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マーケティングツールが事業の急成長を支えるデータ基盤に

Micoworks株式会社

設立

2017年

所在地:大阪府
https://micoworks.jp/

2倍以上

有効商談率

導入製品:

Adobe Marketo Engage

課題

  • 急増したリード管理のために当初導入したMAツールでは、流入チャネルや業界ターゲットなどを詳細に把握することができず、戦略的なマーケティングに対応できなかった
  • リードの行動履歴を取得し、反映したマーケティング施策を実行できずにいた
  • 大量のリードに対して、フィールドセールス、インサイドセールス部門が確度の高い顧客に優先順位を付けて対応できず、機会損失が発生していた

成果

  • リードデータの精査と詳細な顧客分類に対応したAdobe Marketo Engageの導入により、顧客の属性と状況に応じたマーケティング基盤を構築
  • Adobe Marketo Engageに情報を集約し、ナーチャリングコンテンツを開発。顧客の行動に合わせた対応を自動化した
  • Marketo Sales Connectなどの導入により、施策の効果を測定することで成功パターンを抽出。有効商談率を2倍以上に改善

「マーケティングと営業を『データ』という共通言語でつなげば、事業の成長につながる。その推進が私の役目だと分かりました」

グロース&ストラテジー統括本部 事業戦略・Opsチーム Specialist 篠田 瑠奈氏

Micoworks株式会社は、2019年にLINEを活用したマーケティングプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」をリリースして以来、年平均成長率200%以上のハイペースで成長を続けている。その成長スピードにマーケティング部門の業務は追いつかなくなり、手作業での調整による従来のマーケティングツールでは対応が難しくなった。そこで同社は、Adobe Marketo Engageによってマーケティング基盤を刷新。現在では、全社の成長を支えるデータ基盤となりつつある。

急成長下でリードの精度と効率化の両立が課題に

Micoworksが開発/販売する「MicoCloud」は、企業のLINE公式アカウントとつながった顧客とのコミュニケーションを効率的に行うツールである。同種のツールと比較して、大手企業の利用に適した拡張性や信頼性を備えているのが特徴であり、BtoC事業者様のマーケティング部門にて、人材、金融、不動産など業界問わず幅広く1000以上のブランドの顧客接点を支えている。

「MicoCloud」のリリース以降、急激な事業成長に伴い、マーケティングの規模も急拡大。22年は前年比7倍のリードを獲得するに至ったが、その裏では問題が生じていたと、当初、同社のマーケティングを担当していた篠田瑠奈氏(現、同社 グロース&ストラテジー統括本部 事業戦略・Opsチーム Specialist)は語る。

「リードの流入チャネルを詳細に掴むことが難しい状態でした。また、リードをナーチャリングするための仕組みが不十分で、メールの改善など、商談化率を高める改善ができていませんでした。このことから、当時使用していたマーケティングツールが、当社の業務に合っていなかったのだろうと結論づけました」

グロース&ストラテジー統括本部 事業戦略・Opsチーム Specialist

篠田 瑠奈氏

従来のマーケティングツールでは、データを1箇所に集めることはできたものの、その詳細を自動的に分類し、リードの状況に応じて施策を自動的に切り分けることができず、手入力で登録していた。事実上、篠田氏が1人でMA運用を切り盛りする中で、これ以上仕事が増えれば回していくことが難しいと感じていたという。

同じように、篠田氏の上司でマーケティング部門部長の大里紀雄氏(現ミコミー事業部 部長)も、「当社の成長曲線をみていると、半年後、1年後には100%パンクすることは予想できたため、一刻も早く仕組みを変えなければいけないという危機感がありました」と振り返る。

マーケティング部門にはセールスから様々な要望が届き、対応に追われる状況が続いていた。「本来であれば、確度の高いリードについて優先順位を付けて商談してほしいと考えていましたが、リードに登録されているデータに信頼が持てなかったため、自分たちがしていることが本当に正しいのか、分からなくなっていました」(大里氏)

webサイトのリニューアルに合わせ、2カ月でスピード導入

そこで篠田氏、大里氏らは、リードデータの精度を上げるツールの検討に入った。単にデータを詳細に管理するだけでなく、属性と過去の行動データを掛け合わせて立体的に評価できるツールをイメージしていたという。

新MAツールの検討を始めたのが22年の12月。チームはすでに候補として、設定項目の緻密さ、他のツールとの連携の豊富な実績などから、Adobe Marketo Engageを利用したいと考えるようになっていた。

「社内向けの稟議書には、Adobe Marketo Engageでこういうことができます。という項目を、全部で100個近く書き連ねて提出しました」と、篠田氏は導入への思いを語る。

大里氏は「Adobe Marketo Engage単体による工数削減とデータの精緻化の効果だけでなく、『Marketo Sales Connect』も同時に導入することで、セールス部門の業務を大幅に効率化し、売上増加にも寄与できることをアピールしました」と付け加える。

こうした熱意が伝わり、同社はAdobe Marketo Engageの採用を決定。直ちに導入を開始した。

最初の1カ月ほどで、既存のMAツールの状態をAdobe Marketo Engageにすべて移行。「移行前の業務フローを全部ホワイトボードツールに書き出し、ツールの連携などを1つずつ確認しながら作業を進めました」(篠田氏)。

