2020年 デジタルトレンド調査: AI投資への意識からみえてくるもの

2020年5月22日


この10年、デジタルによって企業と顧客の関係は大きく変化した。そして今後も、変化はたゆむことなく続いていくだろう。そうした変化に企業が対応し、あるいは変化を機会に変えるために、常に変革を求められるだろう。進むべき方向性を探るとき、業界のトレンドと自社の立ち位置を比較してみると、参考になる。

アドビは調査会社Econsultancyと協力し、グローバルなデジタルトレンドを年次で調査している。その結果をまとめたレポート『Digital Trends』 は、市場のトレンドを探るうえで参考になるだろう。この調査は欧米企業を対象として2011年に始まり、定点観測が毎年行われてきた。10年目の節目となる2020年版では、対象地域に日本を含むアジア太平洋地域が加えられた。この調査は、マーケティング、広告、eコマース、クリエイティブ、ITの各分野における企業や代理店のリーダー約13,000人を対象としている。そして、マーケティング戦略、企業による投資、消費者行動の原動力となる業界の最も大きな変革になどについて深い考察がまとめられている。

10年でテクノロジーは大きく進化し、真のパーソナライズは手の届く技術に

10年でテクノロジーは大きく進化し、真のパーソナライズは手の届く技術に

2011年当時は、「アーンドメディア」という言葉すらない時代。テレビ対デジタルという対立軸が議論の中心だった。しかし、企業が顧客に対してデジタル体験を提供する目的は、当時から変わっていない。インタラクティブなチャネルを通じて、いつでも、どこでも、あらゆるデバイスを通して、顧客それぞれに最適な体験を提供することだ。

この10年で、テクノロジーはドラスティックに進歩した。10年前にも「パーソナライゼーション」の重要性は理解されていたが、技術的にセグメンテーションを切るところに留まっていた。

しかし、いま市場におけるパーソナライゼーションは、真に1人の顧客を対象にすることを可能としている。「個々の顧客が経てきたカスタマージャーニーを分析する技術」により、カスタマージャーニーを適切に管理し、一人ひとりに適切なサービスを提供するパーソナライズが実現できる。

顧客体験における先進企業はAI投資に積極的

顧客体験における先進企業はAI投資に積極的

ただし、有益なパーソナライズを実現するためには、一人ひとりの趣味や嗜好をリアルタイムに見極めながら、適切なサービスを提供するという作業(行為)を、リアルタイムかつ大規模に展開する必要がある。

こうした状況において、Digital Trend 2020の主題の1つに挙げられているのがAIだ。

「AIを使うか、それとも使わないか」という論点は、もはや無い。「AIが自然に使われている」ことは大前提として、AIおよびマシンラーニング(機械学習)への投資がもたらすメリットについて分析されている。

調査では、回答群を企業規模とAIの導入状況によって分類し、比較を行っている。それによると、顧客体験における先進企業とそうではない企業との間に、有意な差が見られた。

先進企業の逆転が起こる可能性も

先進企業の逆転が起こる可能性も

とはいえ、AI投資はまだ伸張期にある。レポートでは、パーソナライズが進めば進むほど手作業での対応は不可能になると指摘した上で、そのためにAIやマシンラーニングが最適なソリューションになるとしている。現時点で「2:計画中」の企業は、近い将来「1:導入済み」のステータスに変わることが想定される。AI投資は顧客体験の先進性を左右する要素になるため、AI投資を行わない企業群は、その地位から転落してしまうかもしれない。一方、AI投資に積極的な企業群は、パーソナライズへの取り組みの素地を備えていると言えよう。

AIは、『Digital Trends 2020』における主要なテーマだ。そのほかにも、レポートは短期から中期的なマーケティング戦略における最も重要なトレンドに注目し、以下の5つのテーマにおける調査結果とそれにもとづく提言がなされている。

  1. 「デジタル格差が生み出す差異」:先進企業の懸念店は景気後退への不安ではなかった。それは何か?
  2. 「顧客の状況に応じた戦略」:カスタマージャーニーを管理する情報基盤を整備している企業はどれくらいあるか?
  3. 「企業文化の変革」:人材のトレーニングにおいて先進企業に共通する傾向には、どのようなものがあるか?
  4. 「これからのデジタル体験を左右する顧客データ管理」:高度に統合されたクラウド型テクノロジーに投資している企業はどんな考えを持っているか?
  5. 「AIを活用して、戦略的な業務に専念」:AIへの投資がもたらす様々なメリットとは何か

こうしたトレンドを知りたい方は、ぜひ調査レポートを一読してほしい。

UNITE編集部


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Digital Trends 2020年版(総合レポート編)

アドビが調査会社Econsultancyに委託し、グローバルで毎年実施しているDigital Trends調査。各業界の状況、ビジネス目標を達成するために重視されていること、直面している課題などをテーマとし、企業を取り巻くデジタルトレンドの現在地と、向かうべき方向性を明らかにします。

 


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企業のデジタル変革は、組織横断の幅広い取り組みとなります。これには、新たな経営戦略、組織編成と人材育成、ビジネスプロセスの刷新、そして「顧客体験のための企業システム基盤」の構築などが含まれます。

アドビはこれまでも、グローバルで多様な業界のブランド企業のために、テクノロジーとサービスを提供してきました。それが、顧客体験管理(CXM)のためのプラットフォームであるAdobe Experience Cloudと、アドビコンサルティングサービスです。顧客インテリジェンスやDMP(データ管理プラットフォーム)、リアルタイムCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったデータ基盤の構築、パーソナライゼーションに欠かせない膨大なコンテンツを生成し活用するためのコンテンツ基盤の構築にご興味をお持ちの方は、アドビへご相談ください。