複数の接点を横断した最適な顧客体験を設計し、パーソナライズコミュニケーションを実践

KDDI株式会社

KDDI株式会社

創業

1984年

所在地:東京

従業員数:44,952人 (連結ベース/2020年3月31日現在)
https://www.kddi.com/

約6倍

CVRが向上

導入製品:

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課題

オンライン/オフラインデータの横断、リアルタイム性の反映、パーソナライズといった高度な顧客体験の提供が難しかった

MA基盤のUIが複雑で、使いこなせる人が限定的となり、柔軟な運用ができなかった

設定や運用にリソースが割かれてしまい、戦略および施策立案へのリソース投下が不十分だった

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成果

複数の接点を横断してきめ細やかな顧客体験を提供

操作性向上で作業工数を削減し施策本数を増加

タイミングを捉えた提案でCVRを約6倍向上

お客さまの心理や反応を盛り込んだ顧客体験シナリオを実践


「お客さま一人ひとりのアプリの活用レベルから店舗での反応まで、オンライン、オフラインの様々な情報駆使した顧客体験シナリオをAdobe Campaign実現できるようになりました」

 

DXデザイン部 村田浩子氏


通信事業者であるKDDIは昨今、通信サービス事業だけではなく「au PAY」「au PAY マーケット」といったライフデザイン領域にも積極的に事業を拡大し、お客さまとのさらなるエンゲージメントの構築を推し進めている。そのため、同社はアドビが提供するAdobe CampaignをMA(マーケティングオートメーション)基盤として採用し、社内のサブシステムと連携させて、パーソナライズコミュニケーションの高度化に取り組んでいる。「属性情報」「行動情報」「顧客心理」といった膨大なデータを掛け合わせ、お客さまのライフスタイルや嗜好を捉えて顧客体験シナリオを設計。その上で、アプリをはじめとするオンラインの接点から、オフラインの接点である店舗まで、あらゆる接点を横断した提案を高度に実行している。

便利や楽しさにつながるワクワクする体験をお客さまと積み上げていきたい

通信事業者として、個人・法人顧客向けに通信サービスを提供するKDDI。特に個人向けビジネスにおいては顧客体験を重視し、エンゲージメント向上のためのパーソナライズコミュニケーションの実現に取り組んでいる。

 

「KDDIは、お客さまの生活が便利になったり、楽しくなったりするようなサービスをたくさん提供しています。ぜひ、それを知って使ってほしいし、そのための提案をしたい。お客さまとの接点は、auのポータルである『My au』に代表されるアプリ、メール、電話やチャットでのサポート、そしてリアルな接点となる店舗と非常に多岐にわたります。これらの多様な接点を通じて、お客さまのサービスの使いこなしをお手伝いし、その体験を積み上げることでauをもっと身近に感じてもらいたいと考えています」と同社の村田浩子氏は話す。

 

しかし、従来は、接点ごとにコミュニケーションが最適化されてしまい、コミュニケーションの機会を見逃してしまうことがあった。また、ある接点で得た情報を別の接点でのコミュニケーションに反映できず、不要な情報を届けてしまったりすることもあったという。

 

村田氏は、これまで5年以上にわたり、KDDIのカスタマーエクスペリエンス向上をリードしてきた。現在部長を務めるDXデザイン部では、カスタマーエクスペリエンス向上のために、全社的なDXの方針から設計および実行までの旗振り役を担っている。掲げているコンセプトは「au Next Best Action(au NBA)」というもの。このコンセプトのもと、お客さまにとってのベストなアクションをKDDIから能動的に提案することを目指している。

 

その一環として同部が取り組んだのがパーソナライズコミュニケーションを担うMA基盤の見直しだ。

 

「従来の基盤は、設定できる項目に限りがあり、せっかく顧客体験を設計しても、それをシナリオとして実装できないなど、様々な課題がありました。例えば、曜日を指定してコミュニケーションを行いたくてもできなかったり、ご来店の前後に合わせたアプリやメールでのオフラインとオンラインを融合したコミュニケーションも満足にはできませんでした。また、UIが複雑で操作が困難なため、限られたメンバーしか使いこなせず、全社的な方針転換に素早く対応できないなど、顧客体験の向上に向けた全社的な取り組みのブレーキとなっていました」と同社の八木沢大樹氏は言う。

多様なデータを駆使したシナリオを実装できる

そこで同社はMA基盤の刷新に向けたプロジェクトを開始。複数の製品を比較検討し、最終的にアドビが提供する「Adobe Campaign」の採用を決めた。

 