同じ機能を移して問題がないことを確認しつつ、旧ツールでは作れなかった設定を加えていった。「例えばそれまでは『大項目、小項目』の2種類しかなかったリードチャネルの分類に『中項目』を加えた3段階にするなど、最初に実現したかった機能強化の部分は、導入時に極力実装しました」(篠田氏)。移行と機能追加を含め、約2カ月で旧ツールの並行稼働を終わらせ、Adobe Marketo Engageへの移行を実現。

同社は23年4月にwebサイトをリニューアルするプロジェクトがすでに動いており、新しいサイトによるマーケティングはAdobe Marketo Engageでスタートしたいという思いも強かったという。

導入の際、アドビからのサポートで印象に残っているのは、Marketo Sales Connectの導入事例の紹介や、設定における支援が役に立ったと大里氏は語る。「単に設定を請け負ってくれるとういう形ではなく、主体は当社で、アドビの方からの宿題をもらい、作ったものを両社でディスカッションしながら固めていけたため、理解が進みました」

ミコミー事業部 部長

大里 紀雄氏

試行錯誤が成果につながる好循環を生み出す

Adobe Marketo Engageの導入において、「評価としては100%です」と篠田氏は説明する。「過去にしてきたことはすべて引き継ぎ、その上で、リードを取得した時点でAdobe Marketo Engage内のリソースとデータが紐付けができるようになりました」

手作業が無くなったメリットは、導入直後から感じられたという。「例えばメールのナーチャリングは、これまで単発の施策としてしか実施できていませんでした。Adobe Marketo EngageとMarketo Sales Connectの連携によって、複数のメルマガとインサイドセールスの連携をほぼ自動で回すことができるようになりました。メールの開封率が約10%向上しているなど、大きな成果が出ています」(篠田氏)

インサイドセールス側も、顧客の業種やタイミングによってどんなメールを送れば開封率が上がるかを、自分たちで試しながら改善サイクルを回せるようになった。その結果、開封率、クリック率ともに向上。施策の数が増えても、現場の負荷は増えていないという。

「一度設定を組んでしまえば、成功したパターンを“型”化して、微調整するだけでいいので、圧倒的にサイクルの速度が向上します。従来は案件が増えるほど作業負担がかかっていましたが、Adobe Marketo Engage導入後は、結果の分析に使える時間が非常に増えたことを実感しています」(篠田氏)

Adobe Marketo Engageの導入に合わせて、インサイドセールスの架電内容を録音したり、文字起こしを行い分析したりするツールも導入。それらとAdobe Marketo Engageを連携させ、メールの文面と架電タイミング、内容を掛け合わせて分析することにより、立体的な成功パターンの検討も始まっている。

※Adobe Marketo Engage を中心としたシステム連携図

「例えば展示会でいただいた名刺は、翌朝9時にはリスト化されています。そのときに、インサイドセールスがどの業界のどういった方から先に電話をかければ有効商談率が上がるのか。その最適値をつかみ、フィードバックすることができています」(篠田氏)

またインサイドセールス部門については、これまでメールの送信履歴や活動の履歴が残っていなかった。そこで、顧客管理システムとAdobe Marketo EngageをMarketo Sales Connectによって連携。連携の際は分析に必要な項目だけに絞ることで、インサイドセールスの負担を増やすことなく、営業の履歴をマーケティング部門が確認できるようになったという。

データの蓄積と分析によって、マーケティング部門からインサイドセールス、フィールドセールスが動きやすい情報の提供が可能になった。その結果、それまで商談件数に対して横ばいだった有効商談率は、平均約2倍に向上した状態で安定している。

事業成長に貢献する全社データ基盤へ

同社では、同時に導入した広告計測のツールをAdobe Marketo Engageと連携し、どの広告が成果につながっているかの可視化にも成功している。

「また、イベントを実施する際に最初からAdobe Marketo Engageの“箱”を用意しておき、イベント施策の実施データを格納しています。以前は、ばらばらのツールの情報を見なければ分からなかったことが1カ所に集まっているので、前年のイベントのときにどんな施策をして、うまくいったことは何かをすぐに確認することができるようになりました。これは大きな進歩だと思います」(篠田氏)

このような取り組みと成果が評価され、篠田氏は「2023 Japan Adobe Advocates」を受賞。「この賞をいただいて、多くの社外のマーケターの方々とお会いすることができました。社内で少人数のチームとして活動してきた私にとって財産になりました。社内で進めていることが、すべて正解とは限りません。他社の方の意見を聞くことで、改善することができたのは大きなメリットでした」と篠田氏は語る。

大里氏は「Adobe Marketo Engageは当社にとって重要な業務基盤になっています。マーケティングオペレーションだけのツールから、今では全社の成長を支えるオペレーションの基盤になっており、組織も全社Opsに格上げしています」と語る。

組織の変化と業務基盤の拡大に合わせて、篠田氏もマーケティングだけでなく、全社の事業成長を支える部門の担当者としてキャリアを歩んでいる。「営業出身だった私がマーケターになり、データを俯瞰で見る重要性を知りました」。

Micoworksの成長は、広範囲に情報を集める顧客データ基盤と、そのデータをフェアに議論できる企業文化によって支えられている。

※掲載された情報は、取材当時(2024年1月)のものです。

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