位50万件までに制限されているためだ。
解決法:これには、2つの解決方法がある。
- カーディナリティが低いディメンションを追加:実装の際に、URLのコンビネーション向けにユニークなページ名やサブセクションを定義しておき、別の変数のクエリ文字列をキャプチャして、URLをクリーンに維持する。基本的に、カーディナリティの低い代替ディメンションに着目するという形になる。
- DataWarehouseを利用:下に示すDataWarehouseなら、50万行以上をエクスポート可能だ。すなわち、行をいくつでも好きなだけエクスポートし、オフラインでデータをフィルタリングできる。
シングルページアプリケーション(SPA)の問題
AJAXを使用してSPAを構築している場合、UIのエクスペリエンスを変更してもページが更新されないことがある。このようなエクスペリエンスでは、多くの場合、ページがリロードされないときに「疑似」ページを表示するように設定できるコールバック関数を使用している。
問題:ある企業で、「cmpid」というURLクエリのパラメーターが提示された場合に、どれくらいのユーザーがSPAによる更新を体験するか確認することになった。そこで、このクエリの文字列に紐付けられたAnalyticsのイベントにデータを入力したところ、このランディングページの実際のページビューを超える、多数のインスタンスが観察された。
SPAのURL(緑色で表示)が変更されても、AnalyticsのURL(赤色で表示)が更新されなかったのだ。AnalyticsのURLは、クエリ文字列が提示されているかどうかの評価に使用されるため、「cmpid」が提示されなくなっても、イベントのインスタンスは増加し続けていたのである。
解決策:s.pageURL(Analytics URL変数)をJavaScriptを使用したdocument.URLでオーバーライドし、Analytics URLを更新する。これにより、「cmpid」にデータを追加した際も、イベントを明確に追跡できるようになる。
訪問者をつなぎ合わせてセグメントを構築
企業のための一般的なユースケースとして、モバイルアプリやモバイルwebをまたいで訪問者をつなぎ合わせる手法がある。その主な狙いは、モバイルアプリからモバイルwebに移動してくる訪問者によってダウンストリームのイベントを発生させることだ。
例えば、ネイティブアプリに組み込まれるコンバージョンファネルには、ネイティブアプリの画面だけでなく、web用のHTMLやAMP(Accelerated Mobile Page)が混在している。
その容易な解決策は、一意の変数を定義してモバイルアプリとモバイルwebを区別し、次のスクリーンショットに見られるように、それをセグメントで使用することだ。
シーケンスセグメント
シーケンスセグメントのコンセプトをよりよく理解していただくために、最近見られたユースケースをご紹介する。
質問:「About Us」のページに2分以上留まった後、「ホームページへ移動する」のリンクをクリックする顧客がどれくらいるか調べたい。
回答:これは、次のスクリーンショットで表示するような、シンプルなシーケンスセグメントで実行できる。
シーケンスセグメントについて詳しくは、こちらをご覧ください。
除外セグメントが有効
除外セグメントは、特定のディメンションやイベントに紐付けられたユーザーを排除するためによく利用される。これを「逆(inverse)」セグメントを作成するオプションとして使用し、結果をテストすることも可能だ。
以下のシンプルな例は、ページ滞在時間が15秒未満の訪問者を除外するために、除外セグメントを使用している。
セグメントコンテナのご紹介
最後に、シンプルだがわかりにくく、アナリストをよく困らせている「セグメントコンテナ」という概念をご紹介する。いわゆる、訪問、訪問者、ヒットなどの様々なセグメントコンテナの違いとその使用条件についてだ。
次に示すスクリーンショットは、各コンテナがその基礎となるデータにどのように影響するかを示している。
ヒットコンテナ:ヒットコンテナを適用すると、データが実際のヒットレベルに限定されるため、ページビューとインスタンスが最も少なくなる。このコンテナを機能させるには、画像リクエストによって変数を設定する必要がある。これにより、ページビューやインスタンスの最小数が表示される。
ユースケース:特定の時間帯や検索用語の正確なページビューや、正確な動画再生回数を確認したい場合など、特定のディメンションやイベントに関する最も正確な結果を得たい場合に適用する。ヒットレベルセグメントを使用して、バーチャルレポートスイートを作成することも可能だ。
訪問コンテナ:訪問コンテナは、30分間の空白やタイムアウトを生じさせずに何かが発生する訪問のデータを示す。このコンテナでは、ヒットコンテナより多く、訪問コンテナより少ないページビューやインスタンスが表示される。
ユースケース:直帰率など、1回の訪問内で起きる顧客行動を分析したい場合に、ホームページやランディングページ、またはマーケティングキャンペーンに紐付けられた訪問にあるコールトゥアクションなどをクリックする。
訪問者コンテナ:訪問者コンテナは、訪問者クッキーに紐付けられたデータ(一般的には2年間分)のほか、訪問者の生涯ページビューやインスタンスを表示する。訪問者コンテナのスコープは3つのコンテナの中で最も広く、最も多くのページビューやインスタンスが表示される。
ユースケース:あらゆる訪問者をまたいで獲得した売上の合計や、モバイルアプリからモバイルwebへ移動した訪問者数などを知りたい場合に利用する。
今回、ご紹介するヒントは以上である。これにより、詳細な調査を必要とする状況や、予期しない遅延につながりかねない状況を事前に把握するなど、ユーザーのお役に立てていただければ幸いだ。
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