英国を代表するファッションブランド、デジタルコマースを刷新
Paul Smith、Adobe Commerce(旧名称:Magento Commerce)を活用し、ハイエンドな買い物客にオムニチャネル体験とカスタマイズ可能な商品を提供する
目標
将来にわたって使用できるサイトで、シンプルかつ合理的なeコマース体験を提供したい
オムニチャネルのショッピングやフルフィルメント、より洗練されたモバイル体験を提供したい
商品のカスタマイズを実現し、グローバルに対応する能力を追加したい
成果
売上が 15.5%向上
モバイルユーザーが 8.6%増加
モバイルコンバージョンが 5%向上
Paul Smithのeコマースでの成功
Paul Smithは、英国を代表するデザイナーで、伝統と現代性を融合させた独創的な美学で知られています。1970年に同氏が確立した価値観である「Classic with a twist(ひねりのあるクラシック)」がそのまま企業としての指針となっています。ハイファッションとフォーマルウェアの間の絶妙なポジションに位置する同社は、その両方を取り入れながらも、他とは一線を画すことを誇りとしています。同社の商品はどれも辛口の英国ユーモアに裏打ちされたものですが、ヴォーグ誌によると、最大の特徴は、そのシンプルさです。シンプルで合理的なeコマース体験を追求するため、2017年10月、同社はAdobe Commerce(旧名称:Magento Commerce)に移行することを決断しました。
同社では、2004年に外部代理店の協力を得てカスタムメイドのwebストアを開発し、eコマースの道を歩み始めました。2012年以降は、Adobe Commerceを使ったeコマース開発を社内で管理していましたが、ビジネスは急速に変化します。トラフィックの50%が、モバイルデバイスのユーザーによるものになっていたのです。また、Paul Smithブランドは、アジアでも急速に拡大しつつあり、アジアのハイエンドな買い物客はオムニチャネル体験とカスタマイズ可能な商品を求めていました。
Paul Smithブランドは、アジアでも急速に拡大しつつあり、アジアのハイエンドな買い物客はオムニチャネル体験とカスタマイズ可能な商品を求めていました。
デジタル変革
デジタルが最大の販売チャネルのひとつとなったPaul Smithにとって、オンラインでの体験を最適化することは、企業としての成功に直接影響を与えるものでした。Adobe Commerceに移行した目的は、サイトの将来性を確保し、より洗練されたモバイル体験を提供すると同時にグローバルへの対応を進め、オムニチャネルショッピングとフルフィルメントを導入するためでした。それも、eコマースのオペレーションをPaul Smith流にシンプルに保ちながらです。高品質なコードと合理化されたパフォーマンスを備えたAdobe Commerceこそは、まさに同社が必要としていたものでした。
手軽に利用できるコマース
Adobe Commerceを活用することで、同社はモバイル体験の向上に注力し、より明確なリストページ、アクセス可能なリンク、合理的なメニューを実現しました。また、既存のサードパーティの拡張機能がシームレスに動作するように、Adobe Commerceのデフォルトのチェックアウト機能を実装する一方で、PayPal Express Checkoutも採用してコンバージョンを改善しました。さらに、モバイルとデスクトップPCにかかわらず、買い物かごの放棄を最小限に抑えることに成功しました。
カスタマイズされた体験
同社は、この新サイトで、カスタマイズ可能な商品を発表しました。財布やスカーフ、ポーチを選んで、自分のイニシャルや、Paul Smithの手書きのモチーフを刻印することができます。プレビュー機能を使用すれば、実際にそれらがどのように刻印されるのかを確認できます。さらに、レスポンシブページを容易に作成するために、独自のコンテンツエディター(React JSを使用)を開発し、新商品やブランドコラボレーションに活用しています。一方、「ストーリー」セクションでは、Paul Smithのコンテンツが、ワイドスクリーンビデオや鮮やかな画像、そしてファッションと同様に目を引くキャッチコピーで生き生きと表現されています。
フルフィルメントの選択肢を容易に提供
フルフィルメントはこれまで以上にシンプルになりました。店舗が直接注文に対応できない場合は、Adobe Commerceを通じて提供される在庫から注文に対応できます。一方で顧客は、商品を店頭で受け取るか、自宅に配送するかを選択することができます。また、イニシャルやモチーフを刻印した財布を店舗で注文し、後で受け取ったり、配送してもらうことも可能です。
このオムニチャネルプロセスは、同社のネットワークのあらゆるグローバルストアに拡張可能で、設定も容易です。それらの作業は、web開発チームの助けを借りずに、Adobe Commerceの管理パネルでおこなうことができます。あらゆる注文は、APIを介してPRIMA ERPに送られ、セントラルウェアハウスの発送チームによって処理されます。同社では、複数の宅配業者と連携して、無料配送や至急配送、スケジュールされた配送、クリック&コレクトなどの配送オプションを提供しています。
Adobe Commerceへの移行によって、同社は目標を達成し、変化への迅速な対応、店舗やオンラインでのより優れた顧客体験の提供、グローバル展開のサポートが可能になりました。Adobe Commerceが備えるVarnishのページキャッシング機能は、グローバルでのページロード時間の短縮と、パフォーマンスの大幅な向上に一役買っています。また、ショッピング可能なInstagramを開始したことで、モバイルからのコンバージョンが5%向上しました。
新しいPaul Smithのサイトは、6か国で展開され、2つの言語と複数の通貨をサポートしています。サイトの効率化の鍵は、デフォルトのサイト構造にかかっています。コンテンツの量を減らしつつ、各国がローカルでコンテンツを管理できるようにすれば、真のグローバルオペレーションを実現できます。また、Adyen決済のグローバルな導入により、オンライン購入と店舗での購入をシームレスに管理し、より多くの選択肢を提供できるようになりました。
Adobe Commerceへの移行後の6か月間で、同社の売上は15.5%向上しました。また、モバイルの顧客体験に注力した結果、モバイルユーザー数は8.6%増加し、モバイルコンバージョン率も5%向上しています。Paul Smithの場合は、シンプルさの実現こそが正解でした。今後、顧客のニーズがどのように変化しても、Adobe Commerceを活用して、乗り切る準備はできています。