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- 1 複雑化した顧客行動に対応し、顧客の適切な理解とコミュニケーションを実現するには
複雑化した顧客行動に対応し、顧客の適切な理解とコミュニケーションを実現するには
2020年7月27日
「モノやサービスを買う」顧客行動は、企業側から見れば複雑化の一途を辿っている。企業と顧客の接点は、デジタルチャネルの多様化により、実店舗からベッドの上から移動する乗り物の中まで、あらゆる時や場所にわたって無数に存在する。サブスクリプションやシェアリングなど、買い方の幅も広がった。さまざまなデバイスや場所、チャネルをまたいだ複雑な顧客行動は、顧客が意図的に行っているものではない。仕事をしながら、移動をしながら、またはあらゆる生活の中で、何気なくメールやアプリ、SNSなどに触れ、無数のデジタル接点を重ねている。
かつて、企業と顧客の関係がシンプルだったころ、顧客の購買行動も単純化して考えられていた。顧客はブランドを認知し、興味を持ち、検討し、購入するというファネルに従って購買活動を行うものとされていた。さらには人の性格や趣味、嗜好も、セグメントとしていくつかの類型に分類され、同じセグメントの人は同じ行動をとると見なされた。企業と顧客の接点が限られ、顧客を真に理解する術がなかった時代においては、有効な方法であったかもしれない。
しかし、現実の世界は実に複雑だ。一人ひとりの人間は多面的な側面を持っており、時と場合によって移り変わる。趣味や嗜好も一定ではなく、ふとしたきっかけで変化する。さらに、天気や体調など日々のちょっとした要因によって、気分も左右される。
現実の世界において企業が相手にしているのは、このように多様で、複雑で、かつ日々変化する顧客だ。気分の浮き沈みで顧客の行動は変化し、企業とのコミュニケーションの取り方も変わる。
さらにやっかいなことに、顧客の企業に対する期待は膨らむ一方だ。「もっと便利にしてほしい」「もっと自分に合わせて案内してほしい」「もっと良い体験をさせてほしい」という期待に応えなければ、彼らは離れていってしまう。あるブランドで心地よい体験をしたら、他のブランドにもそれを期待する。企業の競争は同業者とだけではなく、あらゆる業界をまたいで繰り広げられているのだ。
常に変化し続ける多面的で動的な顧客一人ひとりを理解すること。そしてカスタマージャーニー全般にわたって、多岐にわたるチャネルをまたぎ、最適な方法でコミュニケーションを取ること。彼らの期待に応えるためには、「クロスチャネルエクスペリエンス」を最適なものに保つことが求められる。
クロスチャネルエクスペリエンスは、市場における差別化を促進する

そのようなことが可能なのだろうか?
クロスチャネルエクスペリエンス最適化の道標として、アドビのCXMガイド『あらゆる側面から顧客とつながるには』が役に立つだろう。このなかでは、包括的なクロスチャネル戦略を活用した企業の事例も数例紹介されている。
その一つ、英の旅行&観光企業Virgin Holidaysは、カスタマージャーニー全般にわたる顧客体験向上に注力し、認知度を66%、売り上げを33%も伸ばしている。
同社はかつて、電子メールの内容のパーソナライズによって、コンバージョンを1.5倍向上させることに成功した。さらに大きな成果を目指すため、一つのチャネルに留まらず顧客と長期的な深いつながりを構築することに取り組むことにした。
旅行自体だけではなく、旅行の予約、旅行の前後、さらには次の旅行計画の立案に至るまでのプロセスにおけるトータルな顧客体験向上を図ったのだ。それは同社のビジネスに巨大で、かつ長期的なインパクトをもたらした。

クロスチャネルにおけるパーソナライゼーションは、一貫性のある顧客体験を創出し、顧客体験に対するロイヤルティを長年にわたって育む。PwCのマネージングディレクターを務めるアンディ ヤコブス氏によれば、「若い世代の顧客がロイヤルティを感じる対象は、ブランドではなくてエクスペリエンス」だという。顧客は、自らのニーズ欲求に合わせてパーソナライズされた一貫性のある顧客体験にこそ、価値と重要性を感じるようになってきているのだ。
このガイドでは、チャネルを横断して顧客を知り、一貫した顧客体験を提供するための要点や、クロスチャネルエクスペリエンスの今後の展望などが解説されている。
「クロスチャネルエクスペリエンスに取り組むうえで、組織体制はどうあるべきか」
「顧客のコンテクストに即した体験を提供するポイントとは」
「顧客の多様性に対応したコンテンツを提供するために必要なことは」
などの疑問に対する答えと道筋が見えてくるだろう。
クロスチャネルパーソナライゼーションは、夢物語ではない。大量のデータを扱うテクノロジーと機械学習の進化により、チャネルをまたいで顧客一人ひとりの「いまこの瞬間に抱えているニーズ」を把握することが現実的なものとなった。
勃興期にある、本格的なクロスチャネルパーソナライゼーションと、それが叶える一貫したエクスペリエンスの提供に向けて、『あらゆる側面から顧客とつながるには』の一読を、ぜひおすすめしたい。
UNITE編集部
関連資料
かつてマーケティングは、人々が合理的な選択をおこなうことを前提にしていました。しかし人は多面的な存在であり、好みや嗜好も時とともに変化します。無数のチャネルに対応し、かつ複雑な人の行動を前提とした、クロスチャネルな施策アプローチについてご紹介します。
アドビがお手伝いします
企業のデジタル変革は、組織横断の幅広い取り組みとなります。これには、新たな経営戦略、組織編成と人材育成、ビジネスプロセスの刷新、そして「顧客体験のための企業システム基盤」の構築などが含まれます。
アドビはこれまでも、グローバルで多様な業界のブランド企業のために、テクノロジーとサービスを提供してきました。それが、顧客体験管理(CXM)のためのプラットフォームであるAdobe Experience Cloudと、アドビコンサルティングサービスです。顧客インテリジェンスやDMP(データ管理プラットフォーム)、リアルタイムCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったデータ基盤の構築、パーソナライゼーションに欠かせない膨大なコンテンツを生成し活用するためのコンテンツ基盤の構築にご興味をお持ちの方は、アドビへご相談ください。