突発的なニーズをとらえる仕組み化で、4Rを意識した関係構築を実現

エン・ジャパン株式会社

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エン・ジャパン株式会社

創立

2000年

従業員数:2,853名
www.enjapan.com

2.6倍

受注貢献金額

導入製品:

Adobe Marketo Engage

活用用途:

メールマーケティング、 リードナーチャリング

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課題

顧客との関係構築の適正化

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成果

問い合わせ件数2.4倍

受注貢献金額2.6倍

属人的な営業スタイルから脱し、顧客との関係構築の適正化を目指す

「人材採用から入社後の活躍・定着までをサポートする」をミッションに、日本最大級の転職サイト「エン転職」運営をはじめ、幅広く人材総合サービスを展開するエン・ジャパン株式会社。

事業の核となる「エン転職」はオリコン顧客満足度®調査「転職サイト」で3年連続総合1位を獲得。採用側の企業および転職志望者からの高い支持を得ている。

一方で、営業リソースが限られる中、同社では「エン転職」の採用企業であるリテール顧客への関係構築に向け、2019年4月よりAdobe Marketo Engageを本格的に活用。インサイドセールスおよび営業部門をデジタルの力でサポートする仕組みを構築し、高い成果を上げている。

従来の属人的な営業スタイルに依存する形から、いかに結果につながるBtoBマーケティングを実践していったのか。同社セールスマーケティング部の古庄広一郎氏、古賀裕章氏、原和真氏に具体的な施策内容、成果について聞いた。

同社内製のCRM・SFAに何万件もの配信可否不明のリストが蓄積

実は同社ではすでに15年よりAdobe Marketo Engageを導入。だが、販促の担当者が兼任で、時折メールの一斉配信を行う程度で、活用しきれていない状態だったという。

改めてリテール顧客へ網羅的に接点を持つ、効率的に接触するという課題解決に向け、Adobe Marketo Engage を用いて施策に取り組むこととなる。

実際にAdobe Marketo Engageの運用経験を擁していた古庄氏を運用・管理担当に据え、前職の広告代理店で集客業務のキャリアを持つ古賀氏を運用・他部署との連携やDM担当、求人広告作成に従事していた原氏がコンテンツ作成を担う形で、チームを発足する。

施策を考えていく上で、まず浮上してきた課題は大きく次の4つだった。

1つ目が求人媒体特有の購買プロセスに合ったコミュニケーションをいかに実践していくか。「求人広告は突発的にニーズが生まれ検討期間も短いのが特徴です」と古賀氏。ファネルを組み、顧客の状況やニーズを図り、育成していくというMA(マーケティングオートメーション)ならではの定石が通用せず、新たなルールやシステムの構築が求められていた。

2つ目は社内のデータベースがメール配信に適応したものではなかったこと。同社内製のCRMやSFAに営業が蓄積したリードはあったものの、手動による入力のためデータ不備も多く「名刺管理ツールとの紐付けもできていない状態でした」と古庄氏。何万件ものメール配信可否不明なリードがあったという。

3つ目が問い合わせ後の対応の遅れだ。2名のアシスタントの手動による社内システムやインサイドセールス、営業への情報連携が行われており、問い合わせから最初の架電に24時間もかかっていたという。

4つ目は、営業部のチームごとに求めるサポートのレベルが異なること。「Adobe Marketo Engageのようなツールのサポートをどの程度求めているのか。チームごとに異なるニーズに対応する仕組み化が求められていました」(古賀氏)。

独自の「非webアクセススコア」を元にニーズをとらえる仕組みを構築

これらの課題解決に際し、まず取り組んだのが定期的なメール配信とデータベースの整備だ。

「欠員、採用ニーズが発生したタイミングで、『エン転職』を想起していただくための接点作りとしてコンテンツの量産と定期配信をスタートさせました」と原氏。

曜日ごとにテーマ、ジャンルを決め、当初は週5回ものペースで、最低週1回は全顧客に届くように送信。「開封率やリンクのクリック率などを見て内容や送信タイミングの最適値を探っていきました」(原氏)。

より多くの顧客にメールを送信するために、データの整備にも着手。「社内に手付かずで眠っていた数万の顧客に対し、オプトインメールを実施しました」と古賀氏。約75%を新たにマーケティング対象に加えることに成功する。

次に実践したのが顧客のニーズ、タイミングをとらえた自動配信プログラムの構築だ。非アクティブリードのアクティブ化の施策を考案した。

「顧客が久しぶりに当社サイトやメールにアクセスした場合、突発的なニーズが発生した可能性が高いという仮説を立て、タギング、スコアリングを活用した設定に取り組みました」(古庄氏)。

開封やクリックなどを行わない非アクティブなリードに対し、独自のスコア(非webアクセススコア)を加算。非webアクセススコアが一定以上のユーザーがアクセスしたのをトリガーに、アラートメールを配信するシステムを構築する。

3つ目が問い合わせから営業へ引き渡すプロセスの効率化だ。「システムを考案する上で、Adobe Marketo Engage のコミュニティ『JMUG』からの情報や事例が参考になりました」と古庄氏。具体的には企業からの問い合わせフォームをAdobe Marketo Engageのフォームに置き換え、kintoneをデータベースとしてAdobe Marketo Engage とAPI連携。リードデータが自動でkintoneに格納されるようになり、RPAでkintoneから社内システム、営業に通知するという仕組みを構築した。

資料ダウンロードを契機とした"より熱い問い合わせ"創出にも取り組む

これらの大きく3つの取り組みにより19年度の前期比の成果としては、問い合わせ件数が2.4倍、受注貢献金額2.6倍を達成。問い合わせからインサイドセールスの初回対応も97%、営業の対応スピードも75%改善し、インサイドセールスのアポイント獲得率も4%改善した。

加えて営業部門ごとに窓口を設置するなど連携も強化。コロナ禍への対応も含め、20年には顧客行動を検知した営業へのアラート施策を開始。営業活動のさらなる効率化と確度向上のサポートを実践し、架電時の担当者への接触率の向上も実現しているという。

メール施策においても改善に余念がない。非アクティブユーザーの開封率やクリック率を上げるべく、「私信風の内容や双方向のコミュニケーションを創出するような仕掛けも工夫し、問い合わせやセミナー参加増につなげています」(原氏)。

当初ノウハウがなかった状態から高い成果を上げた秘訣として、「Adobe Marketo Engageはテンプレートが豊富など初心者でも施策が組みやすく、JMUGやDocsなど無料で得られる情報源が多いのも魅力です」と古庄氏。疑問が生じた際にAdobe Marketo EngageのCSがすぐに対応するサポート体制の厚さも大きなポイントだったという。

顧客の行動変容に合わせた独自の関係構築の仕組み化に成功し、チームの力でしっかり役割分担し、全社を巻き込む形で高い成果を上げた同社。「Marketo Champion 2020」では「Marketing Team of the Year」を受賞し、社内でのマーケティング部門のプレゼンス向上も実現している。

今後もチームの力でどんな新たな施策に挑むのか。新たなチャレンジの行方にも注目したい。

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