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- 1 今、マーケティングオートメーション(MA)に必要なものとは? 4つの課題とその解決方法
今、マーケティングオートメーション(MA)に必要なものとは? 4つの課題とその解決方法
2017年11月14日
【POINT】
- 心地よい顧客体験は顧客の財布の紐をゆるませるが、悪い顧客体験は顧客を失うことにつながる。58%の顧客は嫌な体験をした企業を二度と利用しない
- デジタルで顧客に最適なコンテンツを届けることは、店頭における対面コミュニケーションと同様に、顧客にとってより優れた体験につながる
- マーケティングオートメーション(MA)を理想的に活用するためには、導入時に起きがちな4つの課題をスモールスタートで解決していくことが先決だ
マーケティングオートメーション(Marketing Automation以下MA)を導入、または導入を検討している企業は数多い。しかし、導入自体が目的となってしまっていたり、導入したものの理想的な活用ができていなかったりするケースもある。なぜ今、マーケティングオートメーション(MA)の活用が求められているのか。そして、MAの理想的な活用を実現するには何が必要なのだろう。
組織におけるマーケティングの役割は、以下の図のような伝統的なファネルを使って説明されることが多い。
商品/サービスを、購入/利用してくれる可能性のある人々に正しい手段でアピールし、検討段階を進めてもらう。さらに購入/利用してくれる顧客と正しくコミュニケーションを取ることで、固定顧客/ロイヤルカスタマー化する。

マーケティングオートメーション(MA)は、この一連の流れをデジタルで支援するアプローチだ。たとえば、webサイトを訪れてくれた顧客および潜在顧客に対して、複数のコンテンツ候補の中から、把握しているユーザー属性に最適なものを提供する。それは、店頭における対面コミュニケーションと同様に、顧客にとってより優れた体験につながる。
悪い顧客体験は、95%拡散される

心地よい体験を提供することは、顧客の財布の紐をゆるませる。ある調査によれば、86%の顧客はより良い体験に25%上乗せした価格を支払う。この結果は、「チップの文化がある国や地域も対象に含まれているためだ」とうがった見方もできるかもしれないが、「少々高いけれど、気分の良い接客をしてくれる店に行く」と置き換えれば、頷けるだろう。
一方、悪い体験は顧客を失う。調査会社Forresterの調査では、58%の顧客は嫌な体験を提供した企業を二度と利用しない。そればかりではない。SNSが発達した現在、その体験が拡散するのだ。ソフトウェア企業 Zendeskの調査によれば、95%の顧客は悪い体験を他者とシェアする。Harvard Business Reviewは「23%の顧客が良い体験をシェアしてくれる」という調査結果を発表しているが、これらの結果を素直に受け取れば、悪い体験をした顧客が4分の1であったとしても、市場では評判が拮抗することになる。
デジタルが顧客に与える「悪い体験」「良い体験」

「デジタルで顧客に悪い体験を与えることは少ない」と考えている企業も多いかもしれない。しかし、大量のメール告知に嫌気がさして配信拒否をした経験はないだろうか。これは、悪い体験で顧客を失った例だ。配信拒否をしてくれるならまだましだ。拒否された顧客に悪い体験をさせてしまったことから学習し、次の施策に活かすことができる。ただ、フィルタリングでゴミ箱に直行する設定をされては手の施しようがない。
逆の見方をすると、「デジタルだけでより良い体験をしてもらうことは難しい」と感じるかもしれない。確かに、それは永遠の課題だろう。それでも、「何もしない」という選択肢はない。webサイトを設置して、そこを訪れてくれる顧客がいることも、デジタルマーケティング活動の一部だ。そして、彼らを知り、何らかの手段でコンタクトを取り、潜在顧客を顧客へ、さらにロイヤルカスタマーへと育成することが、マーケティングの役割だ。そして、その流れをサポートしてくれるツールがマーケティングオートメーション(MA)なのである。
理想のマーケティングオートメーション(MA)を阻む、4つの課題

