Webサイトのリニューアルに アドビのソリューションをフル活用

カシオ計算機株式会社

株式会社電通デジタル

創業

1957

従業員数:(単体)2,577

(連結)10,152名

(2022年3 月現在)
www.casio.co.jp

2.3→2.8

アメリカでの製品ページ閲覧数の平均が増加

1.4倍

ECサイトでカート内の商品が購入される割合

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課題

・ユーザーファーストの観点でWebサイトを全面再構築し、デジタル上で魅力的な顧客体験を創り出したい

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成果

・UI、UXを重視したサイト構成でカート内の購入決済が約1.4倍増加

・サイト構造の改善や各種施策で製品ページ閲覧数の向上

・コンテンツの一元管理による同一サイトの多言語展開を実現

・3Dによりリアルに再現することで、サイト上で最上のカスタマイズ体験を提供


「顧客体験を最重視するアドビさんとの共通スタンスで、

世界中のWebサイトをたった10カ月間で刷新しました」

 

 

 執行役員 デジタル統轄部長

 

石附 洋徳


創業以来、市場に新たな価値を提供し続けてきたカシオ計算機株式会社は、デジタル化が進む状況を受け、製品力のみに頼らない新たなマーケティングの取り組みを開始している。アドビをパートナーとして推進したWeb サイトの全面刷新は、大きな課題であった製品情報ページ閲覧数やECサイトの売上拡大につながっている。2021年にスタートした『G-SHOCK』のカスタマイズサービスは、若者や女性などの新規顧客獲得に大きな役割を果たしている。

ユーザーファーストの観点で大規模なWeb サイトの刷新に取り組む

カシオ計算機株式会社は、世界初となる小型純電気式計算機を手始めとして、これまで多くの独創的な商品をマーケットに送り出してきた。その強みはゼロから1 生み出すことにあり、今日、世界で広く愛される時計ブランド『G-SHOCK』は、まさにこうした同社の強みから生まれた商品だ。

 

当時時計は壊れやすい精密機器だったが、開発者の“落としても壊れない時計を作りたい” いう思いから開発がスタート。ウレタンでケース全面をカバーしながら心臓部であるモジュールを点で支える中空構造が開発され、初代モデル『DW-5000C』が1983年にリリースされた。

 

『G-SHOCK』に最初に注目したのは、ヘビーデューティーな価値観を重視するアメリカ市場だった。過酷な現場に出動する消防士やスケートボーダーから始まり、ファッションとしても広く受け入れられていった。1990 年代には日本でも人気が上昇。そこからの『G-SHOCK』ブームは、今日40代以上の多くの方が知る通りである。2017年には『G-SHOCK』シリーズは世界累計出荷数が1 億個を突破した。

 

新たな価値を提案することで新市場を開拓してきた同社の地域別売上高は国外市場が7、8割を占め、グローバル企業として確立した同社が近年新たな課題として直面したのは、これまでの製品力を中軸としたマーケティングが成り立ちにくくなっているという現実だった。執行役員 デジタル統轄部長の石附 洋徳氏はこう説明する。

 

「理系学生が必ず手にする関数電卓から老若男女が音楽を手軽に楽しめる電子楽器に至る多様な製品をラインナップするとともに、『G-SHOCK』のような個性的なブランドを有する当社の第一の強みが製品力であることは間違いありません。しかし、デジタル化が進み、情報が世の中にあふれる現代においては、製品としての強みが消費者に届きにくくなっていることは否めません。こうした状況を受け、製品を使う人にフォーカスし、どんな体験が提供できるのかという新たな観点へシフトし始めました」

 

その一環として同社が取り組んだのが、Webサイトの全面的な見直しだった。

 

「以前からユーザーファーストの重要性を唱えてきた社長から、Web サイトの課題を指摘されていたこともあり、カシオのDX 第一弾としてWeb サイトの見直しを進めることになりました。当時のWeb サイトは、メーカーとしての意図に基づき階層化され、サイト訪問者が必要な情報に到達するには、複雑な階層をドリルダウンする必要があり、すぐにユーザーが目的の情報に到達するのは難しい構造になっていました」

