びゅうトラベルサービス:「顧客を理解した体験提供」を実現した組織変革とは

2020年12月17日


旅の体験は、旅に出る前から始まる。どこへ旅に出るか、どのような手段で移動するか、どのようなプランを選び、旅先でどんな体験を得るのか。事前に情報収集し旅への期待を膨らませ、旅行商品を予約(購入)する段階も、旅の体験の一つだ。

そして、日本の旅行市場における取引規模(予約数、購入額)は、年々オンライン利用の比率が高まっている。旅行流通コンサルティング企業 フォーカスライトJapanの調査によると、2013年に22.5%だったオンライン販売比率は、2017年時点で36%になり、金額ベースでも同期間でほぼ倍増した。この傾向は今後いっそう加速すると考えられる。

オンラインエージェンシーの台頭など、販売競争が激化するなか、旅行代理店業の各社には単に「販売チャネルを増やす」だけに留まらない、オンラインの活用が求められているだろう。

そのようななか、オンライン販売を「顧客体験を高めるツールの一つ」と位置づけ、抜本的な改革に舵を切った企業がある。株式会社びゅうトラベルサービス(以下、びゅうトラベルサービス)だ。

「webに公開しておけば売れる」という販売視点からの変革

「webに公開しておけば売れる」という販売視点からの変革

びゅうトラベルサービスは、JR東日本グループの旅行会社として、東北、関東、および信越エリア内の新幹線を利用した観光促進や北陸・北海道の列車旅の提案を主要なミッションとしてビジネスを展開。『びゅう』や『大人の休日俱楽部』ブランドの各種旅行パッケージ商品や、オンライン限定で販売する商品『JR東日本ダイナミックレールパック』で知られている。

『JR東日本ダイナミックレールパック』は2015年に販売を開始した比較的新しい商品だ。旅行者は、リアルタイムに空き状況を確認しながら、列車と宿泊施設を自由に組み合わせてオリジナルツアーが作れる。しかし、この商品が誕生したタイミングでは、まだ「販売」に特化する社内文化が強かったという。

「“webに公開しておけば売れる”という意識の社員が8割くらいいたように感じます」。

2016年の入社当時のことを、同社Web販売戦略部 沓名 恵氏はこのように振り返る。同社サイトのコンテンツ制作はほぼ外注。アクセス解析も困難で、メールマガジンも自由に配信できない状態だった。これらシステムの課題だけでなく、人材のスキルや業務プロセスにも課題があった。

「アクセス解析だけでなく、顧客分析もできず、たとえ広告費を増やしても戦略的に投資できないことが危惧されました」(沓名氏)。

マーケティング基盤を導入する抜本的な改革で得た、4つの成果

マーケティング基盤を導入する抜本的な改革で得た、4つの成果

Web販売戦略部は、これらを包括的に解決する抜本的な改革が必要であると考え、マーケティング基盤の導入を社内に提案。承認を取り、さまざまなソリューションを比較検討した結果、2017年にアドビのソリューション採用を決定した。JR東日本グループ共通のセキュリティ基準をクリアし、列車旅の拡大活性化を目指すにあたり、多角的な視点で実現に向けて動いていける可能性、機能の豊富さおよびツール群の扱いやすさ、運用時のサポート体制などを総合的に評価した結果だ。

採用したアドビ製品は、Adobe AnalyticsAdobe Audience ManagerAdobe Target、およびAdobe Experience Managerだ。2018年度より構築と実装をスタートし、Adobe Experience Managerから段階的に運用をスタート。2019年4月よりすべての運用開始に至った。その後、Adobe Campaignの実装作業をスタートさせ、同年内に運用を開始している。

導入によって、主に以下4つの成果を得た。

広告施策の改善

広告施策の改善

旅行者のサイト内行動をデータとして確実にとらえることで、顧客ニーズに沿ったセグメントを作成。セグメントを加味した自動学習機能により、ディスプレイ広告と検索広告のどちらでもパーソナライズ広告を打てるようになり、平均CVRを118%向上させることができた。同時に、施策の結果を次の施策に生かすプロセスも回せるようになった。

webサイトの改善

webサイトの改善

旅行先別に国内ツアー情報を一覧する「エリアマップ」にアクセスした顧客の購買額が高いことに着目し、このページを強化。顧客にとっての見やすさや扱いやすさを重視した改善活動を繰り返し、広いエリアから地方、県レベルと、扱いやすさを維持したままナビゲーションを細分化。遷移先の更新頻度も高めたことで、訪問者への売上を195%増加させることができた。

コンテンツ制作プロセスの改善

コンテンツ制作プロセスの改善

スモールスタートでノウハウを蓄積し、徐々に制作コンテンツを拡大。現在では、予約ページを除くほぼすべての特集ページおよびメールコンテンツをAdobe Experience Managerで制作している。顧客の多様なニーズにこたえられる充実したコンテンツ群をスピーディに制作できるようになった。

メール配信の自由度

メール配信の自由度

以前は、月に1度、全顧客に同一文面のテキストメールだけを配信できる環境だったが、Adobe Experience Managerによる制作に切り替えたことで大きく変わった。顧客の住所や過去の旅行先情報などから、顧客に最適な旅行先を提案できるメルマガを週1回、Adobe Campaignを通して配信することで、CTR517%、CVR250%の向上を実現した。

これらの成果により、顧客体験の向上と売上拡大をどちらも実現することができた。施策実施数は当初予定の1.5倍をこなし、売上への寄与は111%増。Web販売戦略部のマーケティングチームは6人体制に育ち、顧客分析スキルも高まってきた。

「これだけの成果を得られましたが、まだまだスタート地点に着いたばかり。残された課題も数多くあります。今まで以上にお客様の気持ちに寄り添ったデジタルマーケティングを実現するために、組織内の人材スキルをさらに高めていく計画です」と、沓名氏は話す。

業務の内製化を加速させ、さらに業務スピードを高めると共に、コストダウンも実現する方向だ。アドビのソリューションを軸に改革を果たし、数々の魅力的な顧客体験を提供し続けることで、列車を使った旅行をさらに活性化させる取り組みを続けていく。

スケッチノート

UNITE編集部


この記事を共有する:

RSS配信中:

RSS配信中

この記事を共有する: 

 RSS配信中:

Adobe Insights: RSS配信中

関連情報

列車旅の拡大活性化を目指し、「お客様を理解した顧客体験の提供」へのビジネス変革

2020年7月開催のデジタルイベント「Experience Makers Live」における講演を、追体験いただけます。


おすすめ情報

アドビがお手伝いします

企業のデジタル変革は、組織横断の幅広い取り組みとなります。これには、新たな経営戦略、組織編成と人材育成、ビジネスプロセスの刷新、そして「顧客体験のための企業システム基盤」の構築などが含まれます。

アドビはこれまでも、グローバルで多様な業界のブランド企業のために、テクノロジーとサービスを提供してきました。それが、顧客体験管理(CXM)のためのプラットフォームであるAdobe Experience Cloudと、アドビコンサルティングサービスです。顧客インテリジェンスやDMP(データ管理プラットフォーム)、リアルタイムCDP(カスタマーデータプラットフォーム)といったデータ基盤の構築、パーソナライゼーションに欠かせない膨大なコンテンツを生成し活用するためのコンテンツ基盤の構築にご興味をお持ちの方は、アドビへご相談ください。