この記事を共有する:

- 1 CMOがクリアすべき5つの新しい課題
CMOがクリアすべき5つの新しい課題
2016年08月12日
【POINT】
- あらゆるチャネルにわたるコミュニケーションについて、体験の連続性を保つことにCMOは苦慮している
- 新しい技術とチャネルの出現により、それぞれの場面(コンテクスト)に即したコンテンツが消費者に望まれている
- マーケティングエコシステムのあらゆる側面において、個人情報に関する戦いが発生している
2016年の4月1日、マーケティング テクノロジストのスコット ブリンカーは、「2045年までにはあらゆる技術の統一が行われ、マーケティングテクノロジー市場には、たったひとつのロゴしか存在しなくなるだろう」と予言した。エイプリルフールのジョークかもしれないが、あなたが2016年に開かれたマーケティング関連のカンファレンスにひとつでも出席したなら、何が起こってもおかしくないと思わせる大きな変化の波を感じたはずだ。
実際、多くのマーケターは、「デジタル変革は『新しい時代』に入った」と考えている。人々がいかに企業と関わり、商品を購入/消費/共有するかという総合的な体験に、大規模なディスラプション(破壊的な変化)が発生しているのだ。「ポストデジタル」と呼ぶべきこの新しい時代の様相は、ますます複雑化している。そのため、あらゆるコミュニケーションチャネルで体験の連続性を保つにはどうしたらよいのか、世のCMOたちは頭を悩ませている。
ここで、CMOとすべてのマーケターが直面している新しい5つの課題を以下にまとめよう。
1. 顧客体験中心型ビジネスを構築すること:
2016年3月に開催されたAdobe Summitからの最も重要な学びをひとつ選ぶとしたら、それは我々が「体験の時代」を迎えたという点につきる。消費者にとっての「体験」は、商品そのものよりも価値があり、影響力も大きくなりつつある。マーケターの課題は、テクノロジーをシームレスに展開し、一貫性のある「ブランドの声」とコンテクストを提供すること、そして、真の意味で「顧客を知る」ことだ。今現在5つ星クラスと見なされている体験も、明日には星が一つしかもらえなくなるかもしれないという現実を直視しなければならない。
2. 偏在化するチャネル:
デバイスとIoT(モノのインターネット)の普及により、消費者がデバイスやチャネルにとらわれない世界が生まれつつある。マーケターは、モバイル端末、自動車、スマートテレビなど、複数のデバイスに渡って連続性と一貫性の保たれた、しかもパーソナライズされた魅力ある体験を提供しなければならない。消費者がデバイスからデバイスへと移る間に、体験の分断があっては困るのだ。
3. コンテンツとコンテクストの融合:
仮想/拡張現実、IoT、ゲームの世界といった新しい技術とチャネルの出現により、それぞれの場面(コンテクスト)に即したコンテンツが消費者に望まれるようになっている。スマートTVとモバイル端末も、進化に伴い統合が進んで行くだろう。マーケターはこうした現状を考慮してエンゲージメントとコンテンツ消費のシフトについて再考していかなければならない。
4. 端末の不連続性:
Adobe Digital Insightsの調査結果によると、消費者は平均で7.2台のデバイスを所有しているが、そのうち毎日使うのは3台。マーケターが把握できているのは、このうち1.2台に過ぎず、スマートフォン、タブレット、デスクトップなどが入り混じっている。例えば、サイト訪問者のうち76%はwebサイトを閲覧する際にひとつのデバイスしか使用せず、同じウェブサイトを2台以上の端末で閲覧するのは24%にすぎない。これはマーケターにとって、複数の端末にまたがって体験の連続性を保つ「デバイスグラフ」により、より高度なパーソナライズ化を実現できる可能性を示している。
5. 個人情報と信用:
マーケティングエコシステムのあらゆる側面において、個人情報に関する戦いが発生している。企業にとっての課題は、支払いをはじめとする個人情報がかかわる分野においてプライバシーと利便性のバランスをとり、ブランドの信用を確立していくことだ。
今の時代、旧来のモデルと個別マーケティングが役に立たなくなったことだけは確かだ。マーケターは、消費者のライフサイクルという考え方をしっかりと認識し、エンゲージメント、データサイエンス、テクノロジーの力を融合させ、あらゆる顧客接点で連続性のあるデジタルエコシステムを形成していかなければならないだろう。