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- 1 金融機関のCXM事例(2) USAA:社内プロセスを再構築する
金融機関のCXM事例(2) USAA:社内プロセスを再構築する
2020年2月21日
「金融機関のCXM事例(1)」では、デジタル体験のサイロを顧客起点に変える価値について述べた。組織起点の「万人向け」の金融サービスは、結果的に誰のためのものにも成り得ない。顧客起点に変えることで、「一人ひとりための金融サービス」になるのだ。
シリーズ2回目は、社内組織のビジネスプロセス変革について見ていこう。取り上げるのは、老舗金融機関のUSAA(United Services Automobile Association)だ。
USAAは米国の軍人およびその家族を顧客対象として、1922年に創業された金融機関だ。銀行サービスに加えて、保険などさまざまな金融商品を取り扱う。95年の歴史を誇る、軍人向けのサービスを提供する組織。世間からは「お堅い」イメージで見られ、実際に企業文化は堅実なものだったが、顧客体験管理に取り組むに当たり、マーケティング部門を徹底的に変革した。
顧客の変化に対応するため、顧客体験管理は必然

USAAにとって、デジタル推進と顧客体験管理へのフォーカスは必然のことだった。2018年の段階で、約90%の顧客がデジタルチャネルを通してアクセスしてきていた。なかでもモバイルは、2014年に比べて56%も顧客との接触が増えている。デジタルファーストな顧客に対し、優れた体験を提供するには、既存のやり方ではもはや通用しない。デジタルのスピードに組織を合わせるため、マーケティングプロセスを再整備する必要が出てきたのだ。
そこでUSAAは、小規模なチームを機動的に動かすことで、アジャイル組織、すなわち俊敏なマーケティング組織の実現を目指した。チームを戦略立案部隊と実行部隊に分け、マーケティング施策ごとに組み替える。そして施策全容(ポートフォリオ)から施策群(プログラム)、個別施策という階層構造をもとに、優先度付け、施策状況の可視化、試行、改善をすばやく繰り返す。これにより、顧客の変化に合わせて最適な戦略を組み直しながら施策を進化させることができる。
高い成果を挙げたのは、新規顧客獲得からファン化へのプロセスだ。初期6~18ヶ月が顧客定着化への肝で、この期間に最適な提案を繰り返し、優れた体験を提供することで、顧客ロイヤルティは高まる。そして、満足のいく体験を得た顧客は、その体験を周囲の人たちにシェアしたくなる。顧客ターゲットが絞られるビジネスにおいて、顧客が顧客を紹介してくれるサイクルは効果的だ。
「マーケティング部門として、デジタルを通じて顧客にどのような体験を届けるべきか、組織が成熟するに従ってどこへ向かうべきか、責任を持つことが大事です」。
記事「金融機関のCXM事例(3)」へ続く
「金融機関のCXM事例」シリーズ
UNITE編集部
関連資料
金融機関の成功は、顧客との「つながり」にかかっています。デジタル技術を活用することで、店頭では実現できない、大規模で一貫性のある顧客体験を提供することができます。
そのスタート地点になるのが「データ」。金融機関が連続性のある顧客体験を提供するために、データとどのように向き合うべきかを解説します。
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作者 UNITE 編集部
アドビがお手伝いします
企業のデジタル変革は、組織横断の幅広い取り組みとなります。これには、新たな経営戦略、組織編成と人材育成、ビジネスプロセスの刷新、そして「顧客体験のための企業システム基盤」の構築などが含まれます。
アドビはこれまでも、グローバルで多様な業界のブランド企業のために、テクノロジーとサービスを提供してきました。それが、顧客体験管理(CXM)のためのプラットフォームであるAdobe Experience Cloudと、アドビコンサルティングサービスです。顧客インテリジェンスやDMP(データ管理プラットフォーム)、リアルタイムCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったデータ基盤の構築、パーソナライゼーションに欠かせない膨大なコンテンツを生成し活用するためのコンテンツ基盤の構築にご興味をお持ちの方は、アドビへご相談ください。