地域に密着したグローバル企業
HPは、Adobe Commerceを利用してアジア太平洋地域の国々で現地のeコマース
エクスペリエンスを提供しています。
目標
「オンラインからオフラインまで」の販売活動をおこない、実店舗への来店を促進したい
アジア太平洋の5か所の地域店舗を単一のプラットフォーム上に確立したい
一元化したシステムによる、各地域固有のeコマースエクスペリエンスを実現したい
成果
世界 27市場 に拡大
130回のリリースによる 600の新機能 と機能強化を提供
インドで 600か所の店舗受け取りサービス を開始
「まずアジア全域で成功を収め、顧客体験を完璧に管理できる仕組みのモデルを確立することが重要でした。当社の世界展開プランを成功させるためには、基盤上の複数の領域をまたぐ俊敏性と、持続可能なコスト構造が必要でした」
Herriot Stobo氏
HP Asia-Pacific、オムニチャネルイノベーションおよびソリューション担当ディレクター
現地向けのeコマースソリューション
巨大で多国籍なテクノロジー企業にとって、複数の地域にまたがるローカライズされたエクスペリエンスの作成は困難かもしれません。HP Inc.の例を見てみましょう。同社は、パソコンとプリント機器の世界的な大手メーカーのひとつであり、地球上のほぼすべての国でeコマース事業を展開しています。アジア太平洋部門だけでも35を超える国から集まった3,000人を超える従業員が、45万平方フィートに及ぶ未来型のキャンパスで働いています。そこでは、自社製品の交換部品も印刷可能な3Dプリンターが製造されています。ですが、独創的な発想を別にすれば、HP Inc.は地に足の着いた販売施策が必要でした。オンラインの急速な成長を達成するためには、「オンラインからオフラインまで」の販売活動をおこなって、実店舗への来店を促進する必要がありました。
HP Asia-Pacificのオムニチャネルイノベーションおよびソリューション担当ディレクターのHerriot Stobo氏は、次のように述べています。「まずアジア全域で成功を収め、顧客体験を完璧に管理できる仕組みのモデルを確立することが重要でした。当社の世界展開プランを成功させるためには、プラットフォーム上の複数の領域をまたぐ俊敏性と、持続可能なコスト構造が必要だったのです」。具体的にいえば、HP Asia-Pacificは、インド、インドネシア、タイ、中国、香港といった5つの異なる地域の店舗を、たったひとつのプラットフォームで立ち上げる必要がありました。また、顧客がプリンターやPCをオンラインで購入し、店頭で受け取れるようにする「クリック&バイ」機能を提供し、その一方で店頭の顧客には、オンラインで「エンドレスアイル」を提供したいと考えていました。
単一のプラットフォーム
HP Asia-Pacificは、2013年にタイとインドネシアでMagento Commerce 1を使用した最初のMagento(現在のAdobe Commerce)webストアをデプロイしました。中国で店舗を立ち上げたときには、Magento Commerce 2を使用することにしました。家庭用プリンターを探している個人の買い物客から小規模企業まで、幅広い顧客を持つHP Asia-Pacificは、複数の地域や顧客接点で迅速な市場投入が可能であるだけでなく、速いペースでテストと反復を実施できる、アジャイルなeコマースソリューションを必要としていました。
単一のAdobe Commerceインスタンスを使用して、様々な地域にまたがる複数の店舗をサポートすることで、各店舗は地域に根ざした独自のエクスペリエンスを提供し、異なるeコマース文化を持つ顧客にアピールすることが可能になりました。HP Asia-Pacificでは、Adobe Commerceコアをベースに3層構造を設計し、異なる地域の顧客に、共通のサイトナビゲーション、ページテンプレート、ダッシュボード、セキュリティを提供しました。この構造の上には、オムニチャネル機能、プロジェクト管理、コンテンツ戦略、あらゆる角度から統合した顧客データなどで構成される、「HP Universe」があります。それから各地域のハブが、決済、フルフィルメントロジスティクス、言語、注文管理機能など、各地域の要件を提供します。HPは、この柔軟な構造により、eコマースの要素全体を制御しながら、地域や国が顧客それぞれの地域市場のニーズを満たせるように支援します。言い換えれば、Adobe Commerceを使用することで、HPはグローバルなコマースエクスペリエンスを完全に地域に密着させることができるのです。
地域に特化する
Stobo氏がシンガポールのキャンパスから管理するプロジェクトチームは、インドの23店舗でHP Click & Collectを試験的に導入し、大成功を収めました。このソリューションは、間もなく700店舗に展開される予定です。ニューデリーで4か月間試験的に実施したところ、消費者向けPC顧客の26%が、配達よりも地元の店舗で新しいPCの受け取りを希望したため、貴重な実店舗への来店が増加し、配送コストも節約できました。この概念実証試験の開発は、Adobe Commerceを使用することで簡単に実施でき、HPのチームは数か月で説得力のある結果が得られました。
HPの香港でのローンチは、アジア太平洋地域で5番目のAdobe Commerceのデプロイメントとなりました。このローンチには、消費者向け、小規模企業向け、従業員向けの購入プログラムが含まれていました。香港の新しいプラットフォームは、小売店のPOSシステムと統合され、顧客はwebサイトにアクセスして店頭でのデモが予約できます。この2つの機能は、「オンラインからオフラインへ」のオムニチャネル戦略を実現するうえで重要な役割を果たし、顧客はオンラインで購入し、店舗で受け取れるようになりました。この方法は手軽で効率的、かつ頼りになるもので、顧客は店頭で必要なアクセサリーを見つけやすくなります。また、店頭で買い物をする顧客も、在庫があるかどうかに関わらず、あらゆるHP製品を購入できるエンドレスアイルを活用できます。
Adobe Commerceを利用することで、HPは顧客体験をさらに最適化し、これまでよりもスピーディに新機能をローンチでき、コマースのビジョンを達成できます。実際に、ローンチ後の18か月間で、アジャイル手法を適用して、130回のリリースで600を超える新機能と機能強化を実現しました。アジア太平洋地域での成功を受けて、HPはこの実証済みのアプローチを繰り返し、世界のその他の地域でもwebストアを容易に立ち上げています。最近ではメキシコでeコマースをローンチしました。Stobo氏とプロジェクトチームは、シンガポール、バルセロナ、米国全土にわたり、Adobe Commerceを世界27市場に展開することに注力しています。