「バイトル」「はたらこねっと」などを運営するディップ、高速な改善サイクルで様々なKPIを軒並み向上

ディップ株式会社

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創業

1997年

所在地:東京
www.dip-net.co.jp

117%

レコメンドの改善で応募率を向上

導入製品:

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課題

・分析ツールの機能の限界によって、思うような 計測、分析が行えなかった

・分析ツールとテストツールのデータ定義が異 なっており、テスト結果に矛盾が生じていた

・自分たちだけで新しいソリューションのスキルを完全に習得するのは困難

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効果

・Adobe Analyticsによって、様々な切り口での分 析と深掘りが可能に

・Adobe Analytics とAdobe Targetの同時利用で テスト結果の精度が高まった

・Adobe Professional Servicesを通じたコンサル タントのサポートで、スムーズにスキルを習得

働きたい人と労働力を求める企業を手助けするために

「バイトル」「バイトルNEXT」「はたらこねっと」「ナースではたらこ」など、求人広告サイトを中心とする人材サービス事業を展開するディップ。

「これらの事業において、私たちメディアプロデュース統括部が掲げるミッションは『働きたい人、そして、労働力を求めている企業を、日本で一番手助けすること』。特に求職者に対しては、仕事を通して、その人と、その人の周辺を幸せにするお手伝いをしたいと考えています」と同社の山下 ロルミス氏は話します。

また、最近は、少子高齢化に伴う人手不足などに対応するため、AIやRPAなど、テクノロジーを使って業務を自動化したり、生産性を高めたりするソリューションの提供にも着手。労働力の総合商社として、業容を拡大しています。このような事業を展開する中で、同社は求職者を深く理解してニーズを捉え、それをいかにサービスに反映するかに注力してきました。その一環として、まず行っているのがユーザーインタビューです。

「アンケートでは、いくら自由記入欄を設けても、得られる回答には限りがあります。実際に会って、仕事を探す時に優先する条件やwebサイトの使い勝手などをヒアリングし、サービス改善に役立てています」と山下氏は言います。

このインタビューと同時に行っているのが、ユーザーのwebサイト上の行動データの活用です。行動データを分析し、仮説を立てて、改善案を検討。A/Bテストを実施しながら、それを検証して、実際のサービスに実装する。このサイクルを継続的に繰り返しているのです。実際、バイトル、バイトルNEXT、はたらこねっとでは、1週間に1本以上のペースで、何らかの施策が実施されています。 しかし、以前は課題もありました。

「当時、利用していた計測ツールは、一定以上のデータが集まると自動的にサマライズされてしまい、生データによる分析が困難でした。また、集計値が頻繁に変わり、その誤差も大きいこともあり、信頼してもよいのかどうかがわからないこともありました」と山下氏は言います。

また、仮説検証に欠かせないA/Bテストにはまた別のベンダーのサービスを利用していたため、計測ツールとテストツールでデータの定義が異なり、加工の手間がかかる上、テスト結果に矛盾が生じることもあったといいます。

アドビのソリューションに統合することで正確なテストを行える

このような問題を解決するため、同社はツールのリプレースに向けた検討を開始。最終的にAdobe Analyticsと Adobe Targetの導入を決めました。

「まずAdobe Analyticsの豊富な機能を評価しました。例えば、Adobe Analyticsを利用すれば、ユーザーがどんなキーワードを選択して仕事を探しているかを簡単に把握することができます。以前は、これを手作業で集計していました。さらに、そのキーワードで検索を行っているユーザーが、次にどんな行動を取っているのかをドリルダウンしていくことも可能。点ではなく線で行動を追跡できるのです」

その上で、アドビのソリューションに環境を統一すれば、 以前あった矛盾を解消して、正確なテスト結果を得られると考えAdobe Targetの採用を決めました。

コンサルタントの力を借りて活用レベルを向上

新しく導入するアドビのソリューションを使いこなすために、同社はAdobe Professional Servicesも活用し、段階的かつ確実にナレッジを蓄積していきました。

