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カスタマージャーニー管理:自発的に行動する一人ひとりの一瞬に寄り添う適切な体験を届けるには

2020年4月17日

日々の生活の中で、私たちは数多くの企業から、さまざまなメッセージを大量に受け取っている。セールや新商品について紹介する電子メール、スマートフォンアプリからの通知など…では、私たちはそれらすべてに目を通しているだろうか?

答えは否だろう。たとえ自分の好きなブランドであったとしても、もし毎回同じような内容だったなら、見ないかもしれない。

これは多くの企業が持つ課題だ。企業の身勝手なキャンペーン施策では、顧客には響かない。世の中にあふれる大量のメッセージのなかから、自社のメッセージを的確に見てもらうためには、顧客が「いま」、「どんなニーズを抱えていて」、「それを充たすことのできる自社もしくはパートナーの商品やサービスは何で」、「どんなチャネルを使って」、「どういうスタイルで伝えてほしいのか」を整理し、それに沿って適切なメッセージを届ける必要があるのだ。キャンペーン施策のあるべき姿は、その双方向性にある。

潜在客か既存客かを問わず、人々は「企業が自分のことを理解してくれている」ことに期待している。そして、企業との関わり方やそのタイミングの決定権は顧客側にある。

顧客がメッセージを目にしたとき、そこには何らかの感情が生まれる。この微細な心の揺れこそが、顧客にとっての「体験」だ。企業に対するロイヤルティは、メッセージのやり取りのたびに上下する。

顧客プロファイルをもとに、「一瞬」のニーズに応える

顧客プロファイルをもとに、「一瞬」のニーズに応える

企業は顧客一人ひとりの一瞬を捉え、適切な方法で応える必要がある。それを具現化する考え方が、Adobe Summit 2020のInnovation Tracksにおいて語られた。

顧客一人ひとりと関わるのは、動く標的を狙うようなもの。ちょっとしたパーソナライズでは十分ではない。顧客とのやり取りを時系列に蓄積し、次に提供できる体験について考える必要がある。

そして考えなければならないのは、デジタルの接点だけではない。店舗での接客などリアルなコミュニケーションも、顧客を取り巻く「体験」だ。デジタルかリアルかを問わず、顧客とのやり取りを行い、その反応を的確に把握したうえで、以降のやり取りを調整しなければならない。この過程では、あらゆる接点での顧客の反応を統合的に把握し、数多くの情報を網羅することになる。その中核となるのが「統合顧客プロファイル」だ。

一人ひとりのプロファイルを常に保ち、そのときの顧客の状況、すなわちコンテクストに応じて、コミュニケーションを行う。この作業は規模が大きく精度を高めるにつれ、指数的に複雑化していく。そのため、AIの力を借りて運用することも求められる。

カスタマージャーニー管理により、「いま」「最適な体験」を「最適な方法」で提供

カスタマージャーニー管理により、「いま」「最適な体験」を「最適な方法」で提供

こうした課題を解決しようとする取り組みが、カスタマージャーニー管理(Customer Journey Management)だ。

カスタマージャーニーはこれまで、あくまで企業側の“想定”のもとで作られてきた。しかし顧客は想定通りに行動するとは限らない。むしろ、自発的に行動するはずだ。

そこでカスタマージャーニーを、顧客を中心に考ええなおす必要がある。顧客一人ひとりにとって「いま」「最適な体験」とは何か。どのようなチャネルを通じて情報を得たいのか。そして、企業からの情報を受け取った顧客は、どのように感じたのか。このような、一人ひとり顧客の状況すなわちコンテクストを理解し、感情の変化を理解し、それに応じて対応を都度調整する、という一連の作業を随時行うことによって、それぞれの旅路に寄り添うのだ。

カスタマージャーニー管理実現に向けた、Adobe Campaignの進化

カスタマージャーニー管理実現に向けた、Adobe Campaignの進化

顧客中心のカスタマージャーニー管理は、企業中心からの大きな転換だ。無論、選択肢は顧客の手にあるので、いつ、どこで、何を、といった主導権は顧客に移る。デジタルかリアルかという区分も意味をなさなくなる。企業は、把握しうるあらゆる顧客接点を俯瞰し、有機的に対応できる体制を布陣しなければならない。そのためには、顧客中心の組織風土に経営陣がコミットし、経営戦略として組織全体に浸透させる必要がある。そして、メッセージ、チャネル、顧客データを最適に組み合わせる施策運用の巧みさ、それを推進する人材の習熟なども欠かせない。このような変革は一朝一夕には難しいかもしれない。ロードマップを持ち、段階的に成熟度を高めていくのが現実だろう。

