3つのパターンから始めるB2Bマーケティング成功への近道
コロナ禍をきっかけに、非対面の営業やデジタルチャネルを通じた顧客とのコミュニケーションが加速したB2Bビジネス。B2Bマーケティングの強化に取り組む企業が増える中、ツールの導入や個別の施策ばかりに目を奪われて、本質的な成功に辿り着けないとお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、『マーケター1年目の教科書』の著者であるブランディングテクノロジー株式会社 黒澤友貴氏をお迎えしたウェビナー「成功パターンに学ぶB2Bマーケティングのはじめ方」から、B2Bマーケティングを成功に導く方法をお届けします。
目次
- 3つの成功パターンでB2Bマーケティングの土台は固まる
- 成功パターン1. B2Bマーケティング 戦略を言語化する
- 成功パターン2.目標設定:KGI/KPI/KSF/KAIを策定する
- 成功パターン3.調査:顧客にインタビューをする
3つの成功パターンでB2Bマーケティングの土台は固まる
B2Bマーケティングを始めるとき、まず頭に入れておきたいのは、「マーケティングには成果を出すために押さえるべき行動パターンが存在する」ということです。この行動パターンを知っているか否かによって、成果の上がり方が大きく変わってきます。この記事では、『マーケター1年目の教科書』で挙げている50個のB2Bマーケティング成功パターンから、以下の3つの成功パターンをご紹介します。
- B2Bマーケティング戦略を言語化する
- 目標設定:KGI/KPI/KSFを策定する
- 調査:顧客にインタビューをする
では、ひとつずつ見ていきましょう。
成功パターン1. B2Bマーケティング 戦略を言語化する
B2Bマーケティングを始めるとき、最初にやるべきは、自社のマーケティング戦略を言語化することです。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、きちんと戦略を持ち、経営層や関連部署と共通認識を持っておくことは、とても重要です。ここをサボってはいけません。
例えば、同社ではマーケティング戦略を社内で共有するため、以下のようなシートを用いています。
マーケティング戦略を言語化するシート:ブランディングテクノロジーの場合
誰でも頭の中には、戦略イメージがあるはずです。そこで最初に取り組むべきことは、イメージをきちんと言語化し、関係者と共有することです。これにより、マーケティング組織の役割が明確になります。
その上で「どのカテゴリーでNo.1になるか」、つまり、どの市場カテゴリーで第一想起される存在になるか、を考えてきます。一例として同社では、「ローカルビジネス(地域事業者)の、医療/工務店/不動産業界向けマーケティングノウハウ」の領域で第一想起の獲得を狙っています。
そのためにどんなコンテンツを用意すれば良いのでしょうか。B2Bの無形商材でブランドイメージを獲得するには、次の3つの要素を押さえながら、上から順にコンテンツを作っていくと良いでしょう。
B2Bビジネスが信頼を獲得する3要素と優先順位:ブランディングテクノロジーの場合
MAツールを導入し、B2Bマーケティング施策を実施していくと、ナーチャリングのためのコンテンツ不足に陥りがちです。そこでまず、こうしたコンテンツを用意しておけば、コンテンツ不足による失敗を防げるようになります。
成功パターン2.目標設定:KGI/KPI/KSF/KAIを策定する
マーケティング戦略を言語化することができたら、次にやるべきことは目標設定です。KGI/KPI/KSF/KAIを具体的に設定していきます。目標を明確にしておかなければ、他部署から見たときにマーケティング組織が何をしているのかが理解されず、「いろいろ工数や予算を使って動いているけれど、まったく経営目標に貢献していないのではないか」といった疑義を持たれることになりかねません。
KGI/KPI/KSF/KAIとは何なのか、それぞれの関係性とともに、同社の指標例をまとめます。
B2Bマーケティングを成功させるために、①指標(KGI/KPI)②重要成功要因(KSF)③行動(KAI)の3つをセットで考えると、効果測定と改善の精度が高まります。経営層や関連部署には、これらの進捗を報告して、共通認識を持てるようにしましょう。
