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フォロー未完了リードを一掃し、商談率200%を達成したマーケターの奮闘

ソニーペイメントサービス株式会社

ロゴ が含まれている画像 自動的に生成された説明

創業

2006年

所在地:東京都

https://www.sonypaymentservices.jp/

前年比商談数

200%超

導入製品:

課題

・マーケティングから営業に引き渡すリードの定義がされておらず、一律の条件で営業へ送っていた

・問い合わせに折り返す電話がつながらなかったリードに対し、継続した追いかけやフォロー体制が確立されておらず、社内のリソース不足も重なりフォローができていなかった

・コロナ禍の巣ごもり需要があった2020年度の反動により、21年度序盤は実績が低迷していた

成果

・Adobe Marketo Engageによって資料請求のチャネルなどを分類。5段階のリードに定義し直した

・問い合わせを受けた翌日からMAを実行し、メール施策でホットなリードを維持。営業が即座にアプローチできる仕組みを構築

・MA施策とリードの細かい区分によって、成果につながるリードを多数獲得。

「マーケターは、様々な部署を結びつけることで企業を成長させる“要”の存在です。もっと積極的に、マーケティングについて社内で発信をしていきたいと思います」

目黒 あやめ氏

ビジネスプロモーション部門営 業企画部 マーケティング企画課 係長

クレジットカードをはじめ、スマートフォン決済などの決済代行サービスを手がけるソニーペイメントサービス株式会社。業容拡大の裏では、急増したwebからの見込み顧客情報をマーケティングプロセスの未整備によって活用しきれず 、機会損失を招いていたという。新たに着任した未経験のマーケターは、その状況をどうやって打開したのか。その取り組みを紹介する。

巣ごもり需要でオンライン決済が急増

同社は、ECサイトをはじめとしたオンラインサービス事業者や小売業者などに対し、決済代行サービスを提供している。昨今、消費者の決済手段は、クレジットカードやコンビニ決済、各種オンライン決済など様々な方法が普及。同社はそれらのほとんどに対応しているのが大きな強みだ。

コロナ禍でオンライン販売が一気に普及した一方、店舗での決済も非接触手段の導入が進み、同社への引き合いが増えているという。同業他社の決済サービスとの競争も激しくなり、企業規模の大小を問わず、新規顧客の獲得、既存顧客の乗り換えを含めたマーケティング活動が重要さを増している。

その中で同社は、2020年4月に顧客獲得強化のため、Adobe Marketo Engageを導入。主体となったのは営業チームで、当時営業企画部に所属していた目黒あやめ氏が導入を主導した。

「最初は、中小企業のお客様向けの問い合わせフォームを作るためにAdobe Marketo Engageを導入しました。以前は、問い合わせていただいた方へ手作業でメールを返信していたため、まずはそこを自動化できればと思ったのです」

導入当初は小さな役割しか持てなかったが、目黒氏は将来マーケティング活動が拡大してきたときのことも想定し、多機能なAdobe Marketo Engageを選んだと話す。

当時同社では、営業とマーケティングの業務は分断されており、リードを育成する施策も実施されていなかった。マーケティングチームは、webサイトやチラシなどのコンテンツ作成と更新に追われており、一方の営業チームは、webからの問い合わせをひとくくりの見込み顧客グループとしかとらえることができず、一から商談を始める必要があったという。

新米マーケターの単独挑戦

翌21年6月に目黒氏はマーケティング企画課に異動となったのだが、その頃の状況をこう説明する。

「当時、webフォームからのお問い合わせに対して、アウトバウンドコールの委託先が一度電話をかけて詳細を確認し、その情報を営業へパスしていました。ですが、問い合わせから初回コールの運用に課題があり、電話がつながらなかったお客様への再アプローチ等の十分なフォローができていませんでした。」

20年度は、コロナ禍でwebからの問い合わせが増加したものの、在宅勤務の影響で折り返しの電話がつながりにくくなり、コール成功率はコロナ前から約20%超の大幅な低下。その結果、十分なフォローができていないリードが 、数千件にも達していたという。

それでも、巣ごもり需要への対応により、全体的な商談数は大きく伸びていた。そのため目黒氏がマーケティング企画課に異動した21年度は、前年の数字をベースにさらに伸ばす強気の目標が立てられた。

ところが、コロナ需要は一巡しており、問い合わせ数は減少。第1四半期が終わったところでの商談獲得数は、前年同期比の約70%と急ブレーキがかかってしまったのだ。

「なんとしても、商談につながる見込み顧客を増やさなければいけない状況になっていました」。前述の通り、マーケティング企画課はコンテンツ制作中心に業務を進めており、専任のマーケターと呼べる人員は1人もいなかった。そこへ新任のマーケターとして乗り込んだ目黒氏の孤独なチャレンジが始まった。

営業企画部 マーケティング企画課 係長

目黒 あやめ氏

リードの推移を見える化し、目標を定める

目黒氏は、当時のマーケティングチームがリードの扱いで抱えていた2つの課題に注目。1つ目が、SQL(Sales Qualified Lead=マーケティングチームから営業チームに引き渡すリード)を定義し直すことだ。

「MQL(Marketing Qualified Lead=問い合わせなどでマーケティングチームが獲得したリード)からSQLに昇格する際の条件や定義が明確ではありませんでした。そのためマーケティングチームでは、MQLが入ってくるたび、これを営業に回していいのかどうか悩んでいました。ここを営業と協議してルール化することで、マーケティングチームの業務効率化と商談率の向上が図れると考えたのです」

