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魅力的な視聴覚体験を解き放つ「デジタルアセット管理」とは何か

2019年6月17日



【POINT】

  • 人々の視聴覚に訴えるデジタルアセットは、企業のメッセージやブランドの世界観を表す「資産」である
  • これまでのデジタルアセットの企画、制作、保管、再利用の課程で使われてきた枠組みでは、非効率なだけでなく、本来の目的さえ適切に果たせない
  • デジタルアセットの再利用という流れを阻害する3つの壁を取り払うことが、魅力的な顧客体験を解き放つことにつながる
 

顧客体験を形作るデジタルアセット

顧客体験を形作るデジタルアセット

人々は世界を認識するとき、感覚器官を通じて外部の情報を取り込む。人々の情報源としてデジタルの果たす影響が大きくなった今、味覚や嗅覚のデジタル化はまだ黎明期だが(そして今後の可能性に期待が寄せられているものだが)、視覚と聴覚は身近でデジタルとの相性もよい。そのため多くの企業が、視覚や聴覚を活用したデジタルコミュニケーションを展開している。

視聴覚に訴える情報は、キャッチコピーや説明文、画像やイラスト、音声や音楽、動画やアニメーション、さらには3DやVRなどの素材として表現される。デジタルで表現されたこれらの素材は、企業のメッセージやブランドの世界観を表す重要な「財産」「資産」(=Asset)であることから、「デジタルアセット」と呼ばれる。

企業が潜在顧客に訴求するとき、デジタルアセットは広告やソーシャルなどを通じて顧客に展開される。広告に興味を持った見込顧客に、webサイトや実店舗で詳しい情報を届ける際も、デジタルアセットが活躍する。購入後の調べ物などの場面でも同様。顧客がカスタマージャーニーのどの段階にいたとしても、視聴覚表現を通じて相手を惹きつける体験を形作るのが、デジタルアセットの重要な役割なのだ。

デジタルアセット管理とファイル共有

デジタルアセット管理とファイル共有

当然ながらデジタルアセットは、誰かの企画、制作を経て保管され、時や場面や用途に応じて組み立てられ、何らかの伝達手段を通じて顧客へと届く。そして加工や改訂などを経ながら、情報が役目を終えるまで、繰り返し再利用される。すべてのデジタルアセットが辿るこの一連の過程では、役割や目的の異なる実に様々な登場人物が関わる。そこで、利用者の生産性とアセットの再利用性を最大化するために生み出されたのが、一連の過程を集中管理する「デジタルアセット管理(DAM)」という考え方であり、そのためのシステムである。

DAMという用語は、日本では頻繁に耳にするほど広く普及している訳ではないが、その歴史は意外に長く、米国ではそれなりに認知されているようだ。

では日本企業において、デジタルアセットはどのように管理されてきただろうか。方法としてFTPサーバーや共有ファイルサーバー、ポータルとエクストラネット、文書管理システムや社内向けコンテンツ管理(ECM)システムなどが挙げられる。メール添付やファイル共有サービスとの併用、最近ではクラウドストレージで済ませている企業もあるだろう。

ビジネス実務の最前線で、「制作者から利用者へアセットを送る」「ある限られたメンバー内でアセットを共有する」ための用途としては、これらで機能してきた面はある。必要性に駆られて採用されているこうした手法が、米国でDAMとして知られた概念に一部似ている点があることは確かだ。しかしそれらだけではDAMという概念を満たすことはできない。

DAMの本来の目的は、すべての関係者の利便性とアセットの再利用性の最大化にあるからだ。

デジタルの流れをさえぎる要因3つ

デジタルの流れをさえぎる要因3つ

DAMという概念が認識されているか否かに関わらず、人々の視聴覚に訴えるデジタルアセットを最大限再利用するために、一部の企業ではDAMシステムが導入され、他方ではECM、ファイル共有やファイル転送などが使われてきた。

従来型のDAMもさまざまな代替手段も、実のところ、いま求められているデジタルコミュニケーションのニーズからすると、役不足なのは否めない。人々の興味関心の移ろいは早く、デジタルはそれを加速させている。その流れの早さに、企業も乗らなければならない。

