第8回Adobe Analyticsユーザー会2024セッションレポート:『dipから見たAdobe Analyticsと他社製品の違い』 (ディップ株式会社)

通算で第8回目となるAdobe Analytics ユーザー会が、8月30日にアドビ大崎オフィスにて開催されました。当日はおよそ20名が集い、ディップ株式会社の山下氏による活用事例紹介セッションや、ユーザー同士でのディスカッションなどを通して、活発な意見交換が行われました。本記事ではセッションレポートとして、山下氏によるセッション『dipから見たAdobe Analyticsと他社製品の違い』の模様をお届けいたします。

スピーカー:

ディップ株式会社

商品開発本部 / メディアプロデュース統括部 / 統括部長

山下 ロルミス 氏

dipについて

ディップ株式会社(以下dip) は、「Labor force solution company」というビジョンのもと、日本最大級のアルバイト・パート求人サイト『バイトル』をはじめとした人材サービスや、『コボット』などのDXサービスの提供を通して、労働市場における諸課題の解決を目指しています。山下氏は2014年にdipに入社され、現在は『バイトル』のプロダクト責任者を務められています。

セッションテーマ:Adobe Analyticsと他社製品との比較

今回のセッションでは、上場企業の約8割が導入済みとされている他社製品A (以下「他社製品」) に対してAdobe Analyticsがどのような違いや優位性を持っているのかについて、普段から実際に製品をご利用されているユーザーならではの目線から、以下5つの観点でお話しくださいました。

1. 細かい計測が可能

2. マーチャンダイジングが優秀

3. Adobe Targetとの連携が楽で便利

4. インポート機能が充実

5. 外部連携 (特に広告周り) は伸びしろ

1. Adobe Analyticsでは細かい計測が可能

例えばページトラッキングをする際、Adobe Analytics には1トラッキング内におけるパラメータ数の制限は特に設けられていないため、制限のある他社製品と比較して、より細かいトラッキングを行うことができます。またパラメータの長さやカスタムディメンションの個数に関しても、他社製品と比較してAdobe Analyticsの方が制限の幅が大きく、より柔軟な分析を実現可能です。

実際にdipの場合、アルバイト・パート求人サイト『バイトル』の検索結果一覧ページにおいて、様々な検索軸の細かなトラッキングをAdobe Analyticsで実施されているのですが、1トラッキングにおける情報量が非常に多いため、1トラッキング内の上限がある他社製品では実現が難しいそうです。

2.マーチャンダイジングが優秀

コンバージョンに対してどの経路がどのように貢献したのか、ということを分析する際に便利な『マーチャンダイジング変数』ですが、こちらもAdobe Analyticsと他社製品を比較した際に、Adobe Analyticsが優位性を持つポイントの一つです。

例えばECサイトでの上図のようなケースにおいて、コンバージョン (購入) へ貢献した検索キーワードをマーチャンダイジング変数なしで分析した場合、コンバージョン (購入) への貢献度の評価はラストタッチ評価となります。そのため、すべての評価が「winter coat」という検索キーワードに寄ってしまい、本来ゴーグル購入に対しての貢献度を評価されるべき「goggles」という検索キーワードは評価されません。一方、マーチャンダイジング変数ありで分析をした場合は、どの状態でどのように購入されたのかを購入アイテムごとに判定することができるため、ゴーグル購入への評価は「goggles」に、ダウン購入への評価は「winter coat」にそれぞれされます。

このように、コンバージョンへの貢献をより正確に評価 / 分析したい場合に非常に便利なマーチャンダイジング変数ですが、他社製品には同様の変数がデフォルトでは存在しません。dipでは、ユーザーが『バイトル』Webサイト内のどこを見て求人を認知したのか (ファーストタッチ) 、そして最終的に応募の決め手となったのはどこなのか (ラストタッチ)などを、マーチャンダイジング変数を活用して計測しており(※あくまで一例)、この変数をデフォルトで使用できるAdobe Analyticsの優位性をここでも実際に感じるそうです。