KGI/KPI/KSF/KAIの整備が終わったら、次に、マーケター個人のミッションを具体化し、目標管理制度に組み込んでいきます。具体的には、例えば以下のような行動指標と結果指標を設定していきましょう。
さらに、経営層や関係部署に報告するためのダッシュボードを構築うちし、週次や月次の会議体を設定する、というところまで、組織としての動き方を連動させていきます。
繰り返しになりますが、目標設定をする中で大切なのは、「マーケティング組織がどんな役割を担い、経営に貢献するためにどんな指標を目標にして動いていくのか」を体系的にまとめていくことです。
成功パターン3.調査:顧客にインタビューをする
3つめの成功パターンは、顧客像を理解するための調査です。顧客像を調査する手法として、ここではインタビューを取り上げます。
マーケティング組織の立ち上げ期や、マーケティングを強化していこうというときに、「誰にインタビューすればいいのか」と悩まれる方も多いかと思います。そのようなときにオススメなのは、「まず営業にインタビューをしてみること」です。営業の方は、顧客理解の解像度が高いのはもちろんのこと、実際に顧客の態度変容を起こしているプロだからです。
あるいは、営業に同行する、オンライン商談の録画データを見る、営業のロープレを実際に体験させてもらう、などのアクションも有効でしょう。そうした中から、成果を出している営業の「1日の時間の使い方」「営業トーク」「商談から受注までのシナリオ」「提案資料」「メールの文面」「電話のトークスクリプト」を把握することができます。
こうして営業の勝ちパターンを知ることで、マーケティング施策として制作するコンテンツとして、「どこをポイントとして訴求すれば良いのか」のヒントが得られます。顧客のニーズは変化しますから、営業インタビューは一度やったらおしまいではなく、ぜひルーティンに組み込んでください。
次は、いよいよ顧客にインタビューをしていきましょう。中でもロイヤルカスタマーから順に、つまり、自社に対するエンゲージメントが最も高い顧客からインタビューをしていくのがオススメです。自社の製品やサービスに満足していて、モデルケースになるような理想的な顧客のインタビューをすることで、「なぜこの顧客は満足してくれているのか」というインサイトを引き出します。こうしたインサイトは、事例コンテンツにも反映させましょう。
ここで、いきなり市場調査として未認知顧客へのインタビューから始めてしまうと、トピックが発散してしまうかもしれません。その結果、自社の製品やサービスとはかけ離れたコンテンツや、独自性のない内容の薄いコンテンツを作ってしまう、といったことに陥りやすいため、注意が必要です。
そしてもうひとつ、営業と顧客の次にインタビューをすべき相手は、有識者です。同社の場合には「ビザスク」のスポットコンサルを活用して、毎月、有識者インタビューを行なっています。
有識者インタビューを行う目的は、コンテンツの質を高めるためです。ターゲットの業界内で求められている物事や、自分たちの持っていなかった知見など、有識者インタビューを通じて得た情報をコンテンツに反映させることで、顧客にとって、より有益なコンテンツを届けられるようになります。
同社自身の取り組みでは、これらのインタビュー結果を、以下のようなシンプルなカスタマージャーニーマップに落とし込みながら、コンテンツ作りに活かしています。
インタビューとカスタマージャーニーマップ化
営業、ロイヤルカスタマー、有識者のそれぞれ3人ずつにインタビューできれば、必ず何かしらの打ち手は見えてくるはずでしょう。同社の場合、毎月最低5人はインタビューを行っています。B2Bマーケティングで大切なのは、大げさな1度の市場調査よりも、定期的に実施する個別のインタビューなのです。
B2Bマーケティングを始めるとき、この3つの成功パターンをしっかりと押さえるだけで、B2Bマーケティングの土台はある程度、整えられるでしょう。ぜひ参考にしてください。
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