2つ目が、前述した十分にフォローできていないリードの再活用だ。そこで目黒氏は「フォロー未完了リードゼロ」の方針を掲示。半減などでなく、ゼロにするという高い目標を設定した理由について目黒氏は、フォロー未完了リードを少しでも残しておけば、この先もAdobe Marketo Engageは「リード」と呼べるものをとりあえずいれておくだけの「生け簀」になってしまうからだと話す。

「ただ、膨大な数のフォロー未完了リードに対し、すべて電話をかけ直すことは非現実的でした。しかし、メールを使って何かしらのアプローチはできるはずです。すでに導入していたAdobe Marketo Engageを使って、すべてのフォロー未完了リードに対して施策を実行することを考えました」

この2つの目標の達成に向けて目黒氏が最初に取り組んだのが、リードに関する業務と営業プロセスの全体像の図式化だ。すると、実際にリード全体のうちでコールがつながるのは約30%、さらに商談へ移せるリードはその10%弱までふるい落とされていたことが分かったという。

「リードを細かく見るために、Adobe Marketo Engageのプログラムステータス機能を使いました。これまではリードのままか商談中かの2つの状態しかなかったリードを、見積もりフォーム以降のお客様のアクションによって細かく分類することにしました」

具体的には、リードに対して「問い合わせのみ」「資料ダウンロード済み」「商談中(見積もりフォームからの依頼)」「商談中(コールによる見積もり依頼)」「受注」の5つのステータスに分けることで、リードを温度差によって分類し、受注までの経路も明らかにした。

これをもとに目黒氏は、目標の一つであるSQLの見極めに取りかかる。それまではコール担当を経由したリードのみ営業へ渡していたが、電話をしていなくてもwebフォームから資料ダウンロードなどのアクションをしているリードも、自動的に営業に渡すことを考えたのだ。

しかし、営業サイドは人手を介さないこと、今までの運用と変わることへの不安を感じていたという。そこで目黒氏は、見積もりフォームからのリードのメリットやコールからのリードと見比べて、商談数と契約数への影響がどうなるかを丁寧に説明。最終的には営業の理解を得ることができた。

営業と一体となってリードの活性化を実施

さらに、営業チームから「温度感の高いリードは、問い合わせ後すぐに商談に持ち込める」というアドバイスを受けたことで、Adobe Marketo Engageから追加でメールを自動送信する施策を実施。

「当社としては、自動でメールを送る施策は不慣れで、不安の声が聞かれました。ただ、温度感の高いお客様は、対応が遅れると他社で契約をしてしまう可能性が高く、素早いフォローが不可欠だと考えたのです」

マーケティングチームでは、顧客がフォームに入力した日を起点にして、1日目、2日目、3日目……と細かく施策を分けたフロー図を作成し、アクションによってどう遷移するかを設計。「フォーム登録から1週間以内という短期決戦のプログラムのため、細かい条件分岐によってメールの出し分けができるAdobe Marketo Engageのスマートキャンペーン機能がなければ、実現は難しかったと思います」

フォロー未完了リードの活性化で目覚ましい成果

このような施策を実施することで、フォロー未完了リードがリサイクルされ、営業へ送るSQLの精度も改善。その結果、リードに対する商談獲得率は、施策実施前の21年7月時点の約13% と比べ、8カ月後の22年3月には50%以上へ劇的に向上。21年度の第1四半期に前年同期比約70%と沈んでいた目標達成率も、通期ではなんと200%を超えて着地した。コロナ禍の特需を大幅に上回る成果を達成したのである。

「最近では、お客様自身で様々な情報を収集、検討されています。そのため、当社にお問い合わせをいただいたときには、ほとんど決定していて、その日に契約いただくケースも多くなっています。企業側は、できるだけスピーディーに対応することで成果につながることが、今回の結果から分かりました」

今後、目黒氏は、営業チームに渡したリードのペンディング案件についても、なんらかの方法でリサイクルし、再度の商談へ持ち込むことができないか検討していく予定だ。一度営業チームがタッチした案件だけに微妙な調整が必要だが、これまでと同じく、データに基づく密なコミュニケーションで解決していきたいと考えているという。

目黒氏が所属するマーケティング企画課のメンバー。

左から目黒氏、黒岩氏、梅林氏、石川氏

コミュニティに助けられ、助ける立場に成長

Adobe Marketo Engageは多機能であるがゆえに、使い方次第で価値が決まる。同社は導入当初、フォームとしての利用しかできていなかったが、目黒氏はAdobe Marketo Engageのユーザーコミュニティに助けられ、MA(マーケティングオートメーション)として本領を発揮させることができたと話す。

「オンラインコミュニティで最初に質問の書き込みをするときは、1週間ぐらい文面を悩んで送信しましたが、すぐに元Adobe Marketo Engage Championの方から回答をいただき、感動したのを覚えています。困っていることがあれば、コミュニティ全体で助けてもらえる環境なのだと実感しました」

その目黒氏自身が自社のマーケティング施策の成果を認められ、22年のAdobe Marketo Engage Champion Marketer of the Yearに選出された。「ビックリしました。私は先輩たちと比べてまだまだなので、これから経験を積んで少しでも近づければと思っています」。

そう謙遜しつつも、目黒氏はチャンピオンとして自分にもできることがあると考えている。自身がそうであったように、知識が少なく孤独なマーケターを助けることだ。

「私自身、ユーザーコミュニティから多くのことを学びました。そして、他社にも孤独なマーケターが多くいることも知りました。これからマーケティングの世界に入ってくる新しい仲間には、『1人ではない』と伝えたい。課題や悩みを共有することで、一緒に成長していければと思っています」

先日、オンラインコミュニティへの書き込みに「回答デビュー」も果たした目黒氏は、Adobe Marketo Engageユーザー2年生のチャンピオンとして、確かな歩みを続ける。

※掲載された情報は、2022年10月現在のものです。

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