3.Adobe Targetとの連携が楽で便利

Adobe Targetを使って施策を実施している場合、連携ツールとしてはもちろん他社製品よりもAdobe Analyticsに大きな優位性があります。例えば、Adobe Targetで実施した施策に該当したユーザーセグメントはAdobe Analyticsに自動で連携されるため、両製品間で共通の数値に基づいて、施策の結果をAdobe Analytics上で詳細に分析することができます (※A4Tを利用の場合) 。

このような連携は、Adobe製品間だからこそ可能なものであり、他社製品では中々実現することが困難です。実際にdipでは、Adobe Analytics / Adobe Target導入以前は他社製品を使用していたものの、テストツールと分析ツールでそれぞれ出てくる数値が異なることが多く、結果の判断に迷って時間がかかってしまうことがよくあったそうです。しかし導入後は施策から分析までを一気通貫で行えるようになった結果、判断もよりスムーズになり、全体のスピード感も上がったと言います。

またその他にも、両製品間での連携が容易であるというメリットを活かし、Adobe Analyticsにインポートした求人案件情報をAdobe Targetにそのまま連携させる、ということも過去にdipでは行っており、Adobe Targetでレコメンデーション施策を実施する際にその情報を突合させて使用することにより、施策にかかる工数をかなり削減する事ができたそうです。

4.インポート機能が充実

他社製品と比較して、データのインポート機能の充実性という点においてもAdobe Analyticsは優位性を持っています。充実性の例として、『分類インポーター』という機能が挙げられます。

※分類インポーターについては、こちらをご参照ください

dipでも分類インポーターを実際に活用して、様々なことを行っています。例えば計測した求人情報のデータに数字などのコードが入っていて、それぞれのデータがどの求人を表しているのかわからず、ワークスペース上で分析がしづらいようなケースでは、それらのデータを全て日本語表記にしたマスターデータを、分類インポーターを使って追加しています。また他にも、それぞれの求人情報のデータに対して追加の情報を付与するための詳細データをインポートするなど、分類インポーターを最大限活用することにより、基本的にはAdobe Analyticsのワークスペース上で分析が完結するような体制を整えているそうです。

5.外部連携 (特に広告周り) は伸びしろ

ここまでの4つはいずれも、現時点で既にAdobe Analyticsが他社製品に対して持っている優位性についての話でしたが、全てにおいて必ずしもAdobe Analyticsが優位というわけではありません。特に外部連携、とりわけ広告連携に関しては、他社製品の方が優位性を持っています。例えば他社製品の場合、広告成果の分析が可能であったり、その分析結果から得た情報をリマーケティング広告の強化につなげることができるなど、広告連携に関するメリットを多く持っています。

しかし、先ほど例に挙げた「広告成果の分析」や「リマーケティング広告の強化」について、dipでは工夫と手間を加えることにより、Adobe Analyticsにおいても実現しています。

まず、それぞれの広告流入がどの広告からの流入なのかをわかるように実装したうえで、そのデータ(広告IDなど) やメールアドレスなどのユーザー情報を(個人情報ではない状態にするために) ハッシュ化し、Adobe Analyticsへ送信します。そしてそれらの情報を持つユーザーを、行動履歴を基にAdobe Analytics上でセグメント化し、それを広告キーとしてdipの自社サーバーへ一旦エクスポートした後、そこからデータを各広告媒体へ連携してリターゲティングに使用しているそうです。なおこの方法で行ったリターゲティングの結果、媒体によって差はあるものの、数値として最大で241%の改善効果を得ることができたのだそうです。

≪Adobe Analyticsユーザーグループについて≫

Adobe Analyticsユーザーグループ(AA UG)は、日本国内のAdobe Analytics、Adobe TargetおよびData Insightsに関連する製品のユーザーコミュニティです。 ユーザー同士のベストプラクティスの共有、問題解決、ネットワークの構築を行うことで、製品の知識や活用を高めましょう。各回では業界のリーダーであるユーザーの方々が集い、様々なトピックを取り上げ、専門知識を共有されています。

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