しかしこれまでの枠組みのままでは、デジタルアセットの再利用を阻む様々な要因が、まるで流れをさえぎるダムの「壁」のように立ちはだかってしまうだろう。非効率なだけでなく、視聴覚に訴えるというデジタルアセット本来の目的さえ適切には果たせない。

壁となる要因には、以下の3つが考えられる。

デジタルアセットの再利用を阻む壁(1):クリエイターとマーケターの間

デジタルアセットの再利用を阻む壁(1):クリエイターとマーケターの間

企業がデジタルアセットを新規制作する場合、企画者と制作者は別の人物であることが多い。事業会社のマーケターが企画者であれば、企画者の依頼先となる制作者は、別部門のクリエイター、関連会社のクリエイティブチーム、あるいは制作会社やクリエイティブエージェンシーかもしれない。

クリエイターはマーケターとコミュニケーションしながら、多様な顧客ニーズに応じて異なるメッセージを、個別のデジタルアセットへと落とし込み、制作する。両者の間でアイデアが練られ、磨かれてゆく。これが顧客ニーズのバリエーションの分だけ繰り返される。成果物としては、伝達手段となるチャネルの種類別にも用意されることもある。

この制作過程では、締め切りという限られた期間のなかで、価値観や場所や時間さえ超えながら、想いを伝え、確認し、調整することになる。視聴覚という感性は、必ずしも言語化しやすいものではないため、着地点を探るのも容易ではない。制作過程で素材を互いに確認しながらの作業でなければ、両者のコミュニケーションの壁を取り除くことは難しい。

デジタルアセットの再利用を阻む壁(2):部門間やチーム間

デジタルアセットの再利用を阻む壁(2):部門間やチーム間

デジタルアセットは、企業のメッセージを体現する。企業内の各部門から発信されるメッセージの一貫性を保つために、メッセージを発信すべき全部門でデジタルアセットは共有され、使われるべきだ。そうしなければ、似たようなアセットを別々の部門で重複して制作する、印象の統一されていないアセットが乱立する、といった事象がおきてしまう。

またデジタルアセットの用途は、発信される経路、すなわち顧客接点を問わない。広告、自社サイト、ソーシャル、メール、印刷物や店頭ポップに至るまで、デジタルアセット素材を場面や用途に応じて展開できなければならない。デジタルアセットのバリエーションは、無限とまではいかなくとも、膨大なものとなる。

そしてデジタルアセットは、社内へ無制限に共有するだけでなく、ガバナンスも効かせなければならないことも多い。商用ストック素材を利用している、あるいはタレントを起用しているなら、著作権や契約期限の厳密な管理も問われる。

デジタルアセットの再利用を阻む壁(3):利用者と顧客の間

デジタルアセットの再利用を阻む壁(3):利用者と顧客の間

デジタルアセットを企画し、制作し、それが公開されて顧客の目に触れるまでは、そこに含まれる視聴覚情報が、本当に顧客を惹きつける魅力的な体験になるかどうかは判らない。そこに込められた情報は、あくまでデジタルアセットを利用する企業側の仮説でしかない。デジタルアセットの役割として真価が問われるのは、公開されたときからなのだ。

いったんデジタルアセットを組み立てて公開した後、顧客がどのように感じたかを顧みたとしよう。その顧客の反応を定量化できたなら、体験の善し悪しを判断する材料になるかもしれない。とはいえ、その把握は容易でないだけでなく、改善点を見つけ出す課程にも試行錯誤が必要だ。改めてクリエイターに依頼し、デジタルアセットの表現に反映したころには、すでに顧客は関心を失っているかもしれない。

デジタル時代にふさわしいDAMとは

デジタル時代にふさわしいDAMとは

デジタルアセットの再利用を妨げる様々な壁を取り払うためには、あらかじめそのように想定されたシステムを活用すれば良い。アドビのガイド『アセットの壁の向こう側へ:人々を惹きつける視覚表現を妨げる要素とその解放』では、魅力的な顧客体験を提供するための情報基盤として、デジタル時代の要件を満たすよう設計された次世代のDAMの姿を解説している。これまでの枠組みの壁を取り払い、デジタル化のさらなる進化を見据えて、デジタルアセットを自在に解放し、魅力的な顧客体験を提供したいビジネスパーソンの強力な味方になるはずだ。

 

UNITE編集部


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