Adobe Digital Price Index:2022年7 月、Eコマースは2年以上ぶりにデフレに突入

Adobe Analyticsで分析した、米国における最新のAdobe Digital Price Index(DPI)を紹介します。

全体的な傾向

2022年7月のオンライン価格は前年同月比で1 %減、前月比では2%減となり、25か月継続したオンラインインフレから転じてEコマースがデフレに突入した月となりました。また、DPIで調査しているカテゴリーのほとんど(18カテゴリー中14カテゴリー)が、前月比で価格低下を示しています。

一方、7月のオンライン消費額は6月(741億ドル)より4億ドル減の737億ドルでしたが、この月に実施されたAmazon Prime Dayの影響で、小売業界全体のオンライン売上高は過去最高を記録し、7月のEコマース消費額は前年同月比20.9%増でした。一方で、2022年4月(778億ドル)、5月(788億ドル)と比較すると、7月のオンライン消費額は減少しています。とはいえ、今年の消費者のオンライン支出のこれまでの累計を見ると、Eコマース需要は引き続き底堅く、前年同期比9.2%増の5,254億ドルでした。

カテゴリー別分析

2022年7月時点でDPIで調査している18カテゴリーのうち、11カテゴリーで前年同月比の価格が上昇しており、中でも食料品が突出した上昇率を示しています。一方で、エレクトロニクス、宝飾品、書籍、玩具、コンピュータ、スポーツ用品、アパレルの7カテゴリーでは値下がりが見られました。

注目の商品カテゴリー

エレクトロニクス の価格は前年同期比9.3%減(前月比2%減)となり、2015年から2019年にかけて電子機器価格が平均で前年同期比9.1%減となったパンデミック前の水準に戻りました。エレクトロニクスはEコマースにおける最大のカテゴリーであるため、その価格変動は全体のインフレ率に大きく影響します。

アパレル の価格は前年同月比で1%減でしたが、前月比ベースでは顕著に下落(前月比6.3%減)しました。6月には前年同月比0.1%減の軽微な低下がありましたが、7月になってその傾向が初めてはっきりと示されています。これは14か月連続での価格上昇を覆すもので、想定された大幅割引セール期間の価格変動とは異なるパターンを示しています。

食料品 は価格高騰が続き、前年同月比13.4%増(前月比1.4%増)と、他のカテゴリーを上回る値上げ幅となりました。4月の前年同月比10.3%増、5月の同11.7%増、6月の同12.4%増に続き、過去最高記録を更新中です。食料品のオンライン価格は2022年7月時点で30か月連続の上昇を記録し、長期にわたりConsumer price index(CPI)と連動している唯一のカテゴリーとなっています。

調査方法:DPIは、米国労働統計局が発表している消費者物価指数をモデルとしており、オンライン価格の追跡にはFisher Ideal Price Index(フィッシャー理想物価指数)を使用しています。

アドビは、Adobe Analyticsを使ったこの調査を実施するにあたり、AI/機械学習フレームワーク「Adobe Sensei」と手作業を組み合わせ、CPI Manual(消費者物価指数マニュアル)で定義されたカテゴリーに準拠して商品分類をおこなっています。

※本記事は、2022年8月9日に米国本社から発表されたプレスリリースの抄訳です。