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- 1 顧客体験改善の第一歩:「カスタマージャーニーマッピング」がもたらす驚くべき5つのメリット
顧客体験改善の第一歩:「カスタマージャーニーマッピング」がもたらす驚くべき5つのメリット
2017年07月11日
【POINT】
- カスタマージャーニーマッピングのデザインに長けた企業は、顧客中心の思考を持っている
- カスタマージャーニーに注目している企業は、していない企業よりもマーケティング投資の回収率が50%以上も高い
- 自社ビジネスを顧客目線から見つめなおすことは、顧客によりよいサービスを提供する鍵となる
「カスタマージャーニーマッピング」で、顧客体験を改善

「カスタマージャーニーマッピング」に対する関心は高まっており、顧客体験の専門家だけでなく、あらゆるビジネスにおいて注目の話題となっている。
これは驚くべきことではない。カスタマージャーニーマッピングという手法には、顧客に関する知見を広げ、企業の内部効率を改善するフレームワークとしての実績がある。注目されるのは当然の話だ。実際、リサーチ企業のGartnerグループでは、社内にカスタマージャーニーマッピングをデザインする能力を設ける大企業の割合は、2015年の20%から、2018年までに60%に増加すると予想している。
もちろん、カスタマージャーニーマッピングは顧客体験を改善する唯一の方法ではない。しかし、「顧客体験改善のスタート地点」としてはうってつけの手法だ。設計と使い方を間違わなければ、顧客視点から自社のビジネスを見直すための強力なツールとなる。
適切に作られたカスタマージャーニーマップからは、顧客の要望、ニーズ、不満、改善の余地がどこにあるのかという点が、はっきりと見えてくる。カスタマージャーニーマッピングのデザインに長けている企業は、顧客中心の考えを持っている企業なのである。
カスタマージャーニー管理を実践する5つのメリット

まだカスタマージャーニーマッピングに取り組んでいない企業、あるいは、取り組み始めてはみたがフル活用には至っていない企業で、対応を急ぐべき根拠となる数字をいくつか紹介しよう。
テクノロジーサービス企業Aberdeenグループによるレポートでは、カスタマージャーニー管理プログラムを実践している企業と、していないすべての企業を、さまざまな側面で比較した結果を報告している。
カスタマージャーニー管理を実践している企業は、多くの利点を得ているが、このレポートでは以下の5つのメリットについて言及している。
(1) マーケティング投資の回収率(ROMI)が高い
購入者のジャーニーに注目している企業は、していない企業よりもマーケティング投資の回収率が50%以上も高い。
(2) ソーシャルメディアでの好意的なコメントが多い
当然ではあるが、カスタマージャーニーへの注目は、顧客体験の改善につながる。結果として、ソーシャルメディアでの好意的なコメントが25%近く多くなる。
(3) 顧客の口コミによる収益が高い
より優れた顧客体験は、よりポジティブな評判につながり、口コミからの収益が2.5倍以上にもなる。
(4) セールスサイクルが短い
セールスサイクル(コンタクトから購入までの平均時間)のスピードアップとは関係がないビジネスならば、この点は無視しても構わないが、カスタマージャーニー管理を行っていない企業のセールスサイクル短縮率は前年比0.9%だったのに比べ、行っている企業では16.8%を達成している。
(5) クロスセルとアップセルからの収益が大きい
クロスセル(関連商品の販売)とアップセル(上位商品の販売)で競合よりも55%も高い収益を得られる。
こうしたメリットこそ、カスタマージャーニー管理に急ぎ取り組むべき理由である。
カスタマージャーニー管理をはじめるために

カスタマージャーニー管理に取り組み始めるには、さまざまなやり方がある。カスタマージャーニーの知識を自社に取り入れていく方法について、まずは業界のエキスパートに話を聞いて見ることも、もちろん有用だ。
たとえば、顧客管理サービスを提供するMcorpCX は、ある大手生命保険企業で、カスタマージャーニーについての研修を行った。大企業らしく、集まったビジネスリーダーたちの職務は、幅広い分野に及んだ。高い関心を示し一番参加が多かったのは、企業に対してカスタマージャーニーマップを担う立場の業務部門のリーダーたち。その他にも、製品担当、コールセンター、投資管理、マーケティングといったさまざまな部署からの代表が集まった。
3日間の研修を終え、同社のビジネスプロセス管理VPは、以下のような感想を述べている。「なぜカスタマージャーニー管理というアプローチが効くのか、納得した。このプロセスは、我々の現行のソリューション定義と展開よりもずっといい結果を出し、何ヶ月分にもわたる時間と手間を省いてくれるだろう」
こうした反応は珍しくない。自社ビジネスを顧客目線から見つめなおすこと、すなわち「カスタマージャーニーを介した外からの目線」を持つことは、顧客によりよいサービスを提供する上で、大きな鍵となるのである。
CMO.com
関連資料
アドビは2017年6月、小売/銀行分野における消費者の購買行動に関する調査を実施しました。現代の消費者を取り巻く情報環境や消費行動を把握し、カスタマージャーニー、提供している顧客体験のあり方を見つめ直すヒントとしてぜひお役立てください。