2016年、マーケターが顧客体験を実現するために重視していること

2019年1月15日


【POINT】

  • 7000人以上のプロのマーケターへの調査を踏まえ、2016年のデジタルトレンドレポートが、顧客体験に関するトレンドを報告している
  • マーケターはデータドリブンな(データ主導型)マーケティングに優先順位を置いている。なぜなら、データを熟知することなくして、マーケターが望む顧客体験を提供することはできないからだ
  • ワークフローと協働は、マーケティングがデジタル分野での発展を遂げ続けるに伴い、さらに重視されるだろうと予想される

マーケティング業界は疑いなく、大きく急速な変革期に置かれていると言える。そして、アドビのパートナーであるEconsultancyの発表した“2016 Digital Trends Briefing“(2016年デジタルマーケティングのトレンドレポート)によると、マーケターはかつてないほど、それらの変化と同調しているように思われる。レポートは、マーケターは顧客体験に注力しており、かつ、顧客体験を届ける施策へと、より力を入れていることを示している。

マーケターが直面している主な課題は、より複雑なものになってきている。事実、マーケティングに関連するテクノロジーとイノベーションの話となると、マーケティング領域と他の主要業務領域との区別が、より一層難しくなっている。

このような状況のために、マーケターが実際に何を考えているのか知ること、そして我々が行っているマーケティングトレンドの調査も、これまで以上にとても重要なものとなった。

顧客体験がマーケターの優先事項を決定する

2014年、顧客体験が、マーケターが優先事項と考える上位のうちの1つとして現れた。2015年、マーケターの優先事項の圧倒的トップとなった。2016年、顧客体験はマーケターの他の優先事項を規定し始めた。

これが今、追いかけるべきトレンドの特徴である。そのトレンドは実質的な必要から生まれたもので、他のビジネス施策や優先事項が、顧客体験を実現するための一過程として組み込まれるまでに発展するだろう。調査レポートはこのトレンドと、どのようにマーケターが顧客体験を定義し始めているかについて明らかにしている。

7000人以上のマーケターが参加した今年の調査レポートは、現在の顧客体験のトレンドについて明かす。たとえば彼らマーケターが最もエキサイティングに感じている機会は何なのかと質問してみたところ、回答は次の上位3点だった。

  • 「顧客体験の最適化」
  • 「顧客を動かす説得力あるデジタル体験のためのコンテンツを作ること」
  • 「個々人にフォーカスしたデータドリブンなマーケティング」

データを活かす機会への理解

多くの「現代のマーケティング」の話題は、データを重視し、データに依存しているビジネスの周辺分野にある。企業は、データとクリエイティブを組み合わせることにより、競争優位性を発揮するための潜在力を発揮する、ということを認識し始めている。さらに企業は、テクノロジー、戦略、コミュニケーション決定の中心にデータを置かなければならないことを認識している。データは顧客体験にとって非常に重要であるし、また賢いデータの使い方は、広告からサービスに至るまで顧客との交流を支え、促進するに違いない。今年の調査で、マーケティング業界の人々はこの機会を理解しているし、その機会を勝ち得るために障害を乗り越えるように取り組んでいることがわかった。

企業が今年優先する戦略として最も得票を得た回答は「データドリブンなマーケティング」だった。数字は53%で、過半数に達した。しかし、この情報をより包括的な文脈で捉えたとき、マーケターは顧客体験の代わりとしてではなく、顧客体験のためにデータドリブンなマーケティングに優先順位を置いていることは明らかである。データの扱いへの熟知なくして、彼らが望む顧客体験は提供できないからだ。 最高の顧客体験を届けるために、コミュニケーションを一貫した、継続的なものへと変革させることと並行して、マーケティングテクノロジーの潜在力を発揮できるように社内や業務プロセス、組織構造を再構築することが、企業の抱える大きな課題となっている。

ワークフローと協働

2016年版のトレンドレポートは、新たに、ワークフローと協働のあり方も注視している。この分野はマーケティングがデジタル分野での発展を遂げ続けるに伴い、多くの注目を集めると我々は信じている。ツール、テクノロジー、あるいはイノベーションといったものが有効性を発揮するのは、実際に業務プロセスに乗ったときだけである。それはつまり、社員、部門、企業全体が、より協調性を高めければならないということを意味する。

それは実際に調査結果でも裏付けられている。マーケターの実に94%が、クリエイティブのワークフローを最適化することは、最高の顧客体験を届けるうえで重要だと回答している。さらに91%のマーケターが、クリエイティブチームとマーケティングチームの協働体制をさらに強化することの重要性について言及している。

2016年のレポートは、かつてないほど多くのマーケターの回答サンプルから導き出されている。この勢いは、今回のトピックが彼らにとってどれほど重要なのかを示しているだろう。マーケティングが担うべき権限は増しており、他の既存の縦割り組織が担っていた役割をも取り込もうとしている。そうしたマーケティングの変革こそが、今後もビジネスを成長と成功へと導くための道筋となるだろう。

 

2016年2月1日 CMO.comの記事より

アドビ ヨーロッパ

デマンド&コンテンツマーケティング担当ディレクター

Simon Morris


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