この記事を共有する:

- 1 2020年「常時接続時代」に向けて。CMOの新しい役割「コネクテッド マーケター」とは
2020年「常時接続時代」に向けて。CMOの新しい役割「コネクテッドマーケター」とは
2017年07月11日
【POINT】
- 2020年までには、一人当たり10台のコネクテッド デバイスと、40のセンサーを所有するようになる
- CMOが率いる企業は、リサーチ、データ、データサイエンス、行動経済、体験マッピングを積極的に取り入れていく必要がある
- プライバシーは、21世紀が進むにつれ、マーケターにとって贅沢なものになっていく
コネクテッドマーケターとは

デジタルに依存した現代人は今、「コネクテッド」時代を生きている。コネクテッドとは、常時ネットにつながった状態のことだ。我々は、スマホなどの端末を肌身はなさず携帯していないと気が済まない。そうしたなか、業界ではそろそろ「コネクテッド マーケター」が台頭してもいい頃だという声が上がっている。
CMOにとって、新しいこの役割には、マーケティングの専門知識だけではなく、「フィジカル(実体)」と「デジタル」を融合する力が求められる。フィジカルとデジタルは、今や一体であるからだ。
このコンセプトは、2017年1月にサンフランシスコで開催された第1回「コネクテッド マーケター サミット」で詳しく議論された。 マーケティング企業のmCordis および Connected Marketer Institute の共同創立者であるポール バーニー氏は、イベント冒頭で以下のように述べている。
「モバイル端末は、今や我々の脳の一部となり、常に端末に気をとられている状態が当たり前になった。コネクテッド時代の企業は、フィジカル体験とデジタル体験を同期していかなければならない」。
増え続けるデバイスとセンサー

バーニー氏は、コネクテッド時代について、次のような洞察を披露している。
「2020年までには、一人当たり10台のコネクテッドデバイスと40のセンサーを所有するようになると予想されている。人の手が触れるすべての面がインタラクティブになり、『コネクテッド』を極めるブランド企業は、『フィジカル』『デジタル』『センサー』の3つを融合し、『感情的』な一体感を生み出すようになる」。
この新しい環境をフルに理解して対応していくため、CMOが率いる企業は、リサーチ、データ、データサイエンス、行動経済学、体験マッピングを積極的に取り入れていく必要がある。その上で、人々の生活において、どんな役割を果たすブランドを目指すのかを、決めていかなければならない。例えば、化粧品小売のSephoraは「キュレーター」、Amazonは「ガイド」、Googleは「側近」、Uberは「変革者」という役割を選んできた。
コネクテッド時代のカスタマージャーニー

もちろん、カスタマージャーニーはもはや一直線ではない。これからのカスタマージャーニーと呼べるものは、どうなるのだろうか。これを理解するうえで必要なのは、まずはセグメンテーションである。その次にペルソナ(対象とするユーザー像)、そして最後に顧客のプロファイルだ。モバイルはこれらの実現手段となりえるが、まだ難しい作業であることには変わりない。
ビッグデータは、小さな決断に貢献し、一人ひとりにあったメッセージを、適切な場所とタイミングを選んで届けられるようになる。しかし、ブランド企業が本来なすべきは、顧客にサービスを提供することにこそある。サービス提供において欠かせないのが、「理解」「認識」「自動化」「パーソナライズ」「コンテクストの関連性」などのキーワードだ。データは顧客個人にとっての“価値”を生み出すために使われなければならない。また、YouTube、Amazon、Facebook、Apple、Starbucksなどのブランドが、顧客の期待値を一新した事実をマーケターは直視しなければならない。今は、個人一人ひとりが担うマーケティングの規模をいかに拡大していくか、という時代なのだ。
21世紀のプライバシーとは

プライバシーに関しては、21世紀が進むにつれ、贅沢なものになっていく。個人情報は、「消費者に関するデータ」ではなく、「消費者が何を伝えようとしているかを表したデータ」になるだろう。個人情報の使用許可はプロセスであって、機会ではない。「サービス利用規約」に替わるものとして、「信頼規約」へのシフトを考えなければならないだろう。
最後に、バーニー氏は以下のように結んでいる。
「これからのマーケターは、データを捉えるとともに、その新しい使い方を見つけていかなければならない。サイエンスとアートを融合して新しい何かを創造する人、それがコネクテッドマーケターだ」。
CMO.com
関連資料
アドビは2017年6月、小売/銀行分野における消費者の購買行動に関する調査を実施しました。現代の消費者を取り巻く情報環境や消費行動を把握し、カスタマージャーニー、提供している顧客体験のあり方を見つめ直すヒントとしてぜひお役立てください。