「当時、KDDIは分散している情報を統合して、お客さまのライフスタイルや嗜好をもっと詳しく把握することで、お客さまの解像度を上げたいと考えていました。その上で、データとテクノロジーを駆使したきめ細やかなシナリオを実装したい。それに対応できたことがAdobe Campaignを選定した理由の1つです。実際、導入後に、特定のアプリにおいて活用レベルに応じたきめ細やかなシナリオを設定したところ、お客さまのサイトへの来訪を3倍に増加させ、満足度も向上するという結果につながっています」と同社の白井大介氏は言います。

 

また、UIの使いやすさ、サブシステムとの連携など柔軟なカスタマイズが可能なこと、そして、国内外での豊富な実績、さらにはKDDIのセキュリティポリシーに合致していることなどが採用を後押しした。

 

「MA基盤では、お客さまに関する重要な情報も扱うことになります。KDDIは、重要データの扱いには厳しい制限を設けているのですが、比較した製品が海外のデータセンター利用が前提になっているなど、セキュリティ要件をクリアできない中、Adobe CampaignはKDDIのセキュリティ基準に合致していました」と白井氏は続けます。

タイミングを捉えたコミュニケーションでCVRを約6倍に

現在、KDDIは図のような構成でAdobe Campaignを利用している。

 

アプリの利用状況や店舗での接客中などに得た「属性情報」「行動情報」「顧客心理」といった情報を1つのデータベースに統合。機械学習やAIを駆使しながら解析して、お客さまの興味や関心に関する様々な示唆を得る。それを基に顧客体験を設計し、Adobe Campaignに実装。あとはAdobe Campaignが、設定に呼応したパーソナライズコミュニケーションを自動実行する(図)。 

 

「従来のMA基盤は、ある接点で反応が見られなかった場合、別の接点でコミュニケーションを行うには、新たにゼロからの設定作業を手動で行う必要がありました。一方、今では反応が得られなかった場合は、自動で他の接点を通じてレコメンドを行ってみるなど、複数の接点を横断したシナリオを簡単に実装できます」と八木沢氏はAdobe Campaignを評価する。

 

現在、同社は特に能動的な行動や心理、反応を重視したシナリオの設計を行っている。

 

「シナリオの精度を上げるために大きな役割を果たしているのがリアルな接点である店頭だからこそ得られる反応です。例えば、提案をお断りされたとしても、まったく興味を示していただけなかったのか、興味自体はありそうだが時間がなかったかで次のアクションは大きく変わるからです」と村田氏は話す。

 

また、Adobe Campaignは操作性が高く、わずかなトレーニングでスキルを学ぶことが可能。すでに多くの人が使いこなせるようになっており、各サービス部門やアプリ担当チームなど、各部門が独自に企画するキャンペーンでもAdobe Campaignが積極的に利用されている。操作性が高いだけでなく、自動化機能を駆使することで特定作業の工数も半減され、一月当たり30%の工数削減にもつながっているという。

 

このようにきめ細やかなパーソナライズコミュニケーションが可能になった結果、あるキャンペーンでは、サービス加入のCVR(Conversion Rate)を5.7倍にすることができた。

 

「お客さま行動に基づく仮説を立てて、タイミングを捉えてレコメンドを行った結果、CVRを大きく引き上げることができました。サービスを利用していないお客さまに一斉にレコメンドを行うようなことしかできなかった時代とは大きな差があります」と八木沢氏は言う。

KDDI事例

誰よりも身近なパートナーであり続けたい

今後も同社はエンゲージメント向上に向けて、様々な顧客体験シナリオを描きながら、お客さまとの関係を積み上げていく。お客さまが持つ興味や関心に訴えかけるだけでなく、新しく興味や関心を持っていただけるようなナーチャリングシナリオの拡充にも取り組んでいくという。

 

「MA基盤の環境整備はDXの新たな一歩に過ぎません。通信とライフデザインサービスの融合を目指しているKDDIにとっては、顧客体験を追求し、お客さまに寄り添うことで身近な存在になり、カスタマーサクセスを実現していくことが重要になります。アドビとはデータとテクノロジーの活用はもちろんのこと、文化やノウハウの交流も大切にしながら、お客さまをワクワクさせる体験を共創していきたいですね」と村田氏は言う。

 

デジタル化が加速する社会において、通信事業者が提供するモバイルサービスは、多くのサービスを利用する際の重要な基盤。利用者の生活の便利さや楽しさを大きく左右する。KDDIは、顧客体験を通じたエンゲージメントの向上を目指すことで、お客さまがデジタル社会を快適に生きていくための誰よりも身近で力強いパートナーになろうとしているのである。


村田浩子氏

DXデザイン部 村田浩子氏

八木沢大樹氏

DXデザイン部 八木沢大樹氏

白井 大介氏

地方創生推進部 白井 大介氏

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