「例えば、Adobe Targetは、ボタンの配置の最適化など、まずは簡単なwebサイトの改修のためのA/Bテストにトライ。その後、ユーザーの行動履歴に応じてコンテンツを出し分けるためのプロファイルスクリプトの作成にチャレンジし、実際にターゲティングを行ってみるといったイメージです」(山下氏)

ただし、全員が一斉にトライするのではなく、まずは中心メンバーがスキルを習得し、彼らがキーパーソンとなって、他のメンバーに波及させていくというアプローチを取りました。最初は山下氏自身がキーパーソンになり、率先してソリューションを扱ってみたといいます。現在はAdobe Analyticsだけでも8名のキーパーソンがおり、メンバーたちからの疑問や質問を解決しています。

「素早く改善サイクルを回し続けるには、自分たち自身でソリューションを使いこなすことが重要。ただ、アドビソリューションの機能は本当に豊富で、それらを自分たちだけで理解し、使いこなすのは難しいと考えて、Adobe Professional Servicesを利用しています。まだ使っていない機能でどんなことができるのかをコンサルタントに聞くなど、アドビのサポートのおかげで、高度な分析やテスト施策の効率化など、あらゆる機能を使いこなせるようになりました。現在、利用している機能のほとんどは、設定や操作を社内メンバーでやれるようになっています」と山下氏は話します。

山下 ロルミス氏

「アドビソリューションによって、より精緻なデータの計測と分析、精度の高い検証が行えるようになりました。私たちにとって重要なKPIである応募率は、2年の間に1.7倍向上しています」

商品開発本部 メディアプロデュース統括部 グロースハック部 部長  山下 ロルミス氏

多様な施策を積み重ねて応募率を2年間で1.7倍に

Adobe AnalyticsとAdobe Targetを活用した同社のサービス改善は、非常に高い成果を上げています。多種多様な施策の積み重ねによって、同社の重要なKPIである応募率は大きく上昇。バイトルやはたらこねっとの応募率は、一昨年との比較では約1.7倍となっており、わずか2年間で70%もの改善を実現しています。

「Adobe Targetは、Adobe Analyticsとデータ定義が同一なので、当初の目論見通りデータ分析とA/Bテストの結果に矛盾が発生しません。また、A/Bテストにおいては、AとBがほぼ同じようなユーザー構成のグループとなるように自動的に振り分けを行ってくれるので結果の信ぴょう性も高い。これにより、自信を持ってデータに基づいた施策を実行できるようになっています」と山下氏は言います。

アドビが定量的にスコアリングした同社のAdobe Target の活用レベルは、世界のトップ1%に入るほど。日本で最もAdobe Targetを使いこなしている企業とも評価されています。以下では、同社の代表的な取り組みと成果を紹介します。

応募率を117%に向上させたレコメンドの改善

まず1つ目は、バイトルとはたらこねっとで行っている 「駅レコメンド」です。

「きっかけになったのは、アンケートを通じて『勤務地』を仕事探しのこだわり条件に挙げるユーザーが81%にも上り、サイトの行動としても同じ駅の求人を複数閲覧する割合が37%になっていました。そこで、ユーザーに対して、見ている求人情報と同じ駅の他の求人情報もレコメンドするようにしたのです。また、勤務地を重視するということは、 通勤時間も一目でわかるようにすべきと考えて、駅から勤務地までの徒歩時間も強調して表示するようしました」と 山下氏。

この機能を実装し、従来型レコメンドとA/Bテストで比較した結果、従来型レコメンドに比べて、レコメンドエリアの利用率が174%に向上。さらに求人詳細の閲覧数は108%、応募率も109%になったと語ります。その後、同社はAdobe Targetの「自動ターゲット」を利用して、このレコメンド機能をさらに進化。これは、AI(人工知能)とマシンラーニング(機械学習)を統合したアドビの テクノロジーであるAdobe Senseiによって、ユーザーが応募時に何にこだわっているのかを補捉して、それに応じたレコメンドを自動的に行えるというものです。その結果、応募率はさらに107%になりました。駅レコメンド実装以前と比較すると117%の向上を実現しています。