 

また、ユーザーとのつながりの希薄さも従前サイトの課題の一つだった。

 

「これまで『G-SHOCK』シリーズのユーザー情報をしっかりと掴んでいませんでした。そこで、今回のWeb サイトの再構築では、製品購入時のユーザー登録や、ファーストパーティクッキーによるユーザー行動の把握を通し、ユーザーの行動を深く理解できる仕組みを目指しました」

アドビコンサルティングチームによるグローバル展開の省力化を高く評価

同社がWebサイト再構築をするうえで直面していた課題が、グローバルにおけるコンテンツの弱さだった。電子製品はスペック情報が大きな意味を持つが、他言語に置き換わることによって本来必要なはずの情報が抜け落ちることが珍しくなかったという。

 

「もちろん日本語サイトでは必要な情報は網羅できているのですが、以前はサイト管理が各地域に任されていたこともあり、グローバルに目を向けると、製品ページの情報が日本語サイトと比べて見劣りすることもありました。また、製品の使い方や、ライフスタイルとからめた提案などのコンテンツの見せ方も課題の一つでした。その背後には、企業サイト、ブランドサイト、EC サイトが個別に存在し、ブランド・製品のコンテンツが点在しているという構造上の課題も関係していました」

 

石附氏がベンダー各社と対話を重ねる中で出会ったのが、Adobe Experience Cloudの製品群だった。

 

「階層構造の解消は、サイト構成を見直すことで対応が可能ですが、ユーザーへの最適なコンテンツ提供を実現するためには新たな仕組みが必要でした。Adobe Experience Cloud 提供するAdobe Experience Manager DAM(デジタルアセット管理)とCMS(コンテンツ管理)を利用すればグローバルコンテンツの管理を一元化できると聞き、迷わず採用しました」

 

同社のWebサイト再構築はわずか10カ月という短期間で行われた。その理由を石附氏はこう説明する。

 

「Webサイトを再構築するため、関係部署やパートナー企業の要望や懸念を集約し、そのうえで最大公約数的な解決策を探るという一般的なプロセスでは、3年は掛かったのではないでしょうか。今回は、真っ先に顧客体験の最適化、体験価値の最大化を前提としたWebサイト全体の設計図を描いたうえで、それを現実に落とし込んでいくというプロセスをとりました。工期短縮化においては、こうした考え方自体の見直しが大きな成果につながったと考えています」

日本語サイトと同様グローバルサイトの製品情報も一元的に管理

質感の表現にこだわり抜いたカスタマイズサービスを実現

Web サイトの顧客体験の最適化を第一の目的とした新サイトの立ち上げは2021年3月。同社が次に取り組んだのは、Web サイトを通した新規顧客の獲得だった。その狙いを反映させたのが、パーツを組み合わせることで約190 万通りから『G-SHOCK』を作れるカスタマイズサービス『MY G-SHOCK』である。

 

「新規顧客獲得という目的のために、これまで腕時計との接点が希薄だった若者層や女性に着目し、彼らがWebサイトを訪れる体験自体が楽しめることを強く意識しました。こうした視点から発想したのが『MY G-SHOCK』です。このサービス開始以降、購入者だけでなく、新規ID登録者においても若い世代や女性が増加していることからも、目的は達成できたと考えています」

 

『MY G-SHOCK』裏側では、Adobe Experience Manager Assetsの独自機能であるダイナミックメディアや3DビジュアライゼーションツールAdobe Substance 3Dなどの製品が稼働している。

 

「腕時計のオーダーメード自体は目新しいものではなく、パーツを個別にオーダーできる仕組みがあれば実現できます。しかし、それでは新規顧客を獲得できる魅力的なサービスにはならないと考え、『MY G-SHOCK』では、実際にパーツを手に取り自由に組み合わせるような体験をデジタル上で実現することを目指しました。そのためには3D 前提になるので、質感を求めるレベルで表現できないならサービスの立ち上げ自体を見送る予定でしたが、一つのパーツを選ぶごとに全体画像が瞬時に入れ替わるダイナミックメディアと、パーツの質感を見事に再現するAdobe Substance 3D 表現力を体感して、これなら行けると確信しました」

