
ロサンゼルス郡公共社会福祉局、Adobe Experience Managerでデジタル変革を実現
全米最大の社会福祉機関である同局は、webサイトを刷新し、モバイルフレンドリーなエクスペリエンスを導入することで、顧客とのやり取りを変革しました。

目標
テキストが多く、ナビゲーションが難しい静的なwebページから、よりダイナミックでパーソナライズされたコンテンツに移行したい
モバイルフレンドリーなサイトとサービスを構築したい
利用者が直接訪問する必要性を減らしたい(新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから重要になった)
さらなる改善の余地がある箇所や方法を明らかにする分析データを生成したい
成果
Webサイトを合理化し、600ページあったページ数を200ページに減らし、重要なコンテンツをより見つけやすくした
現在、サイトはあらゆるモバイル形式に対応
2020年6月に新しいサイトを立ち上げた後、最初の1週間で数千件の追加アクセスを記録アクセス数はその後も増加
利用者からのフィードバックを基に、サイトの改善を継続中
社会福祉という、人と人との接触が多い分野では、時間、費用、毎回のやりとりのどれもが重要です。そのため、数年前にこの米国最大の社会福祉局が、電話や事務所への訪問という従来のやり方から、より強固なデジタルでのやり取りへと進化させる必要性を認識したとき、webサイト(デジタルフロントドア)を近代化し、サービス提供の方法を根本的に見直すという野心的なプロジェクトに着手しました。
この取り組みには大きな課題がありました。350万人以上の利用者にサービスを提供していることから、サイトのリニューアルを視覚的に魅力的なものにし、ナビゲーションを容易なものにする必要がありました。さらに、モバイルデバイスでもアクセス可能で、給付金の申請や申請状況の確認などの重要な機能を提供し、障害を持つアメリカ人法(ADA)の基準を満たす必要もありました。
そこで同局は、Adobe Experience Cloudなどのアドビ製品を活用してサービスを刷新することにしました。新しいサイトは、2020年6月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが拡大する中、利用者への対応に十分間に合うタイミングで公開されました。利用者はいつの間にか、自身の受給状況を確認したり、サービスについて確認したり、利用可能な様々なリソースを調べたりすることができるようになりました。当然のことながら、機能強化は重要な 役割を果たし、同局はサービスの中断を回避することができました。
同局は後戻りすることはありませんでした。「常に利用者の一歩先を行き、利用者の実際のジャーニーに寄り添わなければならないと認識していました。利用者に提供する体験は、私たちの都合で決めるのではなく、利用者の都合に合わせていかなければなりません」と、LADPSSの副所長兼最高情報責任者であるMichael Sylvester氏は述べています。
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ロサンゼルス郡には1,000万人以上が暮らしており、そのうちおよそ3人に1人が、米国最大の社会福祉局であるLADPSSから何らかの支援を受けています。「私たちの目的は明確であり、それが日々の原動力となっています。効果的で思いやりのあるサービスを一般市民に提供し、経済的な自立と自活への道を必要としている人々を支援することを目指しています」とSylvester氏は述べています。同局は、2015年より利用者満足度とサービス提供の全体的な効果に重点的に取り組むようになりました。2017年には、websサイトを近代化し、顧客とのインタラクションを改善する取り組みに着手しました。
当時、既存のサイトはテキストが中心で、ナビゲーションが困難でした。検索機能も限られており、スマートフォンやモバイルトラフィックには対応していませんでした。さらに、技術フレームワークが数年間アップグレードされていなかったため、コンテンツ制作者は変更作業に苦労していました。例えば、コンテンツをサイト公開前に確認するプレビュー機能がありませんでした。
「常に利用者の一歩先を行き、利用者の実際のジャーニーに寄り添わなければならないと認識していました。顧客に提供する体験は、私たちの条件ではなく、顧客の条件にもとづく必要があります」
Michael Sylvester氏
ロサンゼルス郡公共社会福祉局、副局長兼最高情報責任者
その結果、LADPSSの30名のコンテンツスペシャリストチームは、顧客が必要な書類などのリソースを迅速かつ効率的に見つけられるよう、整理された一貫性のあるデザインの制作に着手しました。同チームは、Adobe Experience Manager(AEM)、Adobe Creative Cloud アプリケーション、Illustrator、Photoshop を活用し、3週間をかけてコンテンツを刷新し、webページを再設計しました。
新しいサイトは2020年6月20日に正式に公開されました。「以前のウェブサイトには、英語とスペイン語で600ページ以上のコンテンツがありました。目標はページ数を減らすことでしたが、それを達成し、合計200ページ以下にスリム化しました」と、同社のコミュニケーションおよびプロジェクト管理部門の部長であるElizabeth Becerra氏は述べています。
「近代化への取り組みは不可欠でした。多くの場合、どのようなプログラムやサービスを提供しているか、またそれらにどう申し込むかを調べるために、車を運転したりバスに乗って社会福祉事務所まで出向き、列に並んで直接やりとりする必要がなくなりました」とBecerra氏は述べています。当然のことながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの進行に伴い、問い合わせへの対応や問題解決を迅速に行う能力が極めて重要になりました。「質問への回答を調べるために数時間を費やす代わりに、数分で必要な情報をサイトで見つけることができます。週末、通常は業務を行っていない時間でも可能です」とSylvester氏は述べています。
レスポンシブデザインの定着
刷新されたLADPSSサイトでは、利用者が携帯電話やデスクトップコンピューターのどのデバイスを利用しているかに関わらず、画面サイズに合わせて表示が自動的に調整されます。ボタンやリンクなどのナビゲーション要素は、俊敏かつ利用者中心のデザインフレームワークにより、デバイスに適応します。顧客は、ADAに完全準拠したサイトを通じて、特典にアクセスしたり、リソースを確認したりすることができます。
さらに、Adobe Analytics を活用することで、利用者の不満や悩みを把握し、webページやプロセスを調整してユーザーインターフェイスを改善できるようになりました。その結果、新しいサイトが公開された最初の週に、スペイン語版のwebサイトを追加したにも関わらず、コンテンツ効率が68%も改善されたことが確認されました。現在、同局ではさらに11の言語を追加する作業が進行中です。
「今では、訪問者がサイトを訪れると、親しみやすいウェルカムメッセージが表示され、次に、提供サービスのわかりやすいナビゲーションと、平易な言葉で書かれた理解しやすいベネフィットプログラムの説明が表示されます。
Elizabeth Becerra氏
ロサンゼルス郡公共社会福祉局コミュニケーションおよびプロジェクト管理部門部長
努力は実を結びました。2021年3月以来、LADPSSの再構築されたwebサイトへの訪問者数は256万2,535人に上ります。同局はwebサイトの再設計と機能性の向上により、全米郡協会(NACo)のAchievement Award(業績賞)を受賞しました。また、プロジェクトを主導したElizabeth Becerra氏は、このプロジェクトにおけるリーダーシップが評価され、あらゆるレベルの公務員を対象に、優れたサービス提供へのリーダーシップと献身を称える権威ある「Service to the Citizen: Champions of Change Award」(市民への奉仕:変革チャンピオン賞)を受賞しました。「今では、訪問者がサイトを訪れると、親しみやすいウェルカムメッセージが表示され、次に、提供サービスのわかりやすいナビゲーションと、平易な言葉で書かれた理解しやすいベネフィットプログラムの説明が表示されます」とBecerra氏は述べています。
結論として、このプロジェクトの目的は、単に新しいwebサイトを構築することではなく、より優れた総合的な顧客体験を提供することでした。同局のサイトは、情報中心のサイトから、消費者目線でより大きな価値を提供するサイトへと進化しました。