ECをエクスペリエンス主導型へ:Adobe Commerce Cloud進化の意味とは

2020年7月8日


経済産業省が発表したデータによると、国内のEC市場規模は年々拡大傾向にあり、2018年にはB2Cだけで約18兆円規模(前年16.5兆円、前年比8.96%増)に成長している。けん引の大きな要因となっているのはスマートフォンで、物販分野においては約4割がスマートフォンからの購入だ。消費者が「いつでも」「どこでも」「欲しいとき」に、ECを利用し、より自身の行動や興味に沿って購入する様子が見てとれる。またコマースチャネルは、ブランドのECサイトやオンラインショッピングモールをはじめ、スマートスピーカー、ライブコマースなど、ますます多様化している。こうしたコマースチャネルは、消費者にブランド体験を提供する場として、より重要な役割を求められていると言えるだろう。

 

一人ひとりのカスタマージャーニーにおける一貫した顧客体験のなかで、より広い視点でECをビジネスに生かすためには、俯瞰的な視点からの戦略策定が欠かせない。様々なチャネルに接する顧客一人ひとりのニーズを正確にとらえ、統合的に顧客体験を評価し、適切なものに管理しなければならない。この取り組みを「エクスペリエンス主導型コマース」と呼ぶ。表面的な収益や平均注文額だけでなく、顧客の「いつでも」「どこでも」「欲しいとき」というニーズに応える優れた体験を提供することにより、顧客の生涯価値を高めるプロセスを実現するための方法論だ。

エクスペリエンス主導型コマースの中核となるAdobe Commerce Cloud

エクスペリエンス主導型コマースの中核となるAdobe Commerce Cloud

アドビはエクスペリエンス主導型コマースの実現に向けて、パートナー企業と長年にわたり取り組んできた。ただ、複雑なテクノロジーの統合は、企業にとってハードルが高い。そこでコマースプラットフォームのリーダー企業であったMagentoを2018年に統合し、Adobe Commerce Cloudとして提供を開始した。Adobe Experience Cloud を構成するアプリケーションのひとつとしてAdobe Experience ManagerAdobe AnalyticsAdobe Targetなどとシームレスに連携できる。

国内において、Magentoはオープンソース版のイメージが強いかもしれない。しかし、マネージドサービスを備えたエンタープライズ版Magento Commerceにも定評があり、大規模なブランドECサイトでも活躍している。

Magento Commerce製品構成
Magento Commerce製品構成

そして2020年3月のAdobe Summitでは、Adobe Commerce Cloudの最新版(Magento 2.4)を近くリリースすることが発表された。

アドビのエクスペリエンスビジネス部門コマース製品およびプラットフォーム担当バイスプレジデントであるジェイソン ウースリー(Jason Woosley)は、「最大の機能強化は、モバイルファーストのエクスペリエンス」と話す。

Progressive Web Apps(以下、PWA)のサポートを強化し、Magento PWA Studioの提供を開始。B2Cの主要なテーマに対応し、ユーザーエクスペリエンスを迅速に最適化するための各種ツールをUI開発者に提供する。

また、Adobe StockをMagento Media Galleryに連携したことで、高品質なストック画像の選択肢を爆発的に増やしたことも、UI開発者には朗報だろう。UI開発者は、Magento Page Builderから直接Adobe Stockを検索し、ワンクリックでプレビューして全体の見た目を確認してから、ライセンスを取得することができる。

B2B機能も大幅に強化する。Magentoは当初B2Cコマース市場を主なターゲットとして成長してきたソフトウェアで、Magento Commerce 2.2で初めてB2B機能を搭載した。アドビは、この分野を急速に成熟させるために、Adobe Experience Cloudユーザーの協力を得て、多角的な視点でフィードバックを取得。次世代のB2B機能の開発に取り組んでいる。Magento PWA StudioのB2Bテーマ対応も迅速に進めている最中だ。

「そのほか、承認プロセスやインテリジェントなルーティングなどを可能にする高度な購入ワークフローの開発に力を注いでいます。大規模なショッピングサイトやカタログを運用することができ、かつ管理しやすいB2Bフレームワークを完成させ、大企業のニーズを十分に充たせる機能として提供します」(ウースリー)

Adobe Senseiでレコメンデーション機能を強化

Adobe Senseiでレコメンデーション機能を強化

Adobe Commerce Cloudがアドビのプラットフォームの一部である価値の一つは、Adobe SenseiのAI機能を活用できることだ。Adobe Senseiによって洗練されたレコメンデーション機能では、閲覧回数や購入回数といったデータだけでなく、リアルタイムな顧客プロファイルを参照した上で、顧客のコンバージョン見込みを予測。インテリジェントに商品を提案することができる。さらに、結果はインプレッション数、クリック数、レコメンデーションによる収益など、さまざまな角度から可視化できる。AIは使えば使うほど賢くなっていくものだが、可視化によってそこに担当者の意思を加味することが期待できる。

「人間の知恵とAIの力を組み合わせ、顧客一人ひとりのエクスペリエンスを最適化することができます」と、アドビ シニア ソリューションズ コンサルタントのジェニファー スモール(Jennifer Small)は話す。この新たなレコメンデーション機能は、Magento Marketplaceの拡張機能としてSaaSで提供される。2020年1月より限定リリース対象企業で検証され、すでに全ユーザーが利用可能になっている。

これらは、Adobe Commerce Cloudの機能拡張における初期の成果だ。アドビはこの分野に引き続き投資し、大企業のニーズを完全に充たせるソリューションへと発展させる計画だ。目標は、あらゆるユーザー企業が、パーソナルでショッパブルなエクスペリエンスを提供できるようにすること。エクスペリエンス主導型コマースを実現したい企業にとっては、魅力的な選択肢となるだろう。

Adobe SUMMIT 2020

Adobe SUMMIT 2020のAdobe Commerce Cloudに関するセッションは、こちらからご覧いただけます。

UNITE編集部


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