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社員の労働意欲を向上

「ギグエコノミー」や「副業」といった言葉がよく話題になる今日、キャリアという言葉の意味は以前と変わっている。20~30年前であれば、就職して仕事を続けていれば、自然とそれがキャリアになった。当時と比べれば、今日のキャリア形成の道筋は異なっているように思えるが、どのような仕事であれ、キャリアという意識を持って臨むことには、やはり意味があるに違いない。同じ企業で長く働くことに安心感を覚える人がいる一方で、様々な職責をわたり歩く方が性に合う人もいる。複数の企業で異なる仕事をすることによって、キャリアは形成できる。今日、企業や職種の選択肢は広がっている。ひとつの企業で働き始めた従業員が、そこで長く働き続ける理由は何だろうか。

その「社員特典」は本当に重要か

有名企業がひしめき合うシリコンバレーでは、ランチタイムを迎えるたびに新しい転職のオファーが舞い込むとも言われる。目新しい社員特典を用意している企業の話題はメディアでよく取り上げられるし、私が話をする採用候補者の中にも、社員特典が豊富な企業で働いている人が大勢いる。しかし、面接や転職を判断していく過程で、候補者が社員特典の話を口にすることはまずない。会社が用意するマッサージチェアやランドリーサービスを理由に入社を判断しているとしたら、その候補者はおそらく目的がずれている。実際、アドビが昨年発表した調査レポート「Work in Progress」によれば、今の最も「ホット」な社員特典は最新のテクノロジーであり、飲食の提供やお洒落なオフィス、快適な設備などよりはるかに高く評価されている。

最先端のテクノロジーとともに、絶えず話題に上るのが企業文化だ。企業文化は社員の体験を根本的に左右する。その中心となるのは、エンゲージメントの高い社員である。  それは例えば、キャリア構築の可能性、人と違った見方を評価する社風、仕事への意欲に満ちたコミュニティを育む仲間意識だったり、大きな仕事をしている会社だという確信や共通認識、また、全社員がその重要な一翼を担っているという実感だったりする。

簡潔に言えば、学びの文化がある環境で、セルフサービスのテクノロジー、優れたリーダーシップ、成長の機会があり、社員が成果を生み出せる環境が整っていることが、社員にとっての最大の「特典」になると私は考えている。

オペレーショナルエクセレンスが成否の鍵

近年、オペレーショナルエクセレンスという言葉をよく耳にする。現場力が向上し、企業の競争優位性にまで高められている状態のことだ。社員のモチベーションやエンゲージメント、高い目標への意識などを維持するために、何より重要な方法と言えるかもしれない。小さなアイデアが10億ドルを生み出す華々しいテクノロジー業界といえども、最終的に重要になるのは、会社の事業運営が安定しているかどうかだからだ。事業運営が安定していれば、トラブルが入り込む余地はほとんどなくなる。それは、例えば次に示すようなごくシンプルな問いへの答えという形で導かれる。

  • 会議は、最初に議題を明確にし、最後に行動を生んでいるか?顔を見合わせてうなずき合うだけの会議を日々繰り返していないか?
  • 予算に透明性があり、合意が形成された共通の目的に資金を投じているか?それとも、ブラックボックスになっているか?
  • アドビがオープンソース化したCheck-inプロセスのように、社員と上司の面談を効果的に実施しているか?
  • 四半期や年度単位で成果を生み出せているか?目標と戦術が常に混沌としていないか?

現代の職場環境は常に変化し、デジタル化によってネットに常時接続されているが、組織が順調に機能することの重要性は、昔と何ら変わらない。オペレーショナルエクセレンスを体現した企業と文化は、市場で群を抜いた存在となり、将来の社員たちが活躍するための基盤となる。

現在の小学生が社会に出る頃に重要となる要素とは

私は2017年2月9日(木)、NewCo Bay Area FestivalのイベントのひとつであるThink Tank by Adobeの中で、各界の著名人との座談会に出席する予定だ。読み書きや計算を習い始めたばかりの小学生にも、いずれは社会人になる日が訪れる。今から5年後、10年後、20年後を見据えて、社員のエンゲージメントや働く意欲を高めるには、どうすればよいのだろうか。座談会では、次のような話題を取り上げようと考えている。

  • 社員特典は今後どうなっていくのか。飲食やクリーニングの無料提供の、さらにその先へ向かうのだろうか。企業はどのように備えればよいのか。
  • 数々の有名企業を交えた人材獲得競争が続く中で、各社はどのように差別化を図ればよいのだろうか。
  • 人とアイデアでは、どちらの方が重要か。次世代の人材たちも、「自分の情熱に従え」という教えを守り続けるだろうか。
  • マネジメントが抱える大きなジレンマは、10~20年後も現在と変わらないのか。未来の従業員のニーズを先取りできる、新たな幹部をどのように育てればよいか。
  • 優れた成果を残す企業文化の特徴は、2030年にはどのように変貌しているだろうか。逆に、現在は当然とされている文化の中で、絶滅の危機に瀕するのはどれなのか。

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