アドビは、カスタマージャーニー管理に取り組もうとする企業の成熟度に応じて、幅広いソリューションを展開している。その取り組みの端緒としてもっとも取り組みやすいのが、Adobe Campaign Standardだ。Adobe Campaign Standardは、電子メールを始めとするチャネルを通じて顧客にメッセージを送り、それに対する顧客の反応を顧客プロファイルとして蓄積、その反応に応じて次の施策を展開する。

市場には、配信リストとメールクリエイティブを預けると一斉配信を行ってくれる電子メールサービスプロバイダー(email service provider: ESP)と呼ばれるサービスベンダーが多数ある。ESPの中には、セグメント配信、ステップ配信、トリガー配信、条件分岐シナリオ配信、あるいはリード管理や件数レポートなど、などのやや高度な機能を提供し、これをもって「マーケティングオートメーション」とうたう場合もある。しかしESPで実現できることには、自ずと上限がある。手作業の多さも解消できない。そのままでは、それ以上に高度なカスタマージャーニー管理は、望めないのだ。

Adobe Campaign Standardはクラウドネイティブなアプリケーションで、ESPのような敷居の低さで始めながら、徐々に高度な施策へと取り組みを深めていくことができる。もちろん、電子メールだけがチャネルではない。PCやスマートフォンだけが顧客接点ではない。多様なチャネルやデバイスを組み合わせた施策、すなわち「クロスチャネルキャンペーン管理」にも、スムーズに移行できる。

また、カスタマージャーニー管理には、顧客理解が欠かせない。例え顧客との最初の接点で得られた情報がメールアドレスだけだったとしても、コミュニケーションを重ねることで、得られる情報の粒度を深めていくことは可能だ。しかも、顧客のプライバシーに最大限の配慮をしながら顧客の同意を得て、サイト内行動、プロファイル情報、購買履歴など、徐々に情報の粒度を詳細化していくことができる。そうした顧客プロファイル収集には、施策の成熟度に応じて発展できる包括性と、セキュリティを担保する仕組みを兼ね備えた、堅牢なデータ基盤が必然となる。その点も、Adobe Campaign Standardは万全だ。

カスタマージャーニー管理実現に向けた、Adobe Campaignの進化

これまで日本語化された製品として国内にリリースしていた製品は、Adobe Campaign Classicと呼ぶ。フルスケールの機能を備える一方、手軽に始められる機敏さを求める声も待望されていたため、2020年3月、Adobe Campaign Standardも国内に提供開始に至った。ただ、グローバルでは以前から提供され進化を続けており、Adobe Summit 2020でも大きな機能強化の発表があった。そのひとつがAdobe Experience Platformとの統合だ。これにより、オフラインやサードパーティアプリケーションを含む多様なデータをリアルタイムやバッチで集約し統合する、データレイクとしての能力を持つAdobe Experience Platformを、統合顧客プロファイルとして活用できるようになったのだ。これによって例えば、政府統計のようなオープンデータ、天気予報のような外部データ、POSやSCMなどの自社基幹システムデータなどを、顧客体験の最適化のために活用できるようになる。またCRM連携の面では、アドビとマイクロソフトとの戦略的アライアンスによって、Microsoft Dynamics 365との統合が強化されており、マーケティングと営業のワークフローを効率化する、セールステックとしての側面も拡張された。

Adobe Campaignから始まる高度なカスタマージャーニー管理への道筋

Adobe Campaignから始まる高度なカスタマージャーニー管理への道筋

さらに、クロスチャネルキャンペーン管理アプリケーションのAdobe Campaign Standard、顧客体験のためのデジタル基盤であるAdobe Experience Platformに加え、さらなるリアルタイムなカスタマージャーニー管理のためにリリースされたのが、Journey Orchestrationだ(別途解説を予定)。これらの幅広い製品ポートフォリオによってアドビは、電子メールマーケティングの一歩改善から、一人ひとりのニーズをリアルタイムに予測し対応する高度なカスタマージャーニー管理まで、企業の顧客体験管理の成熟度に応じて答えることができる。

あるべきカスタマージャーニー管理への道筋は、すでにある。そこで企業は、自社のビジネス目標や顧客対応戦略をもとに、キャンペーン施策を展開していくべきかについて、自社に見合った顧客体験管理のプレイブックを整備し、実践しながら、組織の能力を高めていくとよいだろう。その顧客体験管理という企業のジャーニーに寄り添うために、アドビのテクノロジーやソリューションはあるのだ。

Adobe SUMMIT 2020

カスタマージャーニー管理についての動画配信は、こちらからご覧いただけます。

 

UNITE編集部


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