応募時のフローを見直して遷移率を114%に向上

2つ目は、バイトル、バイトルNEXT、はたらこねっとで 行ったサイト改善の事例です。具体的にはAdobe TargetによるA/Bテストでユーザビリティを検証し、webサイト上のフロー変更を行いました。

勤務地にこだわりを持つユーザーが多いことに着目してレコメンド機能を改善。レコメンドエリアの利用率が174%に向上

そもそも、バイトル、バイトルNEXT、はたらこねっとでは、ユーザーが求人詳細を表示した後、画面は応募入力画面、確認画面、完了画面へと遷移しました。しかし、すでに会員情報を登録し、そのIDでログインしているユーザーの場合は、応募入力画面を省略できるはずと考え、ログインユーザーは応募入力を省略するようにしたのです。

このフロー変更によって、入力から確認までの遷移率が114%に向上。再訪問回数も101%に上がり、求人への応募率の向上につながりました。特に再訪問回数が増えていることは、ユーザーのストレス軽減に効果があったことを裏付けているといえます。この1%の向上は、ビジネス全体で見ると数千万円の価値があります。

このことから、入力の手間がサービス利用の1つの障壁になり得ることを知った同社は、現在、非会員の応募入力データの保持機能もサービスに実装しています。これはユーザーのパーミッションを受けた上で、24時間だけユーザーの属性データを保持しておくという機能です。これにより、24時間以内の応募であれば、非会員でも入力作業を省略することが可能になっています。

「この施策を思いつくきっかけになったのは、応募入力画面から確認画面に遷移したユーザー数を非ログイン時とログイン時とで比較したデータでした。ログインユーザーの方が仕事探しのモチベーションが高い傾向があるため、当然、遷移率は高いのですが、ログインユーザーの中にも一定の割合で離脱している人が存在する点に着目したのです。このように信頼できるデータを基に高度な分析を行い、気付きを改善につなげることができる。アドビソリューションによる導入成果の好例と捉えています」と山下氏は言います。

タブの職種の並びを変更して利用率を118%に向上

3つ目の事例は、スコアリングに基づくUIの変更です。起点となった仮説は「主婦層のアルバイトのニーズは学生とは大きく異なるのではないか」というものでした。

そこで、同社はAdobe Analyticsを活用して、「販売」「軽作業/物流」「オフィス」「フード/飲食」など、職種タブに並ぶ各仕事内容の検索数、応募ユニークユーザー数を計測。その上で求人件数を加味しながら、よりニーズが高いものが上にくるように主婦向けのタブを改善したのです。もちろん、実装に向けてはAdobe TargetによるA/Bテストで成果を検証しました。

その結果、職種タブを利用した検索率が118%に向上。求人詳細の閲覧率と応募率が106%改善されました。この機能もバイトルとはたらこねっと、両方に実装されています。

今後も同社は、ユーザーのニーズを把握し、サービスの改善を継続的に行っていきます。メールマーケティングとwebを連動させたコミュニケーションをはじめ、今は部分的な活用にとどまっているAdobe Senseiについても理解を深めて使いこなし、サービス品質の向上に役立てていく考えです。

「ディップが目指しているのは、仕事を探すのではなく、 選べるようにすること。それを実現するには、ユーザーの声を聴き、日々の改善を行いつつ、直接、求人企業へ働きかけることができる直販営業の強みを生かし、企画、開発部門が一体となって、大きなイノベーションに取り組んでいかなければなりません。そのためにアドビソリューションをさらに活用しながら、チャレンジしていきます」と山下氏は語りました。

※掲載された情報は2020年1月現在のものです。

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