 

『MY G-SHOCK』の実現には、Adobe Global Delivery Center(Adobe GDC)との連携も欠かせない要素であった。現在ではグローバルECサイトの構築も同チームの主導で行われているという。

 

「ガバナンスの徹底化とグローバル展開の両立を図るうえで、オフショアの活用も必要と考えていました。その第一弾としてAdobe GDC さんに参画いただいたのが『MY G-SHOCK』サイト構築でしたが、プロジェクトの中核ともいえる描画表現のクオリティには本当に感動しました。また限られた期間で予定通りローンチできたこともAdobe GDCさんのおかげです。その献身的な仕事にはとても感謝しています」

 

同社のWebサイト運用ではそのほか、コンテンツページとECサイトの連携を行うAdobe Commerce、ユーザー一人ひとりの行動に向き合い分析することを可能にするAdobe Analyticsそのデータに基づきパーソナライゼーションを最適化するAdobe Target などのアドビ製品が総合的に使われている。

Adobe Substance 3D などの活用により、一つのパーツを選ぶごとに全画像が瞬時に入れ替わり、パーツの質感も3D 忠実に再現できるようになった

アドビのソリューションで顧客体験を最適化

Adobe Experience CloudとAdobe Creative Cloud、そしてAdobe Substance 3Dを活用したWebサイト再構築の成果としてまず挙げられるのは、EC サイトの売上拡大だ。日本語サイトの場合、リニューアル移行後、前年と比べて大幅に売上が伸長しているという。

 

次に注目したいのが、同社が重要なKPIとして位置づける製品情報ページの閲覧数の向上である。直販ECにおいて最も大きな売上比率を占めるアメリカでは、リニューアル前にサイト訪問者が閲覧した製品情報ページ数が平均2.3 ページから2.8ページに向上した。

 

またユーザーが商品をカートに入れた後、実際に購入に至った割合の向上にも注目したい。カート内の商品が実際に購入決済される割合は、リニューアルによって約1.4倍に増えた。

 

「アドビさんと協力し、UI UX 観点からチェックアウトまでのフローをシンプル化したことで、サイト内行動が改善され、ユーザーが離脱しにくいサイトに再構築できました。また、全世界統一で製品の詳細情報を提供できたことも今回の売上拡大につながりました」

 

これらに加え、Adobe Substance 3Dによる製品の忠実な表現が、近年カシオが推進しているCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザインを叶えたことも今回の成果につながったと石附氏は語る。

さらなる新規顧客の獲得を目指して

石附氏が構想するWeb サイト進化の方向性は、大きく二つに分けられる。一つは、既存顧客にまっさきに来訪してもらえるサイト構築の推進。そしてもう一つが、ユーザー母数のさらなる拡大である。

 

「前者については、サイト内体験の一層の最適化とOne to Oneマーケティングの徹底が大きな意味を持つため、ワンプラットフォーム、ワンプロセス、ワンサクセスを合言葉にグローバルな取り組みを力強く推進していきたいと考えています。一方、後者については、ローカルマーケットの特徴に応じて考えていくべき課題になると捉えています」

 

また、石附氏は今回の成果につながった理由として、両社の企業文化の共通点を挙げる。

 

「モノでもWebサイトでもなく、顧客体験こそがすべてという考えに基づき、Webサイト改革に取り組む中で、同じように顧客体験を第一に置くアドビさんのスタンスには常に共感してきました。また、こちらが投げた難題に全力でチャレンジする姿勢には、何度も助けられました。カシオ計算機は、ユーザーにこれまでにない価値を提供し続けることで成長してきた会社です。出来ないといわれるからチャレンジする。こうした弊社の価値観がアドビさんとも共通していたからこそ、今回の効果につながったと思います」

 

※掲載された情報は、2022 年7月現在のものです。

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