上図はマーケティングオートメーション(MA)の利用サイクルだ。カスタマージャーニーを定義し、その上でPDCAサイクルを回す。顧客とのタッチポイントはwebサイトやSNS、メール、アプリ、DM、広告など、さまざまだ。それらを統合して、顧客に最適なメッセージを届けることが求められる。
しかし、「マーケティングオートメーション(MA)を導入しても、思うように活用できない」という声も聞こえてくる。その理由はどこにあるのか。活用を阻むのは、マーケティングオートメーション(MA)導入後に起こりやすい以下の4つの課題である。
(1):データ
データの突合に時間がかかるため、業務負荷が高く、タイムリーに情報を活用できない
(2)システムの課題
使いたいときにパフォーマンスが不足し、配信成功率が低くなってしまう
(3)チャネルの課題
チャネルごとに管理部署/システムがバラバラで、統一されたメッセージを配信できない
(4)スキルの課題
デジタルマーケティングに特化した新たなスキル習得が求められる
4つの課題をクリアにし、理想のマーケティングオートメーション(MA)利用を叶える方法

これらの課題を抜本的に解決するためには、デジタルマーケティングを統合的に管理するプラットフォームと、それを運用して業務効率を高めるためのスキルセットが必要になる。とはいえ、壮大な施策の枠組みをすべて実現し、それに見合う利益を得られるまでに時間がかかる。理想はスモールスタート。先述した4つの課題解決に的を絞って、小さなところから取り組みを始めることが理想だ。
そのソリューションの代表例として、Adobe Campaignが挙げられる。これは、Adobe Experience Cloudを構成する機能の1つであり、単体で利用することもできる。
アドビのクラウドサービスは、環境が利用組織ごとに切り分けられており、システムパフォーマンスおよびセキュリティ面で安心だ。たとえば、他の利用企業が大量メール配信をしたい時間と重なっても、コンピューティングパワー(コンピューターの処理能力)とネットワークは各利用企業へと確実に割り当てられるため、遅延が発生するリスクは極めて少ない。顧客情報を社外に置けないセキュリティポリシーを定めている組織は、コンピューティングパワーだけをクラウドで利用し、顧客データは自社内サーバーで管理する運用形態を取ることもできる。
社内であれクラウドであれ、顧客データはAdobe Experience Cloudという大きなプラットフォームの上で管理される。そのため、データはいつでも利用することができ、チャネルごとに担当部門が違っても同じデータを利用できる。履歴管理も共通化されるため、他のチャネルを担当する部門の行った施策の結果を確認しながら、顧客ごとにコンテンツを最適化しながら、一貫したメッセージを届けることができる。
スキルはどのように高めればいいのか

Adobe Campaignで成果が見え始めると、次の展開に移る。たとえば、顧客のweb行動データを分析するAdobe Analyticsと組み合わせることで、より鮮度の高いデータにもとづくタイムリーなコンテンツ配信が実現する。オウンドメディアでパーソナライズしたコンテンツを届けるためには、Adobe Targetが適任だ。ただ、それは次の課題。まずは、Adobe Campaignで成果を確実に出すために、マーケティング担当者のスキルアップを果たすことを考えたい。
前に挙げた4つの課題の中で、スキルの課題は率先して取り組まなければならないことになる。システムが変われば、仕事の進め方も変わる。すべての担当者が速やかに適応することが、早期の成果につながる。
そこでアドビは、Adobe Experience Cloudユーザーに対して、手厚いサポートを提供している。導入前に行う一般的なwebの基礎知識のレクチャーから、運用を始めてから臨機応変な変更が必要になるPDCAやデータ活用の見直しサポートなど、その範囲は幅広い。さらに、ニーズに最適なサポートサービスを専任コンサルタントが開発することもある。
適切なサポートを受け、担当者のスキルが高まれば、業務効率は向上する。顧客行動が複雑化したいま、伝統的なファネルを超え、顧客の辿る道筋(カスタマージャーニー)をきちんと捉えなければならない。それは自動化できない。ビジネスをもっともよく知るマーケターこそが、それを模索しなければならないのだ。だから、自動化できる作業をツールにまかせれば、マーケターは本来の業務である施策の検討や改善案の模索などに、ふんだんに時間を割けるようになるはずだ。
マーケティングオートメーション(MA)に真剣に取り組みたい組織は、こうしたサポート面も含めて、Adobe Experience Cloudの価値とAdobe Campaignによるスモールスタートを検討してほしい。
